2017/08/27

今週の為替相場を考える(8月28日~9月1日)

今週の為替相場を考える(8月28日~9月1日)


先週の相場変動の要因となった、トランプ米大統領の保護主義的な強硬発言による混乱の数々と、北朝鮮リスクは今週も変わらず存在しています。また、先週末のジャクソンホールのシンポジウムで、イエレンFRB議長とドラギECB総裁の講演から変化した米金利の低下とドル売りの流れ、特にEURの強さは今週の為替相場にとって重要な位置づけとなる可能性があります。

DXY(ドルインデックス)のWeeklyチャートは92.546と直近の安値を割り込み終値ベースでは2015年1月6日の週以来の低水準まで低下しています。もっとも、週間ベースの安値では昨年6月6日の週91.92まではとどかず、この水準がポイントになりそうです。サブプライムローン問題の2008年11月21日の88.656まで余裕がありますが、相場の動きとしてみれば債券・株式市場が比較的安定する中でドル安傾向はそれなりに意味深い現象ではないでしょうか?

DXYの構成比率の高いEURUSDの先週末終値は1.1920と1.19の大台をクリアし、200週MAを上抜け、DXYと同じく2015年1月5日の週の水準まで上昇し、2014年末の終値1.2097を抜けると大相場になる可能性を示唆しているように思えてなりません。

米10年債利回りは2.166近辺で下げ止まっていますが、利回りの低下傾向は止まらず。逆にFF金利との連動性が高い米2年債利回り8月11日の安値1.284%から先週末に一時1.34%台まで上昇するなど比較的安定し、長短金利差が縮小傾向にあります。

米株ですが、ダウは21800ドル台を維持し、S&Pも2440ドル台を維持しています。ある意味では底堅く推移し、MSCIEM(新興国株インデックス)は1,085.37まで上昇を続け、2014年9月5日の1,096.83に次ぐ水準をめざし上昇を続けており、市場参加者が危惧してやまない株価の暴落の兆候はいまだ見られません。

今週の主な材料でも記載していますが、今週末にはメインイベントの米雇用統計が控えていますが、来週以降に目を向けるとECB理事会、FRB、米債務上限問題、NAFTの通商交渉など、相場変動要因が目白押しに控えています。



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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 108.50~111.00】


USDJPYは、過去4週連続で大枠108.60~111.00のレンジで修練し、過去3週間では上下変動しながらも終値ベースでは109.172、109.199、109.322と、ほぼ同水準で週を終え、円ブル派や円ベア派の両方から落胆の声が聞こえてきそうです。円クロスでもクリアなトレンドのある動きも見られず、EURJPYだけが8月4日の週の終値130.303に並ぶ130.301で終了し、7月28日の週130.058と130円台でボトム感が強まれば上値を目指す動きが期待でき、結果的にUSDJPY相場にも影響を及ぼす可能性もあります。

StockRSIのDailyでは、K=61.01、D=49.42とニュートラルゾーンにあり、売り買いのシグナルは弱く判断できない状態です。移動平均線では、7月21日に200日MAを割り込んでから続落中で、現時点でも遥か上の112.47に位置しています。36日MAは110.94に位置し上値のポイントとなっており、この水準を上回るまでは円安の反転を確認できそうにありません。

IMM通貨先物では、【円】-77,492→-74,086(+3,406)と、ネットショートのポジションは他を引き離し圧倒的なNO.1ですが、5週連続でショートが減少中でレンジ相場入りとなっていますが、市場の円先安観が弱まっています。

USDJPYオプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週-1.0→-0.55へ、1か月も-1.15→-0.95へと軟化、12が月までも軟化傾向が強まり、ドルプット・円コール圧力が弱まっています。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1750~1.2100】


膠着状態から上値を抜け出した期待の星。ドラギECB総裁はユーロ圏の景気回復は前進と発言。ドルからの逃避先として選択されたと思われますが、ユーロ圏発の経済指標も強さが目立っており、8月2日の週の高値を上抜け、2015年1月第一週の水準まで上昇しています。

冒頭の内容と重複しますが、EURUSDの先週末終値は1.1920と1.19の大台をクリアし、200週MAを上抜け、2015年1月5日の週の水準まで上昇し、2014年末の終値1.2097を抜けると大相場になる可能性を示唆しているように思えてなりません。

StockRSIのDailyでは、K=47.68、D=26.98と売られすぎゾーンを引き続き維持しており上昇余力を残しています。200日MA=は1.0956で先週同様に遥か下の水準に位置し、最近の動きでは36日MAで下げ止まる動きが続いています。その線も1.1686と徐々に接近し下値の重要なポイントになっています。また、WeeklyベースのMA=終値1.1758(高値のMA=1.1876~安値のMA=1.1660)のレンンジ内での推移が3週間続きましたが、先週はこの上限を上抜け上昇の継続が期待できます。

IMM通貨先物では、【ユーロ】79,267→87,976(+8,709)と、ネットロングのポジションは他を引き引き離し圧倒的のNO.1で、ちょうど円のショートを相反する動きとなっています。

EURUSDオプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週-0.30→0.10と、6か月も-0.10→0.00%と、ユーロプットからコールへと変化し、1週間~6か月までが変化をしたことになり、EUR高期待感が強まっています。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2800~1.2950】


GBPUSDは、調査会社ユーガブは、英国民の12か月のインフレ期待が8月に高まったことを報告。家計の1年後のインフレ期待は7月2.5%→8月2.6%へ上昇。ポンド安がインフレ率を押し上げ、今年に入り消費者の可処分所得を蝕むとありました。EURGBPの上昇に加え、EURほど強さは見られず、1.29台で頭打ちの状態ですが、過去3週間では1.28割れをボトムにようやく下げ止まり感も感じられます。

StockRSIのDailyでは、K=17.75、D=7.89と売られすぎゾーンでの推移で変わらず。200日MA=1.2653にあり(高値のMA=1.2703~安値1.2599)、1.2700が下値のポイントに当たります。26日MA=は1.2985にありこの水準を割り込んでから売り圧力が続き、上値のポイントになっています。

IMM通貨先物では、【ポンド】、-31,860→-45,900(-14,040)と、ポンドのショートは予想外に拡大し、増加幅は3月14日の週以来の数字で、水準は5月9日以来の高水準となり、弱さが目立っています。

GBPUSDオプションのリスクリバーサルでは、GBPプットで変わりません。1週間は-0.20→-0.35%へ、1か月は-0.40→-0.45%へ、3か月-0.65→-0.70とポンドプットが拡大していますが、6か月~12か月は逆に低下し、目先のポンド安感が表れています。


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