2018/03/11

今週の為替相場を考える(3月12日~3月16日)

今週の為替相場を考える(3月12日~3月16日)

北朝鮮関連の動きと日銀テーパリング有無に翻弄する円相場。インフレ動向とトランプ政権の保護主義的な通商政策やホワイトハウス混乱で翻弄するドル相場。ブレグジット交渉の思惑に翻弄するポンド相場。イタリア総選挙・独連立政権樹立と目先のリスク要因が捌けたユーロ相場。米輸入関税の対象外となったカナダドル相場。

円相場は、1.北朝鮮の動向には短期的にも非常に敏感で変動する流れは変わらず。2.株価や米10年債利回りとの連動性が薄れながらも、日銀の金融政策の変化の有無に敏感に反応。3.米利上げ期待度の変化(今週は米CPI)が重要。、4.米通商政策、ホワイトハウスの混乱(コーン米国家経済会議(NEC)委員長は辞任→ ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長の発言権拡大)の流れも要注意です。

1.南北首脳会談や米朝首脳会談の可能性など北朝鮮絡み動きの報道で為替相場は上下変動し「平和的な動き=リスク選好の円売り」、「交渉決裂=リスク回避の円高」で、この動きは変わらず。今後の交渉でも「ディール(取引)」の達人でもあるトランプ大統領のことを考えれば、中国との利害関係を抜きにして今後の展開も考えにくいのではないでしょうか?

2.金融政策では、他の主要国の多くが緩和政策の解除や解除に向けた動きを続けている状況で、日銀がいつまで現行の超緩和的な金融政策を継続するでしょうか? 当面は現行政策の変更は期待できそうになく。→ 円売り要因。

3.3月13日の米CPIは前月比予想 0.2%(0.1~0.4%) 前回0.5%、前年比予想2.2%(2.1~2.3%)  前回2.1%、コア前月比=予想0.2%(0.1~0.3%) 前回0.3%、コア前年比予想1.8%(1.8~2.0%) 前回1.8%と、前月比ではやや低下、前年比ではやや上昇気味の予想と混乱が予想されます。

4.トランプ大統領の輸入制限などの保護主義的な通商政策に対して日本はどのように対応するのでしょうか? また、米国は「国家安全保障」という大義名分のもとに決めた、鉄鋼とアルミニウムに対する関税措置で、今後日本を適応除外国に指定するのでしょうか? (輸入制限の措置を巡りコーン氏が辞任しナバロ氏が台頭しているとの観測も強い)

日米同盟国の絆を考えれば除外国に適応されると思われますが、相手が「ディール(取引)」の達人でもあるトランプ大統領となれば、何らかの見返り措置が要求されると考えるのが一般的で、通商政策に利用されるこが多い、為替相場「ドル円相場」で円安を容認するとは考えにくい点もあります。

長くなりそうなのでこの辺で一区切りをつけ、以下個別の通貨ペアで今後の動きを考えてみたいと思います。

以下は週足チャート上だけで、先週の動きを見てみましょう。

主要通貨
Weeklyチャートからレンジと方向性 「→(横ばい・レンジ) ↑(上昇) ↓(下降))
USDJPY 105.50~107.50 ↓→
EURUSD 1.2200~1.2500→ 1.2150↓~1.2550↑
GBPUSD 1.3700~1.4100 ↓→
AUDUSD 0.7700~0.8000 ↓→
NZDUSD 0.7200~0.7400 →
USDCHF 0.9350~0.9550 ↑
USDCAD 1.2800~1.3000 1.2600~1.2900 ↓→
EURGBP 0.8700~0.900のレンジ相場が昨年9月22日の週から続く →

円クロス
全てがダウントレンドながら相場転機の可能性も
EURJPY 129.50~132.00(132.00↑ 130.00↓)
GBPJPY 145.00~150.00(151.00↑ 145.00↓)
AUDJPY 81.50~84.00(84.00↑ 81.50↓)
NZDJPY 76.00~78.50(78.50↑ 76.00↓)
CADJPY 81.50~85.00(85.00↑ 81.50↓)

株債券
〇日経平均株価 21,000割れでボトム感が強まり、21,000~22,500→↑
〇NYダウ 24,200~25,800→ 25,500↑、24,000↓
米S&P500 2,600~2,800→ 先週末に過去4週間の上値を抜け、2月2日と2月9日の週の窓埋め↑
〇米10年債利回りは2.80~3.00→
〇米2年債利回りは2.20~2.23→↑

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◎USDJPY相場の見通し 

IMMシカゴの円先物ポジションのショートは引き続き高水準にありますが、3週連続で減少し円先安期待がやや後退し、USDJPYオプションのVOLも低下し、リスクリバーサルでは円先高リスクがやや後退し2月中旬から後半の水準へと逆戻り。

北朝鮮との雪解けムードは、円相場にとっては株高=円売り要因となり、米輸入制限措置の適用除外の有無も相場の変動要因へ。「貿易不均衡の是正=自国通貨安」で対米を考えれば円高への動きが期待されるも、トランプ大統領はどのような追加措置を講じるか予見できず。結果、米CPIの結果を見ながら、FOMCの利上げ期待度の変化による変動や、次の大きな材料が出るまでは、やや円安傾向ながらテクニカル面ではレンジでの取引が考えやすい。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=106.76、Upper=108.18、Lower=105.35と、Basisを上抜け新たな動きになる可能性も。

2. Daily Stoch RSI→ K=76.19 D=67.14と、買われすぎゾーンで売りから再度買いへと変化、次の売りサインには要注意。Weekly Stoch RSI→ K=8.20 D=10.28と売られ過ぎゾーンにあり、買いから売りへと変化し、次の買いサインには要注意。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.09、36日SMA close=107.96と、と下落基調を継続中、Weeklyも200週SMA=112.66、36週SMA=110.97と下落基調を継続中。

IMM通貨先物は、【円】前週-96,651→-86,845(9,806)
円の売りポジションはNo.1で変わらず、2016年11月29日から67週続きながらも、直近比では3週連続の減少で、昨年10月3日の水準に逆戻り。当時の集計日のUSDJPY終値は112.844で今回の集計日の106.13円と比較すれば、現在は6.7円近くの円高水準となっています。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-1.40→-0.80%と円コールオーバー(ドルプット)が縮小、1か月-1.58→1.05%、3か月-1.60→-1.35%、6か月-1.73→-1.55%、9か月、12か月も先週から変化し円コールオーバーが縮小し、円先高リスクが弱まっています。USDJPYオプションのボラティリティは低下し、1か月は8.14%と今年2月序盤の水準近くへと低下し相場変動が弱まっています。


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