2017/06/25

今週の為替相場を考える(6月26日~6月30日)

今週の為替相場を考える(6月26日~6月30日)

今週で6月も最後となります。為替相場を動かすテーマは焦点が揺らいできていますが、個別の通貨の状況を考えてみたいと思います。

ドルは、トランプ米大統領の信認の低下や、政策実行能力の欠如など問われており、インフラ投資や税制改革、国防支出の大幅増加、オバマケアの代案などなどうなったのでしょうか? マイナス材料を探すと多々ありそうですが、FRBの利上げ決定と年内の再利上とバランスシートの縮小開始の期待が潜在的なドルのサポート要員となっており、米株が上昇力を維持しており、米金利がある程度高水準を維持している間は、極端なドル売りも期待できそうにありません。

ユーロは、マクロン大統領の誕生と新党「共和国前進」の大躍進で、ユーロ圏の政局安定が見込まれ、ドイツにとってもユーロ安=歴史的貿易黒字の拡大を解消する意味でも、ユーロ高傾向が望まれており、慎重すぎるドラギECB総裁も英国のEU離脱による弊害がEUにとり最小限に留まる見込みとなればQEの解消を進めることでしょう。

また、最近の報告ではユーロ圏にヘッジなしでの投資が拡大と報道が目につき、直近では1か月程度で1.09→1.13近くへ急伸したことで、1.1300台から伸び悩み調整局面が続いていますが、押し目では潜在的なユーロ買い要因になっているようにも感じられます。

ポンドは、メイ英首相の思惑が完全に外れた総選挙での敗北は今後のEU離脱のプロセスを変化させざるを得ないとの予想が強まっています。市場では「ハード・ブレグジット」から「ソフト・ブレグジット」を目指すとの期待感もありますが、英調査会社ユーカブの世論調査で、野党・労働党のコービン党首の支持率が与党・保守党のメイ首相を初めて上回ったとの報道や、S&Pが英国の格付けをEU離脱交渉の終了前に変更する可能性を示唆するなど、ポンド安要因が多いことがわかります。

反面、6月15日のBOE金融政策委員会で、利上げを支持したサンダース氏、マカファーティ氏、フォーブス氏に加え、チーフエコノミストのホールデン氏が「年後半には刺激策の一部解除が望ましい」と発言したことで、8月のBOE金融政策委員会(MPC)で緩和の縮小が示される可能性が高くなっています。

また、最近のポンド安による弊害で、雇用の拡大にもかかわらず、成長の鈍化とインフレ圧力の低下が示され、スタグフレーションのリスクを警戒する報告書も目につきます。結局はポンド安の状態は限定的で、英国のEU離脱に現況が少しでもプラスへと変化すれば、ポンド高になりやすい環境にあるように思えてなりません。

豪ドルは、最近上昇傾向が続いています。ロウ豪中銀総裁は「6月に入り成長トレンドが見込まれ、インフレは景気回復につれ徐々に上昇する」と発言しています。第1四半期GDPは予想を上回り、前回の急拡大の反動もあり貿易黒字は予想外に減少しましたが、雇用統計では失業率の予想外の低下と就業者数の増加もありました。直近ではロウ中銀総裁は「成長率は最近の水準から今後数年にやや加速する見通し」と強気な発言と、賃金の低い伸び、高水準の家計債務、一部都市での住宅価格上昇が経済の足かせになる」の弱気と強弱混在となり、利食いの売りにAUDUSDはやや値を下げていますが、それでも上昇傾向に留まっていることに間違いありません。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



今週の【通貨ペア別のレンジ予想】(今週も、動きは鈍そうなのですが。USDJPYに的を絞って考えてみましょう!)

◎USDJPY【予想レンジ 109.70-110.20~111.90】

USDJPYは何を材料にして動くのでしょうか? この問いは前週と同じですが、北朝鮮問題はどこへ? 支持率が低下気味の安倍政権の信認は? 円相場には影響がないとでもいうような日経平均株価の上昇もあり、先週1週間のレンジは110.704~111.786の約70pipsで、日々終値は111.086~111.518と約50pipsの変化に収まっています。

市場参加者の円相場の先行き見通しも円ブル派と円ベア派は拮抗しているとの現れなのでしょうか? ただし、最近の円相場を見ると円クロスによる変化で結果的にUSDJPY相場が動いているだけです。最近のレンジからワイドで108.50~112.50のレンジ、狭くは110.00~112.50のレンジからの変化待ちで、それを主導するのは今週も円クロスになりそうです。

USDJPYのStockRSIは、Weeklyは、K=43.33、D=46.41とニュートラルに近近く、4時間は、K=37.44、D=42.64 共にニュートラルゾーンありますが、Dailyは、K=92.30、D=92.71で売りへの変化の可能性が高まっています。

MAからは、200日SMA=110.74にあり、110.20が終値ベースで下限、111.26が上限にあり、売り圧力が強まった場合には110.20円近くまで値を上げる可能性もありそうです。Weeklyベースでは200週SMA=110.88、下限109.70、上限111.93円で、中期的にこのレンジに収まる可能性もあります。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-50,553→-49,959コントラクトとショートは微減していますが、ほぼ変わらず。引き続き過去の長期平均値とほぼ変わらず、方向性は感じられません。USDJPYのオプションでが、1か月のボラティリティは前週7.80%→7.3%まで低下、1か月のリスクリバーサルではドルプットオーバーで、0.65→0.9まで拡大、1週間も0.3→0.7へと円高への圧力を意識しています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※