2018/06/24

今週の為替相場を考える(6月25日~30日)

今週の為替相場を考える(6月25日~30日)

先週を軽く振り返って見ると、FOMCタカ派にドル買いが強まり、ECBの早期利上げ観測の後退で動きが加速し、米中貿易戦争リスクと米EUの通商問題でドル高のピークを迎え、BOEの利上げ期待の復活(?)と、新興国通貨の上昇にドル買いは一服し値を戻すも、米株と米債は大きな変化は見られず。

今週も、米国と他の主要貿易国との通商政策を巡り、トランプ大統領の突発的な発言で相場が急変するリスクは高く、中長期のドルロングからドル売りへ変化するのか、それともドル買いが小休止で再開するのか、今のところ後者の可能性が高いが発言の内容で変化することが予想され両サイドで予断を持たずに対応したい。

最新のIMMポジション(17集計、22日NY時間公表)からは、円、ユーロ、ポンド、スイス、カナダドル、豪ドル、NZドルの主要7通貨のネット・ポジションは前週比ではマイナス167,444コントラクトと集計日の終値(ドルベース)で計算すると、前週ドルショート79億ドル→ドルロング97億ドルへと176億ドル近く通貨のショート(ドル買い)が増えていることになる。これは私がデータを取り始めた2006年1月以降で最大の変化となっている。

ちなみに今までの最高は2012年6月12日→19日の通貨ロング(ドルショート)169億ドルが最大であったが今回はこれを更新。通貨ショート(ドルロング)への変化では、2011年8月2日→9日の+131億ドルが過去最大であった。この週のできごとを振り返って見ると、スイス中銀が緊急利下げをし、日銀が大量の円売り介入を実施し、通貨ユーロの防衛にECBが金融電話会議を招集し、G7が緊急電話会議を開き、米国長期格付けが格下げとなり、世界的な株価の暴落となった週であった。最も先週はこれほどの重大事変はなかったが!!

オプションのリスクリバーサルでも、EURUSD、USDJPY、GBPUSD、AUDUSDと、多くの主要通貨ペアでドルコールが拡大(ドル高方向を意識)しており、現実のドル全面高を反映している。

通商政策では、7月6日の米中間で制裁・報復関税の一部実施を前にして何らかの解決策を講じることができるのか? 米国は中国に追加で2000億ドルの追加制裁10%を課すことを表明しプレッシャーを強めている。一方、米国はEUに対しても制裁関税を課し、EUは報復関税を発動し、米国はEUからの輸入車に対して20%課税すると警告。共に為替相場への影響は避けられず、28~29日のEUサミットの動向を、米中は制裁解除を目指し裏で動いていることが報道されており、結果による相場変変動は避けられず。ポンドとEURは28・29日のEUサミットを警戒したい。

金融政策では、米国の利上げ継続はほぼ間違いなく、ECBはQEを年内縮小・終了させ来年の夏以降に利上げをする考えを示し、BOEは利上げ支持者が拡大し8月の利上げ期待度は50~60%台へと上昇しがらも、多くは利上げ期待によるGBPロングを取っていない(取れない)のが現状。カナダ中銀、豪中銀も通商政策への懸念に慎重姿勢を変えず。そして今週予定されているNZ中銀も然り。

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USDJPY (予想レンジ 119.20~111.50)

USDJPYはワイドで見れば108.00~111.50、直近では109.00~111.00、先週は109.50~110.70のレンジ内で推移。米通商問題でヘッジする意味では安全資産通貨の円買いが強まることを期待するも、CHF買いが目立つ中で、円は上昇もせず下落もせず、動きは緩慢で意外感も。いずれこのいつになるかは不明ながら狭いレンジを抜け出すことを期待したい。

USDJPYの長中期線は110円近辺で拮抗。BBはBasis109.86を中心にUpper110.96~Lower109.86で、6月12日以降では大枠このbasis~upperレンジ内で取引が続いている。MAでは200日線のclose110.22、high110.59、low109.84と12日以降では大枠このhigh~lowのレンジで推移しており、エネルギーが溜まってきているように思えてならない。

IMMポジションからは、前週5,052→-35,562(-40,614)と、過去70週続いた円安(ネットショート)から歴史的な変化の後は、前週比で増減が混在し12週間も向感は定まらない状況が続いていた。しかし、今回はネット・ショートが3月20日の水準を上回り、新たな円安の始まりなのか? 絶好の円高への好機なのか意見が分かれるところながら、IMMのポジションからは円売りが拡大中。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W-0.6→-0.35、1M-0.80→-0.49、3M-1.05→-0.68、長いところも全てに渡りドルプット・円コールが縮小し、市場の円先高感からの変化が顕著になっている。


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EURUSD(予想レンジ1.1550~1.1750)

5月29日以降は、1.1500をボトムに反発しているが1.1850を高値に、ECB理事会後の急落で1.1800~50をクリアに上抜けするまでは買いへの変化を確認できず。メルケル独連立政権内の移民問題での対立は残るも、EUサミットに向けとりあえずは何とか表面にでていないが、米EUの通商問題と合わせEUサミットが今週のユーロ圏発のテーマに。

BBはBasis1.1673、Upper1.1834、Lower1.1511で、6月14日のECB理事会後の急落以降は大枠でLower~basisのレンジ内で取引が続いてるが、期待はBasisを上回り上昇できるか? 200日線のBasisは1.1996にあり乖離幅は大きい。22日線のBasisは1.1674で、high1.1726、low1.1628でレンジを超えられるか?

CFTCのIMMポジションでは、前週88,225→36,118(-52,107)と、過去58週間と長期に渡りユーロのロングを維持しながらも、4月17日をピークに以降9週続落し、前週比の減少幅はデータを取り出した2009年来で最大で歴史的な変化となり、ついにユーロ先高期待の終焉なのか? それとも、ポジション調整も終了し新たなユーロ買いの始まりなのか? 

オプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W-0.70→-1.10、1M-0.80→-1.15、3M-0.80→-1.35、長いところも全てに渡りドとEURプット・ドルコールが拡大、市場のEUR先安感が顕著になっている。


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USDCAD(予想レンジ1.3100~1.3350)

NAFTA再交渉はどうなっているのか?交渉の可能性が残ることが示唆されながらも、2国間協議はどうなるのか? トランプ大統領とトルドー・カナダ首相のG7サミット直後の対立に貿易問題が長引きそうは雰囲気も。ただし、OPEC総会後の原油価格の上昇で、1.3380台で目先のトップを付けた可能性も意識。1.3400を超えるようならばギブアップ。あ

BBはBasis1.3059、Upper1.3382とこのレンジ内で推移することが期待でき、MA200日のcloseは1.2671、22日close1.3046と相変わらず乖離幅は大きい。

CFTCのIMMポジションでは、前週-14,988→-14,014(974)と、13週間連続しカナダドルのショートが続きながらも、前週比では2週続けて小幅上昇と他の主要通貨でショートが拡大する中で検討している。弱い経済指標と米国・カナダの通商問題が残るも、集計日後のOPEC総会を受けた原油価格の上昇が救いの手となれるか?

オプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W0.30→0.30、1M0.40→0.45、3M0.50→0.55と、ドルコール・カナダドルプットが若干拡大しドル買いを意識しながらも、大きな変化に至らず。

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