2017/06/11

今週の為替相場を考える(6月12日~6月16日)

今週の為替相場を考える(6月12日~6月16日)

相場は波乱を欲しているのでしょうか? 英国民のEU離脱の選択、米国民によるトランプ氏の大統領に選出、そして、今回の英総選挙のメイ首相の与党惨敗。

英国のEU離脱のプロセスを確固たるものにするため選択した総選挙の前倒しは裏目にでましたが、2019年3月のEU離脱のスケジュールに変化はなく、ポンド相場も投票締め切り直後のBBC出口調査で急落してからは大きな変化はありませんでした。選挙直前の世論調査で過半数届かずとの報道もあったことで、オプション市場ではポンド下落リスクを織り込み済みで、FXでは下げ幅は予想外に少なかったとも言えるでしょう。ただし、与党が単独で過半数を維持できなかった結果の悪影響の有無が今後の問題です。

先週のコミー前FBI長官の証言で、FBIが捜査していたフリン氏のロシア介入疑惑に絡む捜査で、トランプ大統領から圧力をうけて結果的に解任に追い込まれたと推測されます。トランプ大統領や彼の弁護士は真っ向から関与を否定しており、それが司法妨害事件に当たるかの判断は特別検察官の捜査待ちですが、トランプ大領領の政治的な吸引力はさらに弱まっていることは否定できません。ちなみにコミー氏はオバマ政権からも、ヒラリー・クリントン氏の個人的メールの機密文書問題で、不適切な圧力を感じていたとも証言しています。

前置きが長くなりましたが、今週最も注目しているのは14日のFOMCです。市場では14日の利上げの可能性をほぼ100%織り込み、12月の追加利上げを織り込みながら、ドル相場は現在の水準を維持していることを考えれば、異なる結果でドル円相場が動くことは間違いないでしょう。

FOMCで利上げをしなければサプライズですドル売りですが、仮にFOMCで0.25%の利上げを実施しても、次回の追加利上げの可能性が弱まることにでもなれば、ドル売りへと変化する可能性が高くなりそうです。最近の強さがみられない米経済指標と、第2四半期から回復するといわれていたインフレ指標が弱いことです。5月12日の米CPIでは前年比2.4→2.2%、コア前年比2.0→1.9%に低下し、5月30日のコアPCE価格指数も1.6→1.5%へ低下、6月1日の米ISM製造業景況指数の仕入れ価格は68.5→54.9へ低下、6月5日の非製造豪の仕入れ価格は57.6→49.2へ低下しています。



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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ109.50~111.50】

政治的な圧力が円相場に与える影響はひとまず過ぎ、今週は日米の金融政策の結果で円相場が変動する可能性が高くなっています。FOMCの0.25%の利上げを織り込み、次回12月の追加利上げの可能性を織り込み、日銀の据え置きを織り込みながら、ドル円相場は110円台半ばで安定推移していると考えていいでしょう。

直近では日本のデフレ懸念は弱まりつつあるとの見方増えていることが気になります。16日の金融政策決定会合で出口戦略を巡る議論で「市場との対話を重視する方向に修正しつつある」との一部報道もあり、黒田日銀総裁の記者会見で言葉の変化があれば一時的に円高へ動くと思われますが、現状と変化がなければ失望的な円売りになる可能性も否定できません。

テクニカルでは、109.10台をボトムにし日足で7日、8日、9日と3連騰しながらも、6日の高値110.51を終値ベースでは上抜けすることはできずにいます。今週はこの水準を日々終値ベースで超えられるか、さらに111円の大台を超えられるかを注目しています。ローソク足の週足ベースではオープン・クローズがほぼ同水準で下髭の長いドル買いへの転換線となっている可能性もあり、日足のポイントを合わせて考える必要がりそうです。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-52,275→-55,027とショートが小幅拡大していますが、昨年11月29日にショートに転じてから過去28週の平均-53,787とほぼ同水準で安定した動きが続いています。USDJPYのオプションでリスクリバーサルではドルプットオーバーは変わりませんが、1Wは-1.55→-1.20へ、1Mでは先週末-1.35→-1.20%とやや低下気味でで、円高思考がやや弱まってきています。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1100~1.1250】

EURUSDは、FOMCの結果と追加利上げの有無が最も重要ですが、英総選挙に比べれば一段と注目度は低いのですがフランス議会下院選挙第一回(日本時間、6月11日午後3時~12日午前3時)、決戦投票(6月18日午後3時~19日午前3時)の結果が気になります。マクロン氏の独自政党「前進」がどれだけ得票することできるのでしょうか? 支持基盤が盤石になればユーロ圏の政治的な安定につながり、ユーロ相場にとってはプラスに反応することでしょう。

テクニカルでは、200日SMA=1.0830をベースに上昇傾向を続けていますが、1.1300の大台をクリアすることはできず、GBPUSD下げの影響に200時間SMA=1.1227を割り込んでからは、売りの流れが強まり小幅ながら3日間続落となっています。週足のローソク足でははらみ線が出ており、売り変化の可能性もありますが、中期的には前週の安値水準となる1.11絡みでは逆に買い圧力が強いと考えます。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ユーロのロングは5週連続し、ネットでは+72,869→+74,009コントラクトへ拡大し、2013年10月22日の水準を超え2011年5月3日の+99,516に次ぐ水準となっていますが、先週同様に過熱感は感じられません。EURUSDの1mオプションのリスクリバーサルでは前週の0.00%と変わらずですが、長期ではユーロプットが縮小する傾向にあります。


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