2018/03/04

今週の為替相場を考える(3月5日~3月9日)

今週の為替相場を考える(3月5日~3月9日)

為替相場を多方面で考えると、世界的な株安がいつどこで終わり反発するのでしょうか? 米債利回りの上昇はいつまで続くでしょうか? トランプ政権が発動した輸入制限に対して報復の可能性を含め世界経済への影響がどこまで広まるのでしょうか? 

パウエルFRB議長の議会証言から米国は利上げの道を突き進む流れは変わらずで、小康状態にある米債利回りと米株の動きは引き続き為替相場にとって重要ですがこの流れを変えるような材料は現状では見当たりません。

これらを考えると、ドルブル派は米金利の上昇傾向は続き他国との金利差拡大によるドル高と、ドルベア派はトランプ政権の経済政策の不安感が拡大し米資産からの逃避によるドル安を意識しやすいと思われます。

英国は、総合CPI前年比が3.0%台に定着しコアCPI前年比が2.7%に上昇するなど、インフレ抑制に向け早期利上げを目指すも、メイ英首相のEU離脱方針演説からもブレグジット交渉の行方は不透明で、ハードブレグジットのリスクを払拭できず、株安の状況では5月の利上げ期待はやや低下気味。

ユーロ圏は、目の前のイタリア総選挙による混迷とドイツ連立政権の早期樹立の有無という、2台イベントの結論によって相場変動は避けられませが、ユーロ圏経済は強さを維持しEURUSDの下げ幅も限定的で、EURは予想外に検討しています。欧州株安と債券利回りの低下からリスク回避の動きが強く、ユーロ圏CPI前年比は1.2%へ低下しECBの方向転換も先送り切り気味。2月26日に欧州議会の経済金融委員会証言でドラギECB総裁は金融緩和を続ける考えをあらためて示しており、3月8日のECB理事会は金融政策の据え置きが確実視されていますが、織り込み済みと考えてもいいでしょう? 台風の目はドラギECB総裁の記者会見。

日本は、黒田日銀総裁の再任とハト派副総裁の就任による日銀の緩和継続姿勢は変わらず。ただ、2日の黒田日銀総裁(衆院議院運営委員会で所信表明)は「19年度ごろに出口を検討していること間違いない」と発言、「2019年度には現在の日銀想定通りに物価目標2%を達成していると確信」との発言も円買いの材料にされ、テクニカルでも円高の流れが続いています。

資源関連通貨のAUDとCADの弱さが目立ち、豪州は豪中銀の早期利上げ期待は弱まり来年の前半までと先送り感が強まり、カナダの早期再利上げ期待も、現状ではその可能性が弱まっています。

週ベースの株価を見ると、経平均株価は終値ベースで2月9日の安値を割り込み下落、ダウは大枠24500~25500のレンジで推移、独DAXは終値ベースで昨年8月の安値を割り込み下落。英FTSE100も終値ベースで2月9日の安値を割り込み下落。

週ベースの債券利回りを見ると、米10年債は3.0%の重要なポインを意識しながらも、過去3週間は大枠で2.8~3.0%のレンジを維持。2年債は米3~~4回の利上げ観測が強く2.0%を底固めし大枠2.2~2.3%と緩やかに底値を切り上げています。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】

◎USDJPY【予想レンジ 続落←104.50、105.15~107.50】

世界的な株安と米債利回りの上昇スピードの減速、トランプ大統領の保護主義的な通商政策、黒田日銀総裁の「2019年度には現在の日銀想定通りに物価目標2%を達成していると確信」との報道は、ソフトテーパリングの印象を強め、円買いの材料にされています。テクニカルでも、EURJPYとGBPJPYは200日移動平均線をようやく割り込み、円買いに拍車をかけていが、目先の第一段階の達成したことで、円買いの流れが一時的に弱まる可能性も否定できずにいますが、潜在的な円売りポジションをどこまで解消してくるのか、不透明な部分も多く残っています。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=107.47、Upper=109.75、Lower=105.19と、引き続きLower~Basisのレンジで推移。

2. Daily Stoch RSI→ K=69.47 D=73.15と、買われすぎゾーン近くで売りへ変化。Weekly Stoch RSI→ K=6.40 D=10.20と売られ過ぎゾーンを継続し、買いと売り変化が交錯。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.21、36日SMA close=108.59と、と下落基調を継続中、Weeklyも200週SMA=112.64、36週SMA=111.12と下落基調を継続中。

IMM通貨先物は、【円】前週-108,338→-96,651(11,687)
円の売りポジションはNo.1で変わらず、2016年11月29日から66週続きながらも、前週比では11,687コントラクト減少しています。増加幅はと2017年11月28日の水準に匹敵し、2週連続し円売りポジションは減少しました。集計日のUSDJPYは集計日ベースの終値で前週比107.32→107.32ほぼ同水準で推移していましたが、その後の円高をきっかけとなってた可能性も。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-0.45→-1.40%と円コールオーバー(ドルプット)が拡大、1か月-1.3→-1.58%、3か月-1.40→-1.60%、6か月-1.5→-1.73%、12か月-1.60→-1.81%と前週末からさらにドルプット・円コールが拡大し、円高リスクのヘッジが強まっています。


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◎EURUSD【予想レンジ 続落1.2250~1.2450】

3月4日のイタリア総選挙とドイツ連立交渉の結果を意識した、週末リスクのヘッジは程度現の相場に織り込まれていますが、予想外のサプライズの結果には注意が必要です。予想通りの結果となれば、逆にEUR買いが強まる可能性もあり、8日のECB理事会での金融政策の据え置きも織り込んでおり、理事会とドラギECB総裁の発言に素直に反応すると思われます。値動きから見れば予想外に底堅く推移している状況を考えてもタカ派の材料に反応しやすく、ハト派の材料では一時的な変化にとどまる可能性も意識しています。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=1.2324、Upper=1.2477、Lower=1.2171で、大枠Lower~basisのレンジで推移へ。

2. Daily Stoch RSI→ K=16.19、 D=9.92と、売られ過ぎゾーン近くで買いへと変化。Weekly Stoch RSI→ K=46.78、D=74.39と、やや買われすぎゾーンにあり売りへを継続中。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=1.1807で乖離幅は引き続き大きく上昇傾向を維持、36日SMA close=1.2328、high=1.2379、Lower=1.2274で、close水準の近くで推移。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週126,126→137,977(11,851)
ユーロの買いポジションはNo.1で変わらず、2017年5月9日から43週続いています。2週間続けて減少後の増加で、増加幅もユーロにしてはそれほど大幅な増加とはいえず、EURUSDは集計日ベースの終値で前週比1.2337→1.2233へユーロ安へと動いていますが、安定した動きとなっています。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.20→-1.20%とユーロプット(ユーロ売り)が拡大するも、1か月は前週-0.60→-0.10%とユーロプットが縮小(ユーロ買い)、3か月も-0.05→0.20%と、6か月と9か月でもユーロコールが拡大。週末リスクを意識したユーロプットの拡大ながら、それ以降ではユーロコールが拡大し、ユーロの先高リスクが強まっています。

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