2019/05/26

今週の為替相場を考える (5月27~31日)

今週の為替相場を考える (5月27~31日)

リスク回避の動きはどこまで続くのか? これが引き続き各相場にとって重要なテーマ。

世間のニュースでご存知の通り、①英国のブレグジットを巡るリスク、②米中貿易摩擦の先行きどうなるか不明なリスク、③ユーロ圏各国の景気鈍化とEU懐疑派議員の台頭リスク、④イラン・米国と緊張拡大のリスク、⑤FRBの不透明な金融政策のリスク、⑥日本では消費増税の実施の有無と実施後の景気鈍化のリスクが存在しています。

取り巻くリスクが多数存在していることで、為替市場で決め打ちし一方向にポジションを傾けることが躊躇われながらも、選択肢としてリスク回避に向けたポジションに傾斜する傾向にあります。事実、株価は軟調で、債券は買われ利回りは低下、通貨ではリスク回避時に上昇する円とスイスフランが上昇し、新興国通貨は弱く、USDCNYは当局のサポートラインと言われている7.00を目指して上昇中で、米国は人民元安に誘導しているのではと懸念している状況となっています。

各リスクの詳細は、あちこちで記載されているので省略しますが、米10年債利回りは一時2.3%を割り込み2年債も一時2.1%台へ突入するなど、債券利回りの低下が目立つ一方、ダウは25,500ドル台、S&P500は2,800ドル台、Nasdaqも7,600ドル台の下げにとどまり、株価の下げが比較的緩やかになっています。

懸念リスクが改善されるような材料が出るか、周囲の発言に変化が生じているかを注視しながら、それまでセオリー通りのGBP、CHYの売り圧力は変わらず、米中貿易戦争で変化がない限りAUD売り圧力も避けられず、EURも買の対象外で、JPYが選好されるパターンを変えることも考えにくいと思われます。

ただ、6月のG20で米中首脳が会談する可能性が高いことを考えれば、何らかの合意やサプライズを期待した動きとなり、ドル買いや円買いポジションの修正の可能性もあり、USDJPY相場は円高傾向を続けながらも円高リスクは予想外に限定的ではないかと思われます。


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USDJPY 予想レンジ(108.60~109.80)

109.00でボトム感も見られたが110円台後半の上値の重さを確認し、結局は取り巻くリスク環境は変わらず、米株と米債利回りは低下し、クロスの円買いが主導の円買いで109.00を再び試す動きへ。人民元安傾向は止まらず、今週もどこまで円高が進むのか? 来日中はランプ米大統領の発言はあまり期待できないが帰国後の発言や、欧州議会選挙の結果、メイ英首相の後任をめぐる動きも気になる。円クロスがカギを握っている状況は変わらず。

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EURUSD 予想レンジ(1.1050←1.1100~1.1270→1.1350)

メイ英首相の党首辞任と首相辞任をついに表明。週末の欧州議会選挙の結果は日本時間の週明け月曜日に判明すると思われる。その結果と、その結果を受けた28日のEU首脳会談が、EUR相場にとって重要なイベントに。

どちらに転ぶかは結果を見るまではわからないが、事前予想ではEU懐疑派の台頭を危惧している。その結果により、EURUSDは1.11を割り込むか1.1260を上回るか、いずれにしても潜在的なユーロ安の流れは変わりそうにない。


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GBPUSD 予想レンジ(1.2600~1.2800)

メイ英首相の党首辞任と首相辞任をついに表明。「Sell the fact, Buy the rumor」のセオリーや、次期保守党党首選、首相選の期待感にポンドの買い戻しも期待できるが、潜在的なリスクに変化なし。となると、一旦は反発することも考えられなくもない。ポンドに対して積極的に買い戻しの期待もできないが、とりあえずどこまで戻すことができるのか? それを確認してから再度売りへ。


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AUDUSD 予想レンジ(0.6850~0.6950→0.7020)

先週の豪州総選挙で予想外にモリソン首相の与党勢力・保守連合が勝利してからは、米国の対中貿易摩擦の激化と若干の抑制発言などもあり0.6860台をボトムに0.6930台を高値とするレンジに収束。サプライズは、ウェストパック銀行が豪中銀は年内に3度利下げを行う見通しを発表したにも関わらず、AUDUSDの下げ幅は限定的で逆に上昇したこと。

これをどう考えればいいのだろうか? AUDショートが膨らんでいたことの反動なのか? それとも、本格的な上昇なのか? テクニカルでは短期は買、中期は売りとなっているが? 

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