2017/06/18

今週の為替相場を考える(6月19日~6月23日)

今週の為替相場を考える(6月19日~6月23日)

最近の金融政策の変化ですが、日銀以外では変化が示されています。
1.FRBは「利上を実施し年内追加利上と保有資産の縮小の着手」を示唆。2.カナダ中銀は「刺激策の縮小の可能性」を示唆、3.BOEは「政策委員3名」が利上げを主張。4.ECBは「追加利下げの可能性に関する文言を削除し、経済へのリスクは下向から概ね均衡へと変化させ、デフレリスクがなくなったことを示唆」、スタッフ見通しは「インフレ率を下方修正し、成長率を上方修正」へ。5.そして日銀と総裁は「賃金上昇圧力は着実に高まっている」とありますが、「出口戦略」については語らず。

5月22日にメルケル独首相は「ユーロが強すぎる」と発言をしていました。翌23日にはショイブレ独財務相も「ユーロの為替レートはドイツとっては低過ぎる」と発言しています。これらは共に米国との通商交渉を前にして対米黒字額が単一国家に対する貿易黒字額としては過去最大になることへの懸念と思われています。当時のEURUSDは1.1200近辺で推移し一時ユーロ高の材料としてもてはやされていましたが、約一か月を経た先週末のEURUSDも1.1200で、当時全く変わっていないことになり、この水準から大幅にユーロ安になれば政治的なプレッシャーを受ける可能性も気になります。

先週のWSJ紙で、『ユーロ高、秘密は「ヘッジなし」』とのタイトルで、グローバル投資家が1年間のインターバルを経て欧州に回帰しているとあり、今回は通貨ユーロにも関心が向けられているとのことです。今年に入ってから欧州株に特化した、為替ヘッジなしの米上場投資信託(ETF)に130億ドル(約1兆4200億円)が流入し、ヘッジ付きETFへの流入資金は2億7540万ドルに留まるっていました。

先週のEURUSDの下げで「機関投資家のヘッジ売りが出ていた」との観測も流れていましたが、4月中旬の安値1.0560台から一時1.1300台まで約2か月で約7%近く上昇していたことを考えれば利食いの売りが出ても不思議ではありませんが、基本は欧州の政治的な安定が現実化している現在では、ユーロへと資金移動が続く可能性が高いのではとふと考えてしまいます。

さて、英国はインフレの上昇が止まらず今秋に3.0%になるとの見通しもありますが、逆に経済成長は伸び悩み、所得も強さがみられないことへの不安感があります。先週フォーブスBOE政策委員は論文を発表し、一言でいえばポンド安の弊害を気にしているように思われえてなりません(もちろん、個人的な感想です)。ポンド安がインフレを引き起こし、景気の鈍化を招くスタグフレーションの可能性もあり、極端な通貨安を避け、将来的に利上げをせざるを得ない状態にあるのではないでしょうか? 

短期的には相場はテクニカルで動くことが多く、今週の為替相場には全く影響ないのかもしれません。また、今後の英国の政局変化やインフレ見通しの変化で状態は変わる可能性もありますが、一つの考え方として頭の片隅に置いてください。

テクニカルでは上値は重そうなので短期の相場を別に考え、これらの通貨が十分下がった段階で、EURUSDでユーロコールの買いや、GBPUSDでポンドコールの長めの買いも面白いではないでしょうか? 


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】(今週は、USDJPYに的を絞って考えてみましょう!)


◎USDJPY【予想レンジ 基本はレンジ相場109.70~111.50、上抜けは上昇へ→112.50】


USDJPYは何を材料にして動くのでしょうか? 日経平均株価も安定状態が続き、「株価の変動=円相場の変動」が期待できにくい状態となっています。先週はレンジ相場を決め込んだ投資家や円ロングを持った個人投資家の損切がみられましたが、そのきっかけはGBPJPYの買い戻しが起因しています。最近の傾向ですが円クロスによるUSDJPY相場が動くことが多くなっています。

先週末には6月2日の弱い米雇用統計で急落が始まった水準となる111.50台を意識した展開で、今週もこの水準を上回り再上昇ができるのでしょうか? それともGBPJPYの上昇をきっかけとして上昇した水準となる109.70~80を割り込むことができるのでしょうか? 長期的にはクロスを中心として円安相場が続くことを期待していますが、USDJPY単体はレンジが抜けるまでは新たな水準で逆張り相場が主流となりそうですが、どちらかと言えば円安のリスクがより強く感じられます。 

USDJPYのStockRSIは、Dailyは、K=39.48、D=49.79で買い継続なのですが、ほぼニュートラル。Weeklyも、K=39.48、D=49.79と売りながら、ほぼニュートラル。4時間は、K=81.86、D=93.42と売りで、110.30近辺がターゲットなっています。MAからは、200日SMA=110.52にあり、110.50が終値ベースで下値のポイントになる可能性もあります。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-55,027→-50,553コントラクトとショートは減少していますが、過去の長期平均値とほぼ変わらず、方向性は感じられません。USDJPYのオプションでが、1か月のボラティリティは前週7.75→7.80%と若干の上昇でほぼ変わらず。1か月のリスクリバーサルではドルプットオーバーで、1.2→0.65に低下し、1週間も1.2→0.30と円高方向からの変化が続いています。



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