2019/07/11

2019年7月11日(木)欧州・米国市場の動き

2019年7月11日(木)欧州・米国市場の動き

注目の米CPIは、前年比は予想と前回を下回るも、コアは前月比と前年比が予想と前回を上回る。結果、悪くはない数字に米債利回りは上昇し、パウエル氏の議会方言から続くドル売りは弱まり、ドル買いに変化。

BOE金融安定化報告は、英国の合意なきEU離脱は「ポンドと国債、住宅価格は急落する恐れ」を指摘するも、GBPUSD相場の変動は見られず。

独CPIのHICP前月比・前年比共に強く、ECB理事会の議事要旨からは、ECB理事会の議事要旨はハト派で、一段の刺激策を提供する用意を整えておく必要があるとの見解で一致し、金利ガイダンスの変更や利下げのほか、新たな資産買い入れを挙げた。

USDJPYは、アジア市場の107.85をボトムに緩やかに上昇。米CPIをうけた米債利回りの上昇もあり、アジア市場で下落がスタートした108.30まで値を戻すが、上値も限定的で引き続き下値リスクが気になる。

EURUSDは、ECB理事会の議事要旨を受けてECBの利下げ期待は変わらず、ただし、すでに織り込み済みなのかEUR売りは見られず。逆に1.1286まで上昇するも、米CPIを受け1.1250台まで下落し、早朝の安値水準で推移。

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21:30    CAD 5月 新規住宅価格指数=前月比-0.1%(予想0.1% 前回0.0%)、前年比0.0%(予想0.2% 前回0.1%)→ 予想を下回る

21:30    USD 6月 消費者物価指数=前月比0.1%(予想0.0% 前回0.1%)、前年比1.6%(予想1.6% 前回1.8%)、コア前月比0.3%(予想0.2% 前回0.1%)、コア前年比2.1%(予想2.0% 前回2.0%)→ 前年比は予想と前回を下回るも、コアは前月比と前年比は予想と前回を上回る

21:30    USD 週間新規失業保険申請件数=20.9万件(予想22.0万件 前回22.1→22.2万件)、

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ECB理事会議事要旨(6月6日)
◎不確実性が高い環境下でユーロ圏経済に一段の刺激策を提供する用意を整えておく必要があるとの見解で一致し、金利ガイダンスの変更や利下げのほか、新たな資産買い入れを挙げた。
◎金利ガイダンスを変更し、少なくとも2020年上半期を通して金利を低水準にとどめる。こ
◎新型の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO3)に適用される金利を、最も低い場合でマイナス0.3%(中銀預金金利に0.1ポイント上乗せ)とすることも決定。
◎インフレ率が低水準にとどまった場合は一段と戦略的な措置を検討する。
◎インフレ率については、2021年の見通しである1.6%はECBが設定する目標から「やや離れている」との見方を示していることが判明

クーレECB専務理事
◎ユーロ圏の債券価格に織り込まれた低インフレ予想をうのみにしてはならない
◎政策当局は金融市場のシグナルを決して無視すべきではないが、あまり注視しすぎてはならない

欧州委員会
◎プロス沖で「違法な」石油・ガス掘削活動を行っているとして、同国とのハイレベル協議を停止するとともに、来年のトルコ向け資金支援を凍結する見通し

BOE金融安定化報告
◎EUから合意なしに離脱するリスクは増したと指摘し、そうなった場合ポンドと国債、住宅価格は急落する恐れがある
◎EUから無秩序な離脱となれば「著しい市場のボラティリティーと資産価格の変動」が見込まれるとし、「重大な経済混乱」に陥るリスクもあるとの見方を示した

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トランプ大統領
◎ドル高が自らの経済アジェンダの脅威になると懸念を募らせ、ドル押し下げの方策を考えるよう側近に求める。
◎トランプ大統領は、FRB理事に指名予定の、シェルトン氏、ウォラー氏との面接を先週行った際もドルについて尋ね、自らの再選に寄与すると期待する経済ブームをドル高が鈍らせる恐れがあると嘆いたという。

クドロー国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン米財務長官(関係者)
◎ドル押し下げを意図するいかなる介入にも反対

欧州委員会の次期委員長に指名されたドイツのフォンデアライエン国防相
◎英国がEUに残留することをやはり望む。必要なら10月31日の離脱期限の再延期も認めるべき

バイエル氏(ドイツ政府で欧米関係のコーディネーター)
◎EU加盟国は今後数カ月間に米国が自動車など複数の分野でEUに関税を発動する可能性に備える必要がある
◎トランプ政権はEUとの対話に引き続き関心を示しているが、航空機補助金やガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」、欧州産自動車の輸入を巡り関税や制裁を発動する構えのようだ。
◎自動車関税については、11月半ばに発動される可能性が高い。EUが農産品を通商協議の対象にするのを拒んでいることなどに米国がしびれを切らせているとした上で、EUとして強い姿勢で結束を保つ必要がある。
◎ロシアから欧州に天然ガスを送るプロジェクト「ノルドストリーム2」を巡り米国が早ければ8月か9月にも欧州企業に制裁を課す可能性がある。

10日のFOMC議事要旨(ロイター)
◎銀行が米国債などの証券を担保にFRBから借り入れを行うことを可能にする政策手段について是非を議論した。
◎そうした常設の固定金利レポ取引プログラムは、月末や四半期末に起こる頻度が増している短期金融市場での急激な金利上昇による影響を回避するためのバックストップとして機能する。