2018/03/03

2018年3月3日(金曜)昨日2日、海外市場の動き

2018年3月3日(金曜)昨日2日、海外市場の動き

週末の金曜日、激動の一週間は終わった。トランプ大統領は全ての国を対象に輸入制限措置を選択。ロス米商務長官は「いかなる戦争(貿易)でも多少の犠牲者は出る可能性がある」とし、トランプ氏は「貿易戦争は良いものだ、勝つのは簡単」とツイート(本心はいつもながら不明)。

米国の貿易摩擦を生み世界経済に悪影響を及ぼす可能性を危惧。結果、株安の連鎖は欧州で加速するも米国でようやく終息し終了。VIXは低下し米債利回りは上昇するも、ドル相場は一日を通じてドル売り傾向が残るが、通貨間で動きは異なる。

USDJPYは、トランプ大統領の輸入制限による報復措置を含めた市場の混乱と株価の下落に円高傾向が続く中、黒田日銀総裁が「19年度ごろに出口を検討していること間違いない」との発言に106円を割り込み加速。米国市場に入り米株の下げ止まりに105円の大台を死守し105.20のボトムからようやく反発。米国市場の終盤にかけては米株の上昇が強まり、債券利回りが上昇する中、105.70台まで値を戻すも、前日比では続落傾向が続く。

GBPUSDは、ブレグジット交渉の難航に反発力は弱く小幅な反発にとどまり。メイ首相のメイ英首相のEU離脱方針演説は「市場から離脱する一方で、EUと緊密で包括的名FTAを目指す考え」を表明し、離脱後5つの交渉原則を提示。ただし、EU司法裁判所(ECJ)の管轄権については言葉を濁らす。ハード・ブレグジットの懸念は払しょくすることはできず、大枠1.3550~1.3820のレンジ内で、GBPUSDの反発も限定的で1.3800で終了。

USDCADは、アジア市場の1.2820近辺をボトムに、アジア・欧州・米国市場に入り、カナダGDP前月比が予想外に弱く、前日の高値1.2896を超え1.29台まで続伸。1.2876を戻り安値に強い米株に1.2916までさらに上昇。終盤にかけては1.2870まで値を下げるもカナダドル安の流れを維持。ただし、1.27~1.29のレンジの新たなレンジ上限を超えられるか注目。

米株は大幅下落からスタートするも終盤にかけて持ち直す。ダウは-70.92(-0.29%)下落するも、NasdaqとS&P500は反発しプラス圏で終了。欧州株は弱く、StoxxEurope600は-7.82(-2.09%)と大幅下落、独DAXと英FTSE100も大きく値を下げている。

債券利回りは続落するも、一時の下げからは回復。米10年債利回りは一時2.8%を割り込み2.796%まで低下するも、米国市場に入り反発し2.863%(+0.056)で終了、2年債強く2.250%(+0.040)へ。独0.653%(+0.0082)、英1.476%(+0.0042)と上昇へ。

原油価格(WTI)は61.45+0.46(+0.785%)と60ドル台を維持し61.13をボトムに反発。VIXは19.59-2.88(-12.82%)と米株の反発を受け低下。

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CAD GDP=12月 0.1%(予想0.1% 前回0.4%)、前期比1.7%(予想2.1% 前回1.7→1.5%)、前年比3.3%(予想3.4% 前回3.5%)→前期比と前年比が予想を下回りCADドル売りが強まる、

USD 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値=99.7(予想99.5 前回99.9)→ 前回より弱いが予想を上回る

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【米国】
トランプ政権が発動した輸入制限=◎メキシコNAFTA首席交渉官は、加盟国は免除される必要がある。◎IMF、米国が輸入制限発動なら広範な経済被害広がると懸念。◎トルドーカナダ首相は全く容認できず。◎マルムストローム委員(通商担当ら「非常に不公平」で報復措置に踏み切る可能性を警告。◎欧州連合(EU)は対抗措置として米国からの輸入に関税をかける際に対象となる物品のリストを作成→ハーレーダビッドソンの二輪車、リーバイ・ストラウスのジーンズ、バーボンウイスキーを対象とした輸入関税を検討。◎ガブリエル独外相は「極めて懸念」。◎ツィプリース独経済相も世界貿易をゆがめると批判。◎ドイツ産業連盟(BDI)のケンプ会長は米国の孤立政策は誤りだと批判。

ロス米商務長官(ブルームバーグ・インタビュー)=鉄鋼・アルミニウム輸入への関税について、トランプ大統領は全ての国を対象とする措置を選択。

ロス米商務長官(CNBCのインタビュー)=いかなる戦争でも多少の犠牲者は出る可能性がある。それは本来的な性質だ

トランプ大統領=米国、金属輸入が国家安全保障を脅かしていると主張。「貿易戦争は良いものだ。勝つのは簡単」とツイート
       
【ユーロ圏・英国】
メイ英首相のEU離脱方針演説=欧州単一市場から離脱する一方で、EUと緊密で包括的なFTAを目指す考えを表明。規制を定める権限をEUから取り戻す業種がある一方、離脱後5つの交渉原則を提示し医療や製薬分野については現状のEUの規制を維持する一方、農業や漁業、金融、放送分野についてはEUから権限を取り戻した上で完全に変更する考え。

メイ英首相のEU離脱方針演説=保守党議員に現実直視を呼び掛ける。悪い合意ならしない方がまし。ブレグジット交渉は両方とも望み通りにならず。野党労働党や保守党非主流派が支持する関税同盟への残留は拒否→独立した通商政策を追求できるようになりたい。複数のEU機関に準加盟国としての残留を提案。将来的にEU法は英国に適用されず。一部業界のEU機関にオブザーバー参加の希望表明

メイ英首相=ブルームバーグの報道は、メイ首相が重要なレッドライン(譲れない一線)に位置づけていたEU司法裁判所(ECJ)の管轄権について、姿勢を曖昧にした。ECJの管轄権はEU離脱派にとって、主権喪失の象徴となっている。

【その他】
黒田日銀総裁(衆院議院運営委員会で所信の表明)=19年度ごろに出口を検討していること間違いない。2019年度には現在の日銀想定通りに物価目標2%を達成していると確信、その際には「当然出口を検討している」。→ 早期緩和縮小観測から債券先物価格が一時急落、出口戦略の期待感に円買いが強まる。
JPY    BOJ    黒田日銀総裁(衆院議院運営委員会で所信の表明)=物価2%目標実現に向けた総仕上げに全力を尽くす。緩和強化・縮小の双方向で可能性がありうると一般論を述べる。金融緩和を縮小する出口政策については、現時点で見通している「2019年度ごろ」に物価が目標とする2%に達すれば、「出口を検討、議論していくことは間違いない」としたが、物価2%が遠い現段階で出口政策を議論することは市場の混乱を招き、適切ではないと強調。

黒田日銀総裁(衆院議院運営委員会で所信の表明)=2019年度ごろには、2%程度に達すると物価の動向をみているので、当然ながら、出口というものをそのころ、検討、議論していることは間違いないと思う。ただ、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価は小幅のプラスにとどまっており、今の時点で出口戦略を云々すると、市場を混乱させるおそれもあり、あくまで出口に差し掛かったところで出口戦略についての議論を進め、市場とのコミュニケーションを図っていくことになると思う。

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