2018/06/03

今週の為替相場を考える(6月4日~8日)

今週の為替相場を考える(6月4日~8日)

相場の変化は米国中心であることに変わりなく、トランプ大統領の政策は11月の中間選挙対策で大忙し。米10年債利回りは先週明け2.757%台をボトムに2.90%台を回復、米株反発力は弱いものの何とか下げ止まり気味。先週後半の強い米経済指標に米利上げ期待度が高まる中、新興国通貨の何とか持ち直し気味とドルに対してはネガティブ材料が健在。

今週も相場変動要因は先週からの材料を引き続き、6月12日に再設定された米朝首脳会談を前にした日本を含めた駆け引きで、7日の日米首脳会談で安倍首相は何を強いられるのか? 4日から始まる第3回米中通商協議を前にして、トランプ政権内部での対立が目立つも、ここはトランプ氏のディール次第。NAFTA再交渉中に突然の鉄鋼とアルミの追加関税を受けたカナダ、メキシコ、とEUの報復措置へと動き各国の反発を招いているが。これも今後のトランプ氏のディール次第。

一方のユーロ圏では、イタリアはコンテ新政権が発足、スペインではセンチョス氏がラホイ氏に代わり首相に就任、共に危惧された解散総選挙の可能性は一応回避するも、財政問題等リスクは残る。

先週の米雇用統計は、失業率が低下、雇用者数と賃金も上昇するもドル買いの動きを継続することはできなかったが、31日と1日の強い米経済指標の発表に、CME FedWatch Tool では、米利上げに関して6月91.3%、9月65.0%、12月32.4%と引き続き年内2~3回の利上げの可能性を示唆。

また、アトランタ連銀のGDPNowでは、先週の米経済指標を受け米第2四半期GDP予想値を5月29日の4.1%→4.8%まで上方修正。NY連銀のNowcasting Reportでも30~1日の強い米経指標を受け、第2四半期GDPの予想値を3.01→3.26%まで上方修正し、相変わらず他国との成長率格差は目立ったまま。

最後になったが注目しているのは、先週の5月30日にカナダ中銀が、将来の金利動向を「慎重」、「緩和的な金融政策の必要性」という文言を削除。「インフレを目標近傍に維持するため利上げが必要になる」、「緩やかな政策調整のアプローチを取る」との声明文。利上げサイクルに自信を深めていると思われ、7月を含め年内2回の利上げ期待にカナダドルの上昇を期待したいが、NAFT再交渉中にトランプ氏がカナダに対して鉄鋼とアルミの追加関税を決めたことや最近の原油価格に低下と、このネガティブ要因がどのように変化するのかを注目したい。


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USDJPY (予想レンジ 108.50~110.00)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、3月30日の週から転換した円安相場は8週続伸し111台を達成後、前々週は大陰線で相場転換の可能性も意識されたが、先週は108.11をボトムに119円台を回復し108.50以下の買いが強い反面110円の大台を回復できず上値も限定的となった。

先週末の動きで気になったのは、USDJPYはアジア市場で日銀のオペ減額にもかかわらず円買いは盛り上がらず、イタリア・スペインの政局安定に向け動きや、ドル高による新興国通貨の不安もやや和らぎ、金曜日の週末リスクが存在するにもかかわらず、円高へと動けずに終わっていることである。

テクニカルでは、DailyチャートはBBのLower108.30~Basis109.73のレンジに収まり、StochRSIは買いへ変化し、WeeklyチャートのBBではBasis107.99~Upper111.45のレンジでStochRSIが売りへと、レンジ内の動きながら方向性は別々。

MAからは200日SMA=110.17にあり、安値の200日SMA=109.78と先週のほぼ高値付近に位置し、この二つのポイントがUSDJPYの上限のポイントになっている。一方、過去5日間の安値は108.65と108.50の壁が意識され、過去6日間の終値ベースの安値は109.02で、109円の大台も終値ベースでは下値のポイントになっている。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週-2,767→-8,036(-5,269)
過去70週続いた円安(ネットショート)から歴史的な変化を経て後は、予想外に向感は定まらず。ロング→ショートと短期間で入れ替わり、リスクヘッジ通貨として選好されながらも、米利上げ期待もあり急激な変化は見られず。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.75→-1.00、 1M=-1.02-1.12、 3M、6M、9M、12Mも総じてドルプット・円コールが急拡大し、先週に続き円先高期待感が強まっている。


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EURUSD(予想レンジ1.1550~1.1800)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、7週連続の陰線引けで続落傾向が続いているが、1.1510を底値に1.1500はマジの線はサポートされ、終値は1.1657と前週の安値1.1648を久しぶりに上回って週を終えている。

イタリアはコンテ新政権が発足、スペインではセンチョス氏がラホイ氏に代わり首相に就任、共に危惧された解散総選挙の可能性は一応回避され、将来の財政問題等リスクは残るも短期的に積み上がったポジションの解消のきっかけとなった。

ポジティブ要因としては、フランス・ドイツを含めユーロ圏のCPIは必要に強くターゲットの2.0%を上回ったこともあり、6月14日のECB理事会で何らかの変化を期待したくなる。 一方ネガティブ材料としてはドイツ銀行が米国内事業でFDIC(連邦預金保険公社)は問題銀行リスト入りとの報道を受け、S&Pはドイツ銀行の信用格付けを「A-」→「BBB+」へ引き下げへたことである。

テクニカルでは、DailyチャートはBBのLower1.1549~Basis1.1771のレンジに収まり、StochRSIは買いを継続中、WeeklyチャートのBBではLower1.1942~Basis1.2181のレンジで、StochRSIはK0.45、D0.71と、トレンドの強い下げ相場に共に1を割り込む超売られすぎゾーンで推移。

MAからは5月17日に200日SMAを22日SMAが割り込み売り強い売り相場が継続中で、22日SMAから1.1976、1.1790、1.1844が上値のポイントになっている。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週→109,744→93,037(-16,707)
過去55週間ユーロのロングを維持しながらも、4月17日をピークに以降6週連続して前週比で減少。EURロングの解消が続き昨年12月26日の水準へ逆戻り、直近ではイタリア・スペインの政治的リスクを意識した動きへ。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.50→-0.35、 1M=-0.60→-0.60、 3M=-0.60→-0.70、6M-0.55→-0.80、9M、12MもEURプットへが拡大、EUR売りを意識した動きが続いている。


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GBPUSD(予想レンジ1.3250~1.3500)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、4月20日の週からの続落傾向が続き、先週は昨年12月下旬から続伸したスタート地点の1.3300を割り込み先週は一時1.3205まで下落。先週末のNY市場では1.33台を回復し、前週終値1.3294を上回り1.3342で終了。下値の1.3000はマジの線で、上値は5月11日週、18日週と2度も抑えられた1.3600が大きなポイントに。

メイ政権内で特に新たな材料は見られないが、代り映えしないブレグジットに向けた政権内の動きに、FT紙では何もできないでブレグジットを迎えるのではとの声もあるが、先週はEURGBPの売りにGBPUSDはビット気味で終わっている。

テクニカルでは、DailyチャートはBBのLower1.3219~Basis1.3428のレンジに収まり、StochRSIは買いへ変化し、WeeklyチャートのBBではLower1.3301 ~Basis1.3848 のレンジでStochRSIはがK2.02、D3.09と売られすぎゾーンで買いの変化も。

MAからは5月24日に200日SMAを22日SMAが割り込み売り強い売り相場が継続中で、22日SMAから1.3403、1.3439、1.3496が上値のポイントになっている。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週→5,701→9,477(3,776)
26週間ポンドのロングを維持し、直近ではドル高センチメントの中で2週連続して前週比で増加。ただし、GBPUSDは集計日の5月15日1.3503、5月22日1.3428、5月29日1.3249とポンド売り傾向が続き、先週末は1.3342で終了と値を戻すも強さは見られず。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.28→-0.33、 1M=-0.39→-0.39、3M=-0.48→-0.58、6M、9M、12MもGBPプットが拡大し、、長いところも変化ポンドプットが拡大気味で引き続GBP安を意識した動きへ。


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