2015/10/18

今週の為替相場を考える(10月19日~10月23日)

今週の為替相場を考える(10月19日~10月23日)

弱い米雇用統計に米早期利上げ期待感はさらに遠のき、10月に入ってからの相場は、中国・新興市場国の株価は上昇し、世界的に株価は持ち直している。また、VIX指数は大幅に低下し、金利はやや低下傾向で、ドル安+円安(ドル以外)という、リスク選好の動きが続き、新興国通貨のヘッジ通貨のEURは伸び悩み傾向が続いている。

しかし、先週一週間を通してみると、ファンド決算を控え清算に追い込まれるファンども目立ち、期待の中国経済では、中国輸入高が弱く、CPIの伸びは鈍化するなど期待を裏切られるできごとが目立った。一方、米国でも小売の伸びは鈍く、米地区連銀経済報告書は「賃金の伸び悩みと、ドル高の悪影響を指摘」し、本当にFRBは将来的に利上げができるのか? やや疑心暗鬼に陥りはじめている。

また、先週のヒーロー通貨のNZDも、中銀総裁は追緩和の可能性をあえて示唆し、原油価格(WTI)が50ドル台で伸び悩み、USDCADも1.2950を超えられず伸び悩むなど、それぞれ事情は異なる。

今週の為替相場は、来週10月28日のかすかな利上げ期待が残るFOMCと、10月30日追加緩和の期待が若干残りつつ、日銀金融政策決定会合を気にする必要がある。今週はカナダ中銀とECBの金融政策を前にして、金融政策の据え置きは間違いないと思われる中で、ECBの追加緩和を期待する動きも一部に見られる。結果的にはEUR相場の変動が期待できる反面、通貨間で異なる値動きを考えざるを得ない状況となっている。

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ドル相場
一部には、米国は利上げどころか追加緩和が必要では? との意見も見られるが、結果から言うと、その考えを持つことは時期尚早で、選択肢から除外することにしたい。

今回のドル売りの要因は、米経済、財政、ドル高懸念への警鐘からくるドル売りと言うよりも、10月、12月の米利上げ観測の後退によるポジションの巻き戻しや、ファンドの清算や近づく決算時期を前にしたポジションの解消によるところが多いと考えたい。

結果、積みあがったドルロングの調整が終了すれば、元のドル買いの動きが再開されると思われる。その開始時期の予想は難しく、経験則では12月にはドル高傾向が高まることを意識したい。

また、記者会見が予定されていない10月28日のFOMCを待つ必要があり、それまでは予想外のドル高も期待薄で、今週発表される米経済指標やFRB理事・連銀総裁らの発言で短期的に動くことになりそうである。


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EURUSD 予想1.1250~1.1500
変動率は、年初来-0.26%、4月来+1.54%、前週来-0.08%。変動率だけを考えれば大幅な偏りは少ない。新興国通貨のヘッジ通貨の売りも弱まる傾向にあるが、先週1.1500近くまで上昇した後の1.13台前半まで下落したショックは隠せない。

上昇スタートのポインとなる1.1300~50でなんと下げ止まっているが、ECB理事会で追加緩和を期待する動きは消えず上昇力は鈍い。1.1250近くまで一時的に値を下げるリスクはあるも、金融政策の据え置きを予想し1.1250~1.1500のレンジを予想。


GBPUSD 予想1.5320~1.5500
変動率は、年初来-0.31%、4月来+2.08%、前週来+0.81%。変動率だけを考えれば大幅な偏りは少ない。激しいM&A絡みの相場変動も落ち着き、1.5370を超えてかの上昇の流れを継続。

ただ、1.5500台の上値は重く、この水準をクリアに上抜けできるまでは、上昇スタート地となる1.5370を割り込み1.5330まで値を下げるリスクがあるがあり、1.5320~1.5500のレンジを予想。


AUDUSD 予想0.7110~0.7500(予想レンジはワイド)
変動率は、年初来-0.94%、4月来+3.50%、前週来-0.95%。変動率だけを考えれば短期的に下押し圧力が続く。中国経済の回復期待に反して、最近の経済指標は弱く、中国第3四半期GDPで一つの大きな山場を迎えることになる。

市場は6.8%を予想しているが、仮に弱い数字となれば、0.7200を割り込み0.7110台までの下げを覚悟しなければならない。逆に強く0.7200をボトムに下げ止まると0.7370を超え上昇期待も持てる。今週の予想レンジはワイドで、0.7110~0.7500のレンジを予想。


USDJPY 予想118.50円~120.00円
変動率は、年初来+0.46%、4月来-0.36%、前週来-0.65%。変動率だけを考えれば大幅な偏りは少ない。煮ても焼いても食えないドル円相場!? 10月30日の日銀金融政策委員会で追加緩和の可能性は弱く、9月にずれ込むことになりそうである。長期チャートでは緩やかな上昇傾向は変わらないが、5月末以降は上値を切り下げていることも間違いない。

Dailyチャートでは200日MAが121.00円にあり横ばい状態が続き、この水準を超えられず、底値をやや切り下げ上値は重くなっている。先週118.50円のポイントを割り込み一時118円台まで下落し、円ブル派は撤退を余儀なくされ、119円台半ばまで値を戻し、円ベア派も勝運は少ない。118.50円~120.00円のレンジを予想。