2019/05/12

今週の為替相場を考える(5月13日~17日)

今週の為替相場を考える(5月13日~17日)

米中貿易交渉の結果を受け、中国との相互貿易関係の強いAUD(AUDに連動するNZD)の強さは見られず。リスク回避に円、そしてイラン問題もあるのかCHFも買いの流れに同調。GBPはEU離脱交渉の具体的な成果は見られず、欧州議会選挙突入に単独での行動に特化されやすい。EURは成長鈍化もあり利上げ期待は遠のき政治的な問題を抱える国もあり、見通し晴れず。

国家間の交渉はこんなものだろう! 今回の米中貿易交渉の末、米国は対中追加関税を決め13日に詳細を公表する。中国は報復関税をするらしいが具体案は見えず、今後も話し合いを継続するとのことでこれからの交渉を期待したいが、どうなるかは不明でリスク回避の円買いがどこまで続くのだろうか? 

日米通商協議はこれから詰めの協議が再開されるが、強硬な米国の通商政策を見るにつけ、「トランプ・安部」の間柄や「日米の親密な関係」をもってしても、日本に対して強硬姿勢で臨んでくることは間違いない。気になる為替条項は現在のUSDJPY相場の水準で、「どうのこうの」と言われる水準になく気にする必要性も考えにくい。

5月6日の早朝、北京から帰国したライトハイザー氏が「中国は強制技術移転などの問題で法改正をするとの約束を反故した」と怒り、トランプに説明した結果に「中国製品の関税引き上げを警告」したとの報道があった。メディアでの報道なのでどこまでが真実なのかは不明なでもある。

それと、気になるのはイランと米国の緊張の高まりで、イランは核合意を一部停止し、米国は経済制裁を拡大している。米軍の戦略爆撃機がカタールにある米軍基地に到着、米連邦海事局(MARAD)は中東周辺の海域を航行する石油タンカーを含む米船籍の商業船舶がイランによる攻撃を受ける可能性があるとして警戒を呼び掛けている。通商問題でリスクヘッジの円買いと、さらに、イランと米国の緊張の高まりでCHFが選好されているのか直近ではCHFの上昇も目立っている。

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USDJPY 予想レンジ(109.50~110.90)

先週は中国への追加関税を示唆するなどトランプショックもあり予想レンジの下限を週明け早々に下回り予想外の円高となった。今週はこのようなサプライズが続かないことを願っている。米中貿易交渉が継続する可能性、日米通商交渉の動きを考えれば、円高相場を180度変化させることも考えにくい。

先週は109.50近辺を二日にわたりボトムとし下げ止まっており、イラン・米国の緊張がさらに高まりや、中国の豹変などサプライズがなければこの水準が当面のボトムと考えたいが、テクニカルでは円買いサインが続いており、110.20~30をクリアに上抜けするまでは、戻り売りの流れも続きやすい。また、110.90を超えてくれば大転換となるが・・・・ 米債利回りの推移を見るとまだ難しそうでもある。


EURUSD 予想レンジ(1.1100~1.1300)

確かにユーロ圏発の経済指標は強さが見えず、ECBの経済見通しや、欧州委員会の見通しは弱く、ECBの利上げ期待はとりあえず消え去っている。イタリアやスペインの政局も動きも気になるが、かといって積極的なEUR売りにつながらず、1.1200を中心とした動きかが急変するとも考えにくい。

1.1110をボトムに緩やかに、2週連続で底値を切り上げ上昇していることもあり、短期的には底堅い動きとなっている。ただし、長期的なダウントレンドから脱却できず、第一段階として1.1280~90を超えることができるか注目したい。


GBPUSD 予想レンジ(1.2950~1.3100)

我が道を行く流れ。前週に1.3170台の高値まで上昇しながらも、先週は1.2960台まで続落。この間で何があったのか? 相変わらずEU離脱案の合意を得ることができず、メイ首相は先週、早期辞任の声が高まる中、与党・保守党の議員で構成する「1922委員会」の主要メンバーとの会合の開催を提案。

首相はEU離脱プロセスの第1弾が終了後に辞任するとも言われているが、先週の1.2950~60をボトムに、ブレグジットの合意がえられるか待ちでは?


AUDUSD 予想レンジ(0.6950~0.7050)

先の豪中銀の政策金利据え置きに0.7050近辺まで上昇するも、米中貿易交渉でトランプ氏の追加増税発言に0.6960台まで下落。この2大ファクターにもこの90ポイントの狭い水準で動かず。

もちろん今後の中国政府の出方如何ではサプライズがないとも限らないが、現状では上下動けず。テクニカルには売り圧力が続いており、米国の対中関税の引き上げの影響も受けやすいのでは?

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