2017/12/03

今週の為替相場を考える(12月4日~12月8日)

今週の為替相場を考える(12月4日~12月8日)

相場変動リスクが多数存在し、予想できにくい一週間へ。

感謝祭も終わり12月に入り、クリスマスと年末・年始の相場が動き始めています。例年は12月には相場変動が高まる可能性が高く、傾向としてはドルの上昇・下落過程の最終局面を迎え1月から流れが変化することも多いと思っています。

今週は来週13日のFOMCを前にして重要な米雇用統計が控えており今週のメインイベントであることは間違いありません。ただ、この数字の結果により13日のFOMCの利上げ予想が覆される可能性は少ない思っています。

現実的には、豹変したフリン前大統領補佐官のロシアゲートに関する証言がクシャナー上級顧問やトランプ大統領まで波及するのでしょうか? また、金曜日のNY市場が終わった後に発表された米上院本会議で可決した税制改革法案の行方が、米債と米株を動かしてドル相場を動かすことを強く意識する必要があります。

とは言え、ドルにとってはプラス面とマイナス面が混在する重要な出来事だけに今週の為替相場の予想を難しくさせていることは間違いありません。

過去の経験則から政治ネタは長続きすることはなく、いずれかの過程で反転することは多かったのですが、今回はフリン前大統領補佐官というトランプ陣営の要職に居座っていた人間だけに過去の経験則が今回も生かされるのか不安が残ります。

一方、先週急騰したポンド相場ですが、ブレグジット交渉は精算金で譲歩するも政局が不安定なアイルランド国境問題は残り、EU側が設定した4日までに英国側の作業が終わらない可能性が意識され、12月14~15日、EU首脳会議までにどこまで合意に達することができるかは相変わらず不透明です。

ユーロにとっては小骨がのどに刺さっている状態となっている、独連立交渉の問題は、メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)は社会民主党(SPD)との大連立を模索して協議を開始しユーロ買いへと動いてはいますが、社会民主党の交渉は12月7~9日の大会後になる可能性あり協議が年を越すことは確実と思われています。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 111.00~113.50(不確実性が高まる)】

先週のUSDJPY相場は、北朝鮮のミサイル発射再開のリスク回避と、米株の上昇や米税制改革法案の進展期待などリスク選好の両面の材料が見られました。一方、USDJPYと連動性の高い米10年債利回りの上昇もあり、111円近くから一時113円近くまで上昇するなど、円安が加速し円ブル派にとっては予想外の展開となった。

ただ。週末のフリン前大統領補佐官は司法取引で罪を認め捜査協力との報道に一時111.40台まで急落する動きや、米上院本会議は週末に税制改革法案を可決した流れをどう円相場に読み込むか非常に難しい展開となっています。

DailyチャートのBBは、Basis=112.59、Upper=114.48、Lower=110.69で先週は下限を割り込むことはなく、Basisの112.59を一時上抜けするも終値では、Lower~Basisのレンジで推移。

DailyチャートのStoch RSIは、K=59.72 D=28.65と、完全に売られすぎゾーンにあり先週買いへと変化した流れを維持。

DailyチャートのMAは、36日線が200日線を上抜けし買い継続で長期的な買いの流れは変わっていないが数値はやや低下から横ばいで推移。200日MA終値ベース=111.68、high=112.10、Lower=111.24と先週はこれらの水準を上抜けし円ベアに傾いているが、36日MA終値ベース=112.91をトップに上げ止まり、Lower=112.52近くで先週末は終了しているが、111.50~113.00の動きで上下のポイントは拡大気味。

IMM通貨先物は、【円】-122,602→-110,640(11,962)と、円のショートポジション昨年11月29日から53週間続き、8週連続して10万コントラクトの大台を維持し円の先安センチメントは変わっていませんが、直近2週間は減少気味。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-0.95→-0.25%と大幅低下、1か月も-0.95→-0.60%へ低下、1年までの長いところも低下し、円先安リスクが高まる傾向にある。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1780~1.2020】

EURUSD は、ユーロ圏景況感指数が2000年来の高水準で、独CPIの予想を上回る上昇、ユーロ圏のPMIも強く最近のユーロ圏発の経済指標では強さが目立っています。OECDはユーロ圏経済の上昇修正し、英国とのブレグジット交渉も精算金で英国側から譲歩が示され、独連立協議も社会民主党(SPD)との大連立協議が再開する可能性が高く、全体的にユーロにとっては安心感が強まっています。

一方、これらの好材料にも関わらず、EURUSDは大枠で1.1800~1.1950のレンジ相場から抜け出せずにおり予想外の伸び悩んでいることが気になります。また、米国発のフリン前大統領補佐官の司法取引を認めた捜査協力の影響や、米財政改革法案の可決の影響が予想できにくく予想レンジをワイドにせざるを得ない状況となっています。

DailyチャートのBBは、Basis=1.1768、Upper=1.1981、Lower=1.1554で、Upperのレンジが引き続き上限となる可能性が引き続き高い。

DailyチャートのStoch RSIは、K=59.14、D=76.08と、買われすぎの警戒感もやや弱まり売りの流れを維持。

DailyチャートのMAは、200日線のclose=1.1377にあり相変わらず現在値と大幅に乖離している。36日線はclose=1.1747にあり過去2週間はこの水準をクリアに割り込むことができず、先週はhigh=1.1784、low=1.1711も割り込むことができずにいる。今週は、1.1780~1.2020のレンジを意識したい。

IMM通貨先物は、【ユーロ】89,681→95,437(-5,756)と、ユーロのロングポジションは5月9日から30週間連続中。ネットポジションは安定的に8~9万コントラクトのロングを維持しており、ユーロ先高センチメントは変わらず。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.35→0.45%へ上昇、1か月も0.50→0.55%へ小幅上昇、3か月から先の長いところも上昇傾向にあり、ユーロ高先高リスクの警戒感が若干強まっている。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.3300~1.3570】

英国のEU離脱交渉(ブレグジット交渉)もアイルランドの国境問題を除きなんとか解決できるめどが立っているとの報道もあり、GBPUSDの買いが強まっている。ブレグジット交渉が進展すれば、BOEの緩和縮小の可能性が高まることが期待でき、されにGBP買いの材料となっています。ただ、英国はEU側が設定した4日までに英国側の作業が終わらない可能性を含め、12月14~15日、EU首脳会議の結果を見るまではこの水準からどこまで買い進むことができるかは疑問が残ります。

また、米国発のフリン前大統領補佐官の司法取引を認めた捜査協力の影響や、米財政改革法案の可決の影響が予想できにくく予想レンジをワイドにせざるを得ない状況となっています。

DailyチャートのBBは、Basis=1.3257、Upper=1.3486、Lower=1.3027、先週の高値は1.3549とUpperの1.3486を上回り強い上昇となっている。

DailyチャートのStoch RSIは、K=92.08、D=93.52と、強い買われすぎゾーンにあり、強いトレンドのある上昇でなければ変転する可能性も気になる。

DailyチャートのMAは、200日線のclose=1.2930にあり相変わらず現在値と大幅に乖離している。36日線のclose=1.3226、high=1.3274、low=1.3170で先週の安値は1.3220でLowの水準近くで下げ止まり、大幅に上昇している。今週は現在値との乖離は大きく、1.3500を超えてやや伸び切っている感も否めない。

IMM通貨先物は、【ポンド】-300→4,573(4,873)と、ポンドは、2015年11月10日から今年の9月19日まで98週間の長期にわたり続いたショートポジションが終了してからは、ロングとショートが入れ替わる動きで方向性が定まらず。

GBPUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.30→0.00とニュートラルへ、1か月-0.5→0→-0.05%と大幅に減少し、3か月から先の長いところも減少気味で、中期的なポンド先高リスクが高まっている。

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