2018/03/25

今週の為替相場を考える(3月26日~3月31日)

今週の為替相場を考える(3月26日~3月31日)

今週もリスクを気にした動きを予想。既に多くのマスコミ報道はコメントで目に耳にしている通り、22日に米国は中国に知的財産権の侵害などお題目にして最大1300品目で約600億ドル分に25%の関税をかける通商301条を発動し、23日には鉄鋼25%・アルミ15%の関税を課し輸入制限がスタート(中国・日本は例外対象国に入れず、最終決定は4月)。

中国は当然ながら報復措置を検討しており、米国産の豚肉やワイン等128品目で最大25%の関税を上乗せする案を公表済み。中米大使いわく、その中には『米国債の購入減額』もあると言い「米債利回りの上昇の懸念=世界的経済への悪影響」が気になる。仮にそうなっても日本に肩代わりさせるとでも思っているのでしょうか?最もどこまで「ブラフ」でどこに着地点を見いだせるかは今後の米中間の裏交渉次第になりそうで、米国と中国発の要人発言で相場が動くことは間違いない。

肝心の日本はどうだろう? 森友文書の財務省改ざんに伴うごたごたに安倍政権の支持率は大幅低下。そんなことをしている状況なのか? と思えるトランプ大統領の対日貿易赤字削減への強力なプレッシャー! 報道では各国首脳との面会時に(日本と対象と思える)「ほほえみを浮かべている。そのほほえみの裏には、こんなに長い間米国を利用できたことは信じられないという思いがある」と言い、極めつけは「貿易問題で、日本に対し米国を利用した時期は終わったと」ともある。さて、さて、今後どうなることでしょうか? 「ブラフ」であることを信じたい。

先週のFOMCの結果と今後の評価と米ネット関連の株安は蚊帳の外に置かれ、テーマはもっぱら米国の通商政策に絞られたようになっている。今週は月末・週末・四半期末で日本では年度末。30日の金曜日はグッドフライデーで米国を含めて主要国は休場となり、最重要の経済指標や発言、金融政策の発表もなくイベントが極めて少ない。逆に期末要因による特殊玉と、貿易摩擦に関する要人発言で相場変動が大きくなることが予想される。

当然ながら、「貿易摩擦の深刻化=リスク回避の円高」、「貿易摩擦の抑制発言=リスク選好の円安」の動きは変わらず。EUと豪州は23日の鉄鋼・アルミニウムへの関税措置の一時的な対象外となり、それなりに対円でのクロスを除き通貨は安定へ。


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◎USDJPY相場の見通し 【予想レンジ 105円台を維持できなければ続落へ。】

国内FX業者のレポートでは円のショートポジションが拡大とあるも、IMM通貨先物ポジションでは、歴史的な円ショートの動きに変化も。最新発表の円ショートポジションが大幅に減少し5週連続の削減とあり、株価の下落と同調した動きは同じ。現状では米国発の貿易摩擦の解消を求める動きは止まらず、中国との貿易戦争のリスクは解消できず、日本との新たな「貿易赤字削減=円高リスク」の動きがどこまで続くのか? 先週のWeeklyチャートの終値は昨年11月7日の米大統領選当時の水準へと円高が進みトランプ効果のドル円の上昇も今は振出へ逆戻り、100~105円、105~110円のどちらのレンジとなるか? 105円の大台を境に更なる円高へと動くのか見極める週へ。

USDJPYのボリンジャーバンドは、Daily=ベース106.22、上限107.33、下限105.11で先週は下限を割り込み下落。ストキャスティック・RSIは、Daily=K41.60、D60.27と、3月15日に売りサインへと変化し継続しながらニュートラルゾーンへ。

移動平均線は、日足=200日SMA110.89、36日SMA106.98とドル売り圧力に変化は見られず。1時間チャートでは、安値を更新して終了しており下落リスクの継続が意識され、週足では5か月弱かけて、トランプ大統領の台頭に始まったドル買い水準となる11月7日の水準に逆戻り。

IMM通貨先物は、【円】前週→-79,539→-21,999(57,540)
円の売りポジションは、2016年11月29日から69週続け7通貨ペアの中ではNo.1の座をかろうじて維持しながらも、今週の減少幅は記録的で直近では5週連続の減少へ。集計日のUSDJPYの終値は106.53と前週の106.57から若干の円安。もっとも集計日後には105円台を割り込んでいますので、さらにショートが減少していることが予測できる。

USDJPYオプション
USDJPY 25delta Risk Reversal   21:30   
1週間は前週末の-0.70→-1.35%へと動き円コールオーバーが拡大、1か月超も総じて円コールが拡大し円先高リスクを意識した動きへ。           
date USDJPY1w USDJPY1m USDJPY3m USDJPY6m USDJPY9m USDJPY12m
16-Mar-18    -0.70    -1.10    -1.35    -1.50    -1.65    -1.70
19-Mar-18    -0.95    -1.15    -1.35    -1.55    -1.70    -1.75
20-Mar-18    -0.70    -1.10    -1.35    -1.50    -1.65    -1.70
21-Mar-18    -0.70    -1.10    -1.30    -1.50    -1.65    -1.70
22-Mar-18    -1.00    -1.00    -1.35    -1.55    -1.65    -1.70
23-Mar-18    -1.35    -1.40    -1.55    -1.65    -1.75    -1.80


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◎EURUSD相場の見通し  【予想レンジ 1.2250~1.2400 】

EUは鉄鋼・アルミの米輸入制限国の対象国から一時的にせよ外れる。ECBは9月の債券買い入れの終了と早めの利上げ期待が残り、米国の強硬は通商政策のリスク回避通貨としても選択される反面、ECBは通貨ユーロ高を懸念する動きもあり、今年に入って大枠1.22~1.2500の300ポイントでの動きが続く。EURJPYは逆に137.50台を高値に129円台まで続落し、EURJPYの下落の影響もEURUSDの上値を抑える動きとなっているが、今週はどうなるのだろうか? 当面は今までのレンジ相場を変える期待感も持てず。

EURUSDのボリンジャーバンドは、Daily=ベース1.2317、上限1.2425、下限1.2209で、ベースを中心としたレンジ相場を維持。ストキャスティック・RSIは、Daily=K38.16、D39.33と、3月15日に売りサインへと変化し継続しながらニュートラルゾーンへ低下し、今度は逆に上昇へと変化する兆しも。週足でも2月5日に売りサインへと変化し、K35.12、D45.14で売られすぎゾーン近くにあり、数週間この水準にとどまるか上昇傾向となれば買いサインへと変化する可能性も。

移動平均線は、日足=200日SMA1.1891で乖離幅は大きく上昇を続け、36日SMA1.2332を中心としたレンジ相場で変化は見られず。週足で1月8日の週に、今までの高値1.2092を終値ベースで上回り上昇を続けながらも、1.2550台を高値に伸び悩み週足でもレンジ相場が続く。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週146,380→132,739(-13,641)
ユーロの買いポジションは、2017年5月9日から46週続け、今年の1月2日以降では12.6万~14.6万台の水準で安定推移し大きな変化は見られず。前週に私が2009年1月から統計を取り始めてから最大のユーロ・ロングの先週からは小幅減少へ。集計日のEURUSDの終値はで前週の1.2389から1.2241とユーロ安へ。

EURUSDのオプション
EURUSD 25delta Risk Reversal  21:30
1週間は前週末+0.05→0.00へユーロコールオーバーは小幅低下し、1か月超でも小幅な低下で若干の変化はあるも大きな変化は見られず。
date    EURUSD1w EURUSD1m EURUSD3m EURUSD6m EURUSD9m EURUSD12m
16-Mar-18    0.05    0.15    0.22    0.30    0.45    0.50
19-Mar-18    0.10    0.15    0.27    0.35    0.45    0.50
20-Mar-18    0.05    0.15    0.22    0.30    0.45    0.50
21-Mar-18    0.05    0.15    0.22    0.30    0.45    0.50
22-Mar-18    0.05    0.15    0.20    0.30    0.40    0.50
23-Mar-18    0.00    0.10    0.20    0.30    0.35    0.45