2017/06/04

今週の為替相場を考える(6月6日~6月9日)

今週の為替相場を考える(6月6日~6月9日)

先週は週末の弱い米雇用統計で流れは急変しています。今週の為替相場を考えると複雑な状況が絡み合い、その結果で相場の動きが急変することが予想され、注意が必要な週といえるでしょう!

過去の教訓から考えてもイベントの結果で方向線が変わり短期変動が激しくなることが多く、金利差やテクニカルだけでは相場を予測することは難しいと言わざるをません。「今週の主な材料」と合わせ、今週の為替相場を考えて下さい。

⇒ 政治的には「ロシアゲート疑惑」の真相をめぐり、コミー前FBI長官の証言が米国発の最も重要は材料です。ランプ大統領や政権指導者の関与が証言されドル売りとなるのか? それとも関与は否定されドル買いとなるのか?

⇒ イギリス総選挙で、メイ首相の保守党が安定過半数を維持し、英国のEU離脱を積極に推し進めることができポンド高になるのか? 過半数に届かずポンド急落となるのか? 

⇒ フランス国民議会選挙で、マクロン大統領の「共和国前進」が過半数を得ることができ、ユーロ圏の政治的な安定がより確固たるものになり、ユーロ高となるのか? それとも過半数を大幅に割り込み政治的リスクにユーロ売りになるのか?

⇒ ECB理事会では、市場は金融政策の据え置きが予想され、ユーロ相場にとってすでに織り込まれています。ただ、ドラギECB総裁の記者会見では慎重姿勢の維持を織り込ながらも、ガイダンスの調整が示されるか否かで、ユーロ相場の動きが変わってくる可能性もあります。

⇒ それ以外でも、カナダ雇用統計は? 豪GDPは? 豪中銀の金融政策と声明は? 日本のGDPは? これらが予想外となれば相場が動くことでしょう。

⇒ 米国では、足踏み状況を示していた米経済指標は、予想通り第1四半期の低迷から第2四半期に上昇トレンドに戻ることができるのでしょうか? 先週の製造業に続き、米ISM非製造業景気指数は? 非農業部門の労働生産性は? 単位労働コストは? 製造業受注・耐久財受注は? 労働市場情勢調査(LMCI)は? JOLT労働調査は? 卸売在庫は? などの米経済指標も気になります。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ メインシナリオ 110.00~112.00、109.60割れは続落へ】


USDJPYは、株高もあり盛り上がった円売り相場も111.70でストップ。米雇用統計の結果で短時間に先週の最安値を更新し110.30台まで下落し、結果的に110.00~112.00のレンジ内に収まっています。

今週も日本発の材料は8日のGDP第2次速報値以外見当たらず、日本株の動向で上下しながらも、外的要因がニュートラルと考えれば、USDJPYは上昇する可能性が高いと思われます。しかし、今週は大相場となりうる外的要因「コミー前FBI長官の議会証言+ロシアゲート疑惑の進展」、「英仏選挙の結果」、「米金利と米株の動向」で相場が動き、リスクオン=円安、リスクオフ=円高と素直に考えてもいいでしょう。また、英仏選挙の結果で、GBPJPYとEURJPYが動き、結果としてUSDJPYが動く可能性は高いことも忘れてはなりません。

テクニカルでは、先週1時間チャートは200時間SMAを超えてから上昇ムードがたかまり、週末に逆に111.30を割り込み売りへと変化しています。今週は200日SMA=110.13が重要なポイントで、安値200SMA=109.58を割り込むと大きな変化につながる可能性もあります。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-51,656→-52,275とショートが小幅増加していますが、過去19週の平均-49,815に近く、安定したショートのポジションが維持されている状態です。USDJPYのオプションでリスクリバーサルではドルプットオーバーは変わりませんが、1mでは先週の-1.55%→-1.35%とやや弱まっています。



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◎EURUSD【予想レンジ1.1200~1.1450、または、1.0950~1.1300】


EURUSDは1.1100、1.1200と底値を切り上げ、1.13の大台を狙える位置を維持しており、上昇力を維持していると考えてもいいでしょう。ただ、今週はコミー前FBI長官の議会証言や、英仏の選挙結果で、EURGBPの変動もありユーロ相場が変動することは避けられそうにありません。過去の変動を見ても結果による一時的、または、継続的な変動は激しく、今週のEURUSDは予断を許さない状況となっています。

テクニカルでは、200時間SMA=1.1200を割り込むことはなく、5月2日の高値1.16台を目指しています。オシレーター系のWeeklyベースでは買われすぎの状態で、先週もその可能性が意識されていましたが、週足のローソク足は過去2週間の高値を上回り終了したことで、強さが再評価されEURUSDの上昇が続きそうです。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ユーロのロングは4週連続し、ネットでは+72,869コントラクトへ拡大しており、2013年10月22日の水準近くへ上昇しましたが、週末の急伸を除けば過熱感はあまり感じられません。EURUSDの1mオプションのリスクリバーサルでは前週の-0.10→+0.00%へ変化しています。



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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2600←1.2750~1.2950、または、1.2800→1.3300】


GBPUSDは、総選挙前にテロ攻撃が多発していることも気になりますが、本命はメイ首相の保守党が選挙で過半数を維持できるか? これに尽きます。同日8日のコミー前FBI長官の議会証言の結果と合わせて考える必要があります。

先週末は、選挙の世論調査でメイ首相の保守党に対して弱気な結果が多く、弱い米雇用統計の結果で主要国通貨の上昇にもかかわらず、GBPUSDの上値は重く逆にクロスではGBP売りが目立っています。ただし、この世論調査は調査会社で強弱に大きな差があり、結果を見るまでは分からない状況となっていると考えてもいいでしょう? つまり、強ければ数百pips程度は上昇し、弱ければ逆に低下するとも考えます。

テクニカルでは、200時間EMA=1.2885を上回り終了、高値200時間EMA=1.2894を終値ベースで超えることができませんでしたが、強さを維持していると思えてなりません。200日EMA=1.2816でこの水準を引き続き上回り上昇し、下値のポイントとなっています。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ロングへの転換も期待されましたが逆に、-29,651コントラクトへとショートが-5,784拡大し、ロングへの転換は英総選挙の結果次第と考えてもいいでしょう。GBPUSDの1mオプションのリスクリバーサルは、ポンドプットオーバーで、先週末-0.55→-1.60と急拡大し、今週の英総選挙のリスクを織り込んでの動きと考えてもいいでしょう。ただし、GBPUSDのプット急拡大の割には、スポット市場は安定し違和感を覚えます。


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