2019/07/12

2019年7月12日(金)昨日11日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

2019年7月12日(金)昨日11日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

米CPIのコアは強くインフレ判断は複雑ながら、米株は強くダウは27000ドル台へ上昇、米10年債利回りは2.13%台へ上昇。為替相場はアジア・欧州市場のドル売りから米国市場は米CPIを受けドル買いへと動き、ドルは前日比では若干下落、円はクロスで全面安。

パウエルFRB議長は前日に続き上院で証言するも、「新たな材料は乏しく利下げ余地を引き続き示唆」。ウィリアムズ氏は「政策調整の準備の必要性を示唆」、ボスティック氏は「利下げに反対」、バーキン氏は「利下げ根拠は乏しい」と、金融政策をめぐるかじ取りは複雑。

IMFユーロ圏に関する年次報告では「緩和策は必要不可欠」とあり、ECB理事会議事要旨は「緩和策の準備が必要」と緩和的政策は既成事実へ。

BOE金融安定化報告は「無秩序な離脱でポンド急落のリスク」を指摘。市場は党首選でハント外相が勝利するとポンドが一時的に上昇との見通しもあるが、中長期では下落を予想。

USDJPYは、前日のパウエルFRB議長の議会証言を受けたドル売りから、107.86まで下落するも強い米コアCPIを受けドル買いへと変化し200時間MAの108.20台を上回り下髭の長い線が出た。一日を通じてオープン108.50とクローズ108.50近くとほぼ同じ水準で200時間MAの108.20台を上回り下髭の長い線が出た。円はクロスでも全面安の動きで、株高と米債利回りの上昇を強く意識した流れとなっている。

EURUSDも、前日のパウエルFRB議長の議会証言を受けたユーロ買いから一時1.1286まで上昇するも、米CPIを受け売りへと変化し一時1.1245まで下落。ECBの利下げ観測が強い中で200時間MAの1.1250台の水準を中心とした動きで、1.12~1.13のレンジを抜け出せず。

USDCADは、前日のパウエルFRB議長の議会証言のCAD買いと、カナダ中銀の声明を受けた緩和リスクのCAD売りと混在した流れが続き、大枠1.3040~90のレンジ。原油価格が60ドル台で高止まりしている中で、中期的な1.30~1.3150のレンジを継続しながら、短期的には200時間MA1.3090を高値に上値の重い展開となっている。

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21:30    CAD 5月 新規住宅価格指数=前月比-0.1%(予想0.1% 前回0.0%)、前年比0.0%(予想0.2% 前回0.1%)→ 予想を下回る

21:30    USD 6月 消費者物価指数=前月比0.1%(予想0.0% 前回0.1%)、前年比1.6%(予想1.6% 前回1.8%)、コア前月比0.3%(予想0.2% 前回0.1%)、コア前年比2.1%(予想2.0% 前回2.0%)→ 前年比は予想と前回を下回るもも、コアは前月比と前年比は予想と前回を上回る

21:30    USD 週間新規失業保険申請件数=20.9万件(予想22.0万件 前回22.1→22.2万件)、

3:00    USD 6月 月次財政収支=-80億ドル(予想-63.5 前回-2078億ドル)

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パウエルFRB議長上院銀行委員会で証言(前日に続き利下げ余地を示唆)
◎インフレ率と失業率の関連性が崩れてきているとの見解を示し、当局に金融緩和の余地がある
◎経済が良好な立場にあり、消費支出も依然堅調とする一方、貿易摩擦を巡る不確実性が見通しの重しになっている
◎企業は投資を抑制し始めている、昨年や一昨年は非常に好調だった企業投資が弱まったと判断される。
◎企業投資は非常に重要で、減速の要因の一つに通商や世界経済を巡る不確実性が挙げられる。
◎若干の金融緩和が適切になり得るとFOMCメンバーの多くが考えている。

ウィリアムズNY連銀総裁発言(政策調整の準備が必要)
◎中国、アジア、欧州で成長減速の兆候が見られる。
◎短期的にはリセッションの可能性は高まらないが、景気拡大の維持で政策を調整する準備が必要。
◎米国の持続不可能な財政の道筋を懸念
◎製造業生産の後退、世界成長や国内雇用増が鈍化など景気の勢い鈍化を示す兆候がいくつか見られる
◎今年の経済成長率は2.25%前後で、長期潜在水準と自身が考える水準を上回ると引き続き予想。

ボスティック・アトランタ連銀総裁発言(利下げに反対)
◎米経済は雇用と物価の両面で良好で、物価見通しが悪化している明確な兆候はない。
◎過去1年で経済へのリスクはたかまるも、地区の企業は事業縮小を検討せず、将来を悲観もせず、企業の見通しは非常に安定している。
◎インフレ期待が目標からそれず、強い米非農業部門雇用者数を考慮すると金利据え置きが妥当。
◎最も変動が大きい条件を除いた「ノイズ」が少ない実質的なインフレ基準は「責務である2%での物価安定に非常に近い」
◎FRBの責務は米経済に尽くすことであり、特定の市場に尽くすことではない。
◎経済的な「嵐を引き起こす暗雲」は、実際にはまだ嵐を引き起こしていない
◎上半期の米経済成長率は予想より力強かったとし、今年の成長率は最高2.5%になる

バーキン・リッチモンド連銀総裁(利下げ根拠は乏しい)
◎小幅な利下げをしても企業の価格決定には効果がなく、大幅な利下げは望ましくない物価上昇を招く恐れがあり、利下げの根拠は乏しい
◎足元のインフレ率やインフレ期待が追加緩和の引き金になるとは考えず
◎コンタクトしている企業は雇用や投資を削減していないが、貿易や世界成長を巡る不透明感を踏まえ慎重になっている
◎先行きの見通しは前向きだが後ろ向きの要素も内在
◎ブレーキを踏む根拠はあまりないし、失業率がこれほど低く、消費支出も健全であるから、アクセルを踏む根拠もない
◎あいまいな利便性のための介入は慎重に行うべきだ。

IMFユーロ圏に関する年次報告(緩和策は必要不可欠)
◎ユーロ圏経済は通商を巡る緊張の高まり、英国のEU離脱、イタリアの債務問題などのリスクに直面。ECBの新たな刺激策を支持、金融政策を緩和的に維持することは「必要不可欠」。
◎ユーロ相場は若干過小評価。
◎成長率は1.9%(2018年)→1.3%(2019年)→1.6%(2020年)
◎インフレ率は1.3%(2019年)、2022年までECB目標値を達成できず。
◎インフレ期待が一段と悪化した場合、一段の緩和が必要になる可能性があり、新たな資産買い入れは選択肢の1つ。

OPEC月報
◎米シェール増産継続で2020年も原油余剰続く。

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ECB理事会議事要旨(6月6日)「緩和策の準備が必要」
◎不確実性が高い環境下でユーロ圏経済に一段の刺激策を提供する用意を整えておく必要があるとの見解で一致し、金利ガイダンスの変更や利下げのほか、新たな資産買い入れを挙げた。
◎金利ガイダンスを変更し、少なくとも2020年上半期を通して金利を低水準にとどめる。こ
◎新型の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO3)に適用される金利を、最も低い場合でマイナス0.3%(中銀預金金利に0.1ポイント上乗せ)とすることも決定。
◎インフレ率が低水準にとどまった場合は一段と戦略的な措置を検討する。
◎インフレ率については、2021年の見通しである1.6%はECBが設定する目標から「やや離れている」との見方を示していることが判明

クーレECB専務理事
◎ユーロ圏の債券価格に織り込まれた低インフレ予想をうのみにしてはならない
◎政策当局は金融市場のシグナルを決して無視すべきではないが、あまり注視しすぎてはならない

欧州委員会
◎プロス沖で「違法な」石油・ガス掘削活動を行っているとして、同国とのハイレベル協議を停止するとともに、来年のトルコ向け資金支援を凍結する見通し

BOE金融安定化報告(無秩序な離脱でポンド急落のリスク)
◎EUから合意なしに離脱するリスクは増したと指摘し、そうなった場合ポンドと国債、住宅価格は急落する恐れがある
◎EUから無秩序な離脱となれば「著しい市場のボラティリティーと資産価格の変動」が見込まれるとし、「重大な経済混乱」に陥るリスクもあるとの見方を示した

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トランプ大統領
◎ドル高が自らの経済アジェンダの脅威になると懸念を募らせ、ドル押し下げの方策を考えるよう側近に求める。
◎トランプ大統領は、FRB理事に指名予定の、シェルトン氏、ウォラー氏との面接を先週行った際もドルについて尋ね、自らの再選に寄与すると期待する経済ブームをドル高が鈍らせる恐れがあると嘆いたという。

クドロー国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン米財務長官(関係者)
◎ドル押し下げを意図するいかなる介入にも反対

欧州委員会の次期委員長に指名されたドイツのフォンデアライエン国防相
◎英国がEUに残留することをやはり望む。必要なら10月31日の離脱期限の再延期も認めるべき

バイエル氏(ドイツ政府で欧米関係のコーディネーター)
◎EU加盟国は今後数カ月間に米国が自動車など複数の分野でEUに関税を発動する可能性に備える必要がある
◎トランプ政権はEUとの対話に引き続き関心を示しているが、航空機補助金やガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」、欧州産自動車の輸入を巡り関税や制裁を発動する構えのようだ。
◎自動車関税については、11月半ばに発動される可能性が高い。EUが農産品を通商協議の対象にするのを拒んでいることなどに米国がしびれを切らせているとした上で、EUとして強い姿勢で結束を保つ必要がある。
◎ロシアから欧州に天然ガスを送るプロジェクト「ノルドストリーム2」を巡り米国が早ければ8月か9月にも欧州企業に制裁を課す可能性がある。

10日のFOMC議事要旨(ロイター)
◎銀行が米国債などの証券を担保にFRBから借り入れを行うことを可能にする政策手段について是非を議論した。
◎そうした常設の固定金利レポ取引プログラムは、月末や四半期末に起こる頻度が増している短期金融市場での急激な金利上昇による影響を回避するためのバックストップとして機能する。