2015/10/04

今週の為替相場を考える (10月5日~9日)

今週の為替相場を考える (10月5日~9日)

米早期利上げ観測は後退するも、ドル売りは限定的。

先週末の米雇用統計に失望した市場参加者は多い。この数字が強ければ10月28日のFOMCで利上げが、最悪でも12月16日には利上げされるものと考えも多かったが、今では利上げは来年にずれ込むとの予想も見られる。

失業率は5.1%と完全雇用の状態にあるも、非農業部門雇用者数や時間当たり賃金の伸びは弱く、米金利は低下しドルは一時全面安となった。しかし、終値ベースでみると、ドルは下落幅を縮小して終わっており、ドルの強さを示しているのか? それとも今週のドルの再下落を予期しているのか? 意見が分かれるところである。

さて、今週の為替相場だが、米国発で重要な経済指標は極めて少なく、FOMC議事録の結果が待たれるのみ。逆に、各国中銀の金融政策や議事録の公表が多い。

弱い米雇用統計の結果を受け、為替相場はどのように変化するのであろういか? まずは、これが焦点となり、次に、中国は長い国慶節の休日から8日にようやく戻ってくる中国株の動向が注目され為替相場の変動が予想される。

ドル相場と関連性の高い米2年債利回りは、弱い米雇用統計を受け、0.6447%→0.5794%と-0.0653%低下、9月17日のサプライズなFOMC声明に、0.8108%→0.6795%へ0.1313%低下して以来の、大幅は下落率となっている。

金利先物市場では、12月の米利上げの確率は43%→29%へと大幅に低下し、10月の確率は8%に低下した。米国の10月利上げの可能性は薄れ、その分国際商品に連動性の高い通貨は有利になり、他の主要国も米国との金利差縮小や、ドルロングの調整による一時的な、ドル売りが強まることは避けられない。

しかし、ドル売りも限定的と思われる。それでは、どこの国へ資金が向かうのであろうか? 残念ながら、相変わらずとでも言うのか、米国を勝る国は見当たらず、米株も底堅く推移し、大幅なドル売りも難しそうである。

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ドル相場
ドル相場と連動性の高い、米2年債利回が米雇用統計を受け、大幅に低下したことや、中国長期休日の中に、自動車税の減税措置を発表、香港ハンセン株は上昇を続けていることを考えれば、8日から再開する中国株の上昇が期待される。

国際商品の影響を受けやすい通貨でドルは弱含みすることが考えられるが、主要通貨では早期利上げ期待が後退しても、根本的なドル売りにつながる可能性は低いと考えたい。

今週は、米国発の材料は少なく、FOMC議事録の結果が待たれるのみだが、先週金曜日の弱い米雇用統計を反映していない分、相場への影響力は限定的。逆に、各国中銀の金融政策や議事録の公表が多く、ドル相場もその影響を受けやすくなる。


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EURUSD 予想 1.1100~1.1300(レンジ抜け出す可能性と、抜けた一方向へ動きやすい)
VW株、グレンコアと株式市場では不安定要因が多かったが、先のIFO業況指数は強く、主要国のPMIもまずまず。ただ、CPIはマイナスへ転落、QEの延長と規模拡大の可能性を指摘する声も多い。金融政策のかじ取りをめぐりECB内での意見対立は続き、しばらくは現状維持の可能性が強いと思われる。

S&Pはスペインの格付けを引き上げるなど、強弱が混在するも、テクニカルでは長期戦と中期線が1.1120~1.1160のレンジで収斂し、相場が動き始める兆しが予感される。EURUSDは1.1100~1.1300のレンジを抜け出した方向に加速しやすく、上値のリスクがより高くなっている。

GBPUSD 予想 1.5100~1.5300(レンジ抜け出す可能性と、抜けた一方向へ動きやすい)
EURGBPの上昇とは裏腹に、GBPUSDは1.5100~1.5250のレンジで動けず。最近の英国発の経済指標は強弱混在ながらやや弱い数字が目立っている。今週のBOE金融政策委員会・議事録で相場変動を期待したいが、現状では1対8で金融政策の据え置きが予想され、サプライズの結果待ち。テクニカルでは上値は切り下がり、1.5100が大きなポイントとなっているが、Weeklyベースでは十字の相場転換のサインがあり、買いへと変化できるか注目している。

AUDUSD 予想 0.7000~0.7150
弱い米雇用統計と米金利の低下、株価の上昇、資源価格の上昇を考えれば、豪ドル買いが最も強まってもいいのだが、週末の弱い米雇用統計を受けた、AUDUSDの上値の重さは驚き。

10月1日の中国PMIを受けた買いの調整ならわかるが? 一部には、「弱い米雇用統計=米国景気伸び悩み=新興国経済も打撃」、を指摘する声もある。AUDUSDは0.6900~0.7300のレンジが6週間続き、Dailyチャートでは、0.6900~0.7100のレンジで、底値を切り上げつつあり、商品相場が上昇すれば、上昇も期待できるが? いずれにしても、長い国慶節から戻る中国株の動向を見ながらの取引となりそうである。

USDJPY 予想 118.50~121.50
弱い日銀短観+弱い鉱工業生産+伸びないCPI+2期連続でマイナスとなる可能性のあるGDP+1万8千を超えられない日経平均株価。日本政府から黒田日銀総裁へ追加緩和のプレッシャーはないのだろうか? 当然あると考えるのが自然ではないだろうか? 市場では10月の追加緩和の可能性を意識しながらの展開となりそうである。

Weeklyチャートでは、突発的な116円台の週以降、5週連続で大枠118.50~121.50のレンジで推移し、上昇トレンドを維持している。Dailyチャートでは、リスク回避の行動による、一時的な円高に、下髭の長い展開が続き。多くがレンジ相場でエンジョイしているのか? ある意味では不気味でもあり、大口の買いが底値で待ち構えているような雰囲気も漂う。

200日MVが121円近辺にあり、終値ベースでこの水準を超えられず、118.50円を割って見て何が飛びたすのかを見てみたい心境と、121.50円を上抜けし、どこまで円売りが加速するのか見てみたい心境とに別れている。

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