2017/08/06

今週の為替相場を考える(8月7日~8月11日)

今週の為替相場を考える(8月7日~8月11日)

盛り上がったドル売りの流れも、先週3日にBOEが「成長見通しと賃金の伸びを下方修正」し下落したポンドに加え、週末4日の強い米雇用統計で売られ続けたドルも一週間前の水準へと逆戻りしており、この流れにドルショートも調整が進んでいることでしょう。

今週は夏休みの最盛期となり政治的な動きも弱まり、市場参加者の関心は、「ドル売りが再開するのか?」、それとも「ドル買いへと変化するのか?」、この二つの疑問に思惑が交錯することになるでしょう。

トランプ氏の側近では解任や辞任が相次ぎ、オバマケア代替法案は採決できず、当初の超大型財政支出もままならず、税制改革も遅れ、さらに、ロシアゲート疑惑に大陪審が召集され追及の手が伸びることも予想されるなど、本来はドル売り要因に代わりはないのですが、米株(ダウ)は小幅ながら9日連続で最高値を更新。

6月27日を覚えていますか? 米金利の変動とドルの変動が始まった当時の状況を振り返って見ましょう。6月27日にドラギECB総裁は「大規模な債券買い入れや超低金利など、政策を微調整する可能性」を示唆し、世界的に金利は上昇しEURが急伸しドル売りが始まった日です。

またこの日は、IMFは米経済予測知の引き下げを発表、イエレンFRB議長が「資産バリュエーションは一部基準で見ると幾分高い」と株高への警戒感を示し、その日のダウは前日比-89.89ドル下落し、週末29日には-167.58ドル下落しています。

この日を境に米10年債利回りは、2.15%台から7月7~11日に2.39台へ上昇、一時2.3945%まで上昇しながらも、12日のイエレンFRB議長ので「バランスシートの縮小を急ぐ一方で、追加利上げは慎重に判断」との議会証言を境にピークアウトし先週末は2.262%まで低下。NYダウは逆に強く21,310.66→先週末に29日営業日かけて22,092.81と上昇し高値で終了しています。

為替相場は、USDJPYですが、日米金利差の拡大とクロスでの円売りの影響があり、6月27日の安値111.46→7月11日に114.494まで約303ポイント上昇し、米金利の低下と連動しながら先週末はこの日の水準を割り込み円高へと動き、111円台を維持できず円高傾向で、7月4日には一時109.84まで下落し110.68(高値から約381ポイント)で終わっています。市場参加は円高期待が高まっていますが、米金利の低下には限界があると思われます。

EURUSDは6月27日の安値1.1179→8月2日に高値を付け一時1.19098まで約792ポイント上昇、GBPUSDの下落と強い米雇用統計に先週末は1.1773(高値か137ポイント低下)で終了。

GBPUSDも6月27日の安値1.2716→8月3日に高値を付け一時1.3267まで約550ポイント上昇し、ハト派のBOEと強い米雇用統計で先週末は1.3033(高値から二日間で234ポイント低下)で終了しています。

GBPUSDを中心にして直近の下落幅は大きいものがありますが、相場が変動し始めた6月27日の水準から比較すると依然としてGBP高、EUR高の水準にあることを気に留めておく必要がありそうです。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


今週の【通貨ペア別のレンジ予想】




◎USDJPY【予想レンジ109.20←109.80~112.00】


先週は米金利の低下やトランプ政権の混迷に加え、円高が加速するパターンの引き金となる円クロスでも、GBPJPY売りがリードする円買い一斉に始まり一時110.84まで下落し111円の上値を重くしています。

今週のUSDJPY相場も米金利と円クロスの影響を受けやすいのですが、7月12日以降の2年債利回りは1.32%近くをボトムに下げ止まっており、10年債利回りも過去二日間は2.22%をボトムに下げ止まり金利差の縮小も一段落しています。 夏休み入りで東京市場は3連休に入り、実需筋のドル買いが細り薄商いの中で投機的な円買いを仕掛ける可能性と、GBPJPYが再びリードする円売りが加速するか否かを見極める要があります。

StockRSIのDailyでは、K=29.60、D=13.12と売られすぎゾーンにあり、先週同様に通常は反発する可能性が意識されますが、過去2週間と同じく強いダウンサイド圧力の継続にUSDJPYの下落傾向が続く可能性も否定できません。7月21日に200日MAを割り込んでからこの水準を戻り高値に続落傾向が続いています。現時点ではこの水準は112.16に位置しこれを超える円安はあまり期待できそうにありません。

IMM通貨先物では、【円】-121,489→-112,196(9,293)と、ネットショートはNO.1で変わらず一人負けを維持していますが、2週連続でショートが減少し、7月18日の164,338コントラクトをピークにショートは減少気味です。USDJPYオプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週-1.10→-0.95と低下、1か月が-0.95→-1.10へ、6か月が-1.35→-1.50と上昇気味で中期的な円高期待が強まっています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


◎EURUSD【予想レンジ 1.1600→1.1850 OR、1.1700~1.19000】


EURUSDは、1.1900台に入ってからの上昇力は鈍く、GBPUSDの下落にEURGBP高の影響を受け緩やかな下げに留まっていましたが、4日の強い米雇用統計の影響に前週末では7月28日の水準近くまで逆戻りしています。

9月7日のECB理事会では「大規模な債券買い入れや超低金利など、政策を微調整する可能性」は消えず、ユーロ圏のCPIコア前年比は強く、第2四半期GDP前年比も前回を上回り、独失業者数も低下し、中長期的なEUR高相場の変化は感じられませんが、1.1700を割り込むことになれば、目先のEURロングの調整がさらに強まることも予想されます。

StockRSIのDailyでは、K=59.11、D=76.95と買われすぎゾーンからやや低下し売りに変化しています。200日MA=は1.0893で先週同様に遥か下の水準に位置し、最近の動きでは36日MAで下げ止まる動きが続いています。その線も1.1477 と現状の1.1773近辺から下方に位置しており、現状ではWeeklyベースのMA=終値1.1786(高値のMA=1.1904→先週の高値1.1910、安値のMA=1.0804)がより意識されます。

IMM通貨先物では、【ユーロ】90,842→82,637(-8,205)と、ネットロングはNO.1で変わらず一人勝ちを維持していますが、2週連続でロングが減少し、7月18日の91,321コントラクトをピークにロングは減少気味です。オプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週0.35→0.15と低下、1か月0.47→0.40、3か月0.30→0.25、6か月0.10→0.00%と中期まで低下し、EUR先高期待の流れがやや後退しています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


◎GBPUSD【予想レンジ 1.2950~1.3200】


GBPUSDは打たれ強く緩やかな上昇を継続と思いきや、ハト派のBOEと、予想を上回る米雇用統計に、二日間で高値1.3260台→1.3020台まで急落、終値ベースでも200ポイント弱の低下となりました。1.3000の大台をかろうじて維持していますが、前週末の終値1.3131を割り込んだこともあり、1.3130~50が目先の高値水準となっている可能性もあります。

英国のEU離脱過程のリスクは残りますが、カーニーBOE総裁やブロードベントBOE副総裁が言っている通り、遅かれ早かれ経済成長が続き、賃金の上昇が加速する可能性を肯定していることもあり、続落傾向が続くことには疑問が残ります。

StockRSIのDailyでは、K=56.63、D=79.0と買いから売りへと変化し、水準的にはやや買われすぎゾーンにあります。200日MA=1.2614にあり先週と同じく遥か下方に位置し、26日MA=は1.2952にあり、安値・高値ベースの26日MAは1.2905~1.2998にあり、1.2900~1.2950がボトムになる可能性を意識しています。

IMM通貨先物では、【ポンド】-26,197→-29,452(-3,255)と、ネットでロングへ転換の期待はまたしても裏切られ、逆に若干ながら2週連続でショート拡大しています。GBPUSDオプションのリスクリバーサルでは、GBPプットで変わりませんが、1週間~6か月までが低下傾向にありポンド売り圧力は先週同様に弱まっています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※