2018/03/18

今週の為替相場を考える(3月19日~3月23日)

今週の為替相場を考える(3月19日~3月23日)

今週は米国の利上げが期待されるなか、金融政策の違いによる相場の変動要因は潜在的に残るも、目の前ではリスク回避の流の度合いで相場が動く状況は変わらず。市場参加の心理を分析するとトランプ大統領のいつもながらの予期せぬ動きにドルロングも安心して持てず。今週はFOMCを筆頭に金融政策、消費者物価、雇用統計の発表が多く相場変動の要因は多数存在。

米通商問題の懸念、トランプ大統領のホワイトハウス人事の懸念、英国・ロシアの元情報員暗殺未遂事件を巡る対立、EU首脳会でブレグジット交渉を巡る動きと。国内では森友文書の影響拡大と、リスク回避の流れが相場をリードする一因に。

今週もこれらをテーマとして、リスク回避時に弱く、中国との貿易問題の影響を受けやすい資源関連通貨安と円高がテーマとなる可能性は高く、本邦決算期末による輸入決済による円売りの減少と、輸出決済の増加や資本筋ヘッジによる円買いも増加が今週も見られるのか? 21日に東京市場が休場となる中で不確定要因は多数残っています。

先週最も下落幅が大きかったUSDCADは、1.30の壁を上抜け2.22%上昇し、昨年6月下旬の水準へと上昇、テクニカルベースでも弱さが目立っています。NAFTA再交渉の動きから売られながらも、輸入関税の対象外となり値を戻すが、カナダ中銀からは早期の再利上げ期待は遠のき、ポロズ・カナダ中銀総裁から「インフレ高進なくして成長を押し上げられる可能性」と予想外の発言もあり弱さが目立っています。

先週は、中国と貿易関連性が高いAUDUSDは弱く、0.7700ギリギリで下げ止まり1.76%下落、昨年12月末の安値水準へ下落。米中貿易問題の懸念は強く中国と貿易量の多い豪州は売り圧力は変わらず。先の豪中銀声明はハト派で、弱い第4四半期GDPもあり強さが見られず。NZDUSDも政治的な不安英要因もありAUDUSDに連れ安で0.71台を維持するも0.87%下落。

逆にUSDJPYは、森友文書の波紋が広がり政治的懸念要因が拡大、米国の貿易戦争へのリスクやホワイトハウス混乱もあり安全資産としての円買いは止まらず。円ショートの巻き戻しも強く0.81%下落し、円クロスではCADJPY2.94%、AUDJPY2.52%、NZDJPY1.67%下落で、EURJPY-0.92%、GBPJPY-0.13%と比較しても円の強さは一目瞭然。問題は105円の大台を割り込むことができるのか? 割り込んだらどこまで円高が進むのか?


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◎USDJPY相場の見通し 【予想レンジ105.35~106.55を予想、ただし両レンジを抜けると 続落←105.00~106.85→上昇】

森友文書疑惑の広まりはサプライズで、安倍政権への打撃の度合いが注目されます。市場では株安=円高のリスクを引き続き意識し円ショートの巻き戻しも見られます。ホワイトハウスの混乱や、米中や日米貿易問題への懸念=円高圧力の可能性を意識しながら、目先はどこまで円高が進むのかを見極める動きが予想されます。市場参加者の心理を考えると、短期は円高を意識、中長期のドル高の予想が多く見受けられも、テクニカには円高傾向が続いている間は105円の大台を意識した動きで、上値の重い展開は変わらず。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=106.55、Upper=107.55、Lower=105.56と、LowerからBasisのレンジでの動きが続く。

2. Daily Stoch RSI→ K=69.79 D=77.86と、買われすぎゾーンで売りへと変化し続落の可能性も。Weekly Stoch RSI→ K=11.32 D=10.28と売られ過ぎゾーンにあり、売りから買いへと変化しているが、短期の影響がより強くどこまで買いに影響を与えるか不明。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.00、36日SMA close=107.90と、と下落基調を継続中、Weeklyも200週SMA=112.69、36週SMA=110.75と下落基調を継続中。

IMM通貨先物は、【円】前週-86,845→-79,539(7,306)
円の売りポジションは、2016年11月29日から68週続け通貨ペアの中ではNo.1の座を維持していますが、直近では4週連続で減少7-79,539コントラクトと減少気味で昨年9月26日に次ぐ低水準へと変化。集計日のUSDJPYの終値は106.57と前週の106.13から若干の円安となっています。もっとも集計日後には105円台半ばまで円高が進んでいます。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-0.80→0.95%と円コールオーバー(ドルプット)が拡大、1か月1.05→1.20%、3か月-1.35→-1.45%と6か月~1年まで円コール(ドルプット)が拡大しており、円先高リスクが強まっていますが、3か月を見ると2月9日のピーク-2.1%からは縮小傾向にあります。


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◎EURUSD【予想レンジ 続落1.2200~1.2350】

トランプ大統領の通商政策に翻弄され、報復措置を検討にリスク回避の流れが強まり、当事者のEURに対しても売りのプレッシャーが強まる。今後EUと米当局の話し合いもあり次第でこの動きには要注意。また、22~23日のEU首脳会談でブレグジット交渉の期間延長を認めるのでしょうか? またはどのような条件を提示するのでしょうか? この動きも注目。全体的にEURUSDの上値の重い展開で1.2300を割り込んでいることから、この水準を回復し底値になることができるか注目。それまでは緩やかな下げを意識せざるを得ない。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=1.2321、Upper=1.2431、Lower=1.2211、緩やかな下落でLower~Basisのの間でBasisに近い水準で推移。

2. Daily Stoch RSI→ K=58.39、 D=62.73と、ニュートラルからやや買われすぎゾーンにあり売りへと変化。Weekly Stoch RSI→ K=37.25、D=53.57とニュートラルゾーンにあり売りを継続中。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=1.1863で乖離幅は引き続き大きく上昇傾向を維持、36日SMA close=1.2348、high=1.2398、Lower=1.2302で、Closeが高値になって上げ止まっている。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週132,972→146,380(13,408)
ユーロの買いポジションは、2017年5月9日から45週続け、先週も大幅に拡大し、ネットのロングポジションとドルベースの金額共に、私が2009年1月から統計を取り始めてから最大の金額となっています。集計日のEURUSDの終値は1.2389で前週の1.2403から小幅なユーロ安となっています。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.10→0.10%と変わらず。1か月は前週0.20→0.15%とユーロコール縮小(ユーロ売り)、3か月超は大きな変化は見られず、現状の水準の継続が予想される。

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