2018/06/17

今週の為替相場を考える(6月18日~22日)

今週の為替相場を考える(6月18日~22日)

先週の為替相場の変動を考えてみるとこんなところに落ち着くのではないだろうか? また、今週のテーマとなる、米中通商協議、BOE金融政策、ECB関係者の発言、新興国通貨不安とトルコ総選挙、OPEC総会、EU対米国の通商問題の対立の動きを見ながら取引を考えたい。

ドル相場は、13日のFOMCを受け利上げ加速期待は織り込みなのか、米10年債は3%をピークに軟化しドル買いも予想外に進まず。逆に、EURUSDは、14日のECBは予想外に年内のQE終了を示したタカ派にもかかわらず、3月の利上げ開始期待が9月に先送りされ、欧州株は上昇し独債券利回りは低下。為替相場はEUR売りが加速、強い米経済指標もフォローし新興国通貨が不安定な中で結果としてドル買いへと動いた。

GBPは、12日に上院が提出したEU離脱法の修正案を採決し否決へ、13日は採決まで進めず英国債は買われ利回りは低下と目先はGBP売りのリスクは弱まる。ただし、英国のEU離脱期限が2019年3月29日と迫る中、ハードブレグジットのリスク、ソフトブレグジットのリスク、再投票のリスクと現状では混在中でベア・ブル派共に積極性は乏しい。

AUDは、米中貿易問題の悪化懸念や、資源価格の低下もあり本来はニュートラルと思われたAUDは下落するもネガティブ要因も限定的。CADは、NAFTA再交渉の目は完全に消滅はしていないが、先のG7サミットの「トランプ対トルドー」のいざこざと、原油価格の下落にCADは売られ、終値ベースでは共に2017年6月当時の1.32台の水準へ逆戻り。

JPYは、米朝首脳会談の開催により、北朝鮮リスクは後退。他の多くでリスクを残しながらも、リスク回避通貨の円買いへと動けず。それとも、追加利上げの米国、QE縮小を決めたユーロ圏、利上げ途中のカナダ、英国と比べれば真逆の日本。市場センチメントは円高をしめしながらも、今週の全国CPI予想も全く伸びは見られず、積極的な円買いも限定的。

これらの先週の相場変動の材料と結果を考えて今週の相場を考えたい。

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USDJPY (予想レンジ 119.80~111.50)

リスク回避の円買いの動きも薄れ、108~111.50のレンジの上限を維持できるか? このポイントを上抜けするとサプライズで短期投機筋のドルの買い戻しやオプション勢のドル買いが強まる可能性は高い。他国との金利差拡大や先の米朝首脳会談を受けたリスク許容度の拡大と、9月にロシアで日朝首脳会談が持たれる可能性を意識しながらも、現状は北朝鮮の動きから期待通りに進むかは疑問。政治ネタは続かないことは過去の教訓で分かっており、今週も特に円相場を狙い撃ちにする材料も乏しくレンジを抜け出せない可能性も意識。

USDJPYは、Dailyでは5月29日の108.11をボトムに上昇傾向が続き、先週は109.284をボトムに111円を狙う水準まで上昇し円売り傾向が続く。Weeklyベースでは一時108.11までの下げはあるが、終値ベースで見ると大枠109~111.50のレンジに収まっている。

CFTCのIMMポジションでは、前週-3,437→5,052(8,489)と、過去70週続いた円安(ネットショート)から歴史的な変化の後は11週間経た今も引き続き方向感は定まらず。ネット・ポジションは何とか4週間ぶりにロングへと変化しながらも、USDJPYはややビット気味。

オプションのリスクリバーサルのデータからは円コール・ドルプットオーバーの傾向は、大きなイベントがひとまず終わったこともあり、トータルでは円高を意識しながらもやや弱まっているも、引き続き円先高を意識したポジションとなっている


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EURUSD(予想レンジ1.1500~1.1800)

ECB理事会後の300ポイント近いサプライズの下げはどうしても忘れ去ることはできない。早期利上げ期待が裏切られた反動の成せる技なのだろうが、QEの年内終了は本来ならばタカ派の材料なのだが? 5月に下値トライを失敗した1.1500の水準を再度意識しながら、EUと米国との通商問題も合わせて意識しながら、どこまでEUR買い戻され反発できるか見たい。

今回も1.1500をボトムに反発を期待しているが、1.1800~50をクリアに上抜けするまでは買いへの変化を確認できず。リスクとして考えれば1.1500を割り込むとストップとオプションの売りが加速することが予想でき、2017年7月以来の水準を下回ることになり、EUR売りが加速する可能性を残す。

CFTCのIMMポジションでは、前週89,236→88,225(-1,011)とEURロングの解消は止まらず。8週連続して前週比で減少しEUR売りへと変化しているが、引き続きEURロングのポジションを維持しておりロングの撤退がどこまで進むのか? 

オプションのリスクリバーサルのデータからはEURコール・ドルプットから→EURプット・ドルコールへ変化しECB理事会後からさらに拡大し、EURUSDの下げを強く意識した動きとなっている。


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AUDUSD(予想レンジ0.7350~0.7550)

AUDと関連性の高い中国、米中間の通商問題は7月6日の両国の制裁発動を避けられるのか? それがはっきりするまでは売りプレッシャーは残るも、リスクオン、オフの動きに敏感であることと、通商協議の行方で上下共に可能性があると思っている。それを除けばあま売買ともにクリアな材料があるとは考えられず。

テクニカルでは5月9日の安値0.7410台を意識しながらも、週終値ベースでは昨年6月の安値を更新しており、中長期のチャートも売りを示唆し底値を試しながらも、米中通商問題をみながらで、大幅な下落も期待できず。

CFTCのIMMポジションでは、前週-20,208→-15,235(4,973)と前週比で2週続けて上昇するも、引き続き11週間で豪ドルのショートが続いている。5月8日の週からはマイナス幅は1.5~2万コントラクト台と安定しトレンドのあるような大きな変化は見られず。豪中銀も将来の利上げ期待は示すも、当面は利上げせずと示唆しており、米中貿易戦争のリスクが払拭できない中で大きく買われる材料も見当たらない。

オプションのリスクリバーサルのデータからはAUDプット・USDコールが拡大傾向にあり、市場のセンチメントはAUD先安リスクを意識し、短期から中期までその流れは変わらず。