2019/10/13

今週の為替相場を考える(10月14~18日)

今週の為替相場を考える(10月14~18日)

為替相場への影響が大きいのは米国の金融政策で、それに影響を与える材料の一つは米中通商協議の動きであり、欧州においてはブレグジットの動きがメイン。今週は米中通商協議の部分的合意の余波と、17~13日のEUサミットが焦点に。

先週の米中ハイレベル通商協議で両国は「貿易問題で部分合意に達し、中国が米農産品の購入を増やし、為替を巡る協定や10月15日の関税発動を延期し、年内の包括的な合意締結を目指す」とあった。ただし、合意はまだ文書化されず、3~5週間要する見込みとある。部分合意は一部の短期的な問題を解決する可能性がある一方、12月15日の制裁関税の発動は現時点で変化は見られず、中国側が主張するファーウェーへの規制緩和も未決で難しい問題は残る。

この点ではトランプ大統領にとって大統領選に向けた点数稼ぎが急務。習近平中国国家主席にとっては、香港問題を抱えながら米国による対中経済制裁の発動の影響も加わり、妥協しない姿勢を示しながらも対米協調を演出し中国経済の低迷脱却が最重要テーマ。

11/16~17日のAPEC首脳会議に向けてた動きも重要で、その結果によりドル相場が動くことは間違いなく、リスクオン「米株高+米債利回り上昇=円売り」、リスクオフ「米株安+米債利回り低下=円買い」と二つの異なるパターンを意識せざるを得ない。

先週後半からの動きを見れば市場のセンチメントに変化があり、「米株と米債利回りの上昇=円売り圧力は」が強まっている。テクニカルベースではUSDJPYは9月18日、10月1日、10月11日と、サポートされた108.50を強く意識する必要があり、円クロスでの激しい円売りの流れを考えれば上値を試す動きをどうしても意識してしまう。

一方、GBPUSD相場はもとより、EUR相場やGBPJPYを通じて円相場にも影響を与える可能性が高いブレグジットをめぐる動きでは、英国とアイルランド首相の楽観的な動き、英議会内で合意なきEU離脱を避けたい動き、EU内でも妥協に向けた動きが強まる中で、17~18日のEUサミットが非常に重要である。市場はこの流れを先読みしGBP買いに動き連日GBPは急騰している。もちろん、離脱案で英国(含むアイルランド)とEUが合意し、10月31日に英国が秩序だったEU離脱が実現すればGBPは続伸する可能性が高い反面、逆に、失敗した場合のGBP売りリスクは測り知れず。

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USDJPY 予想レンジ(107.80~109.00)

米中通商協議はひとまず一件落着。 GBPJPYがリードした円売り相場は今週どうなるのか? ブレグジットの動きが円相場にとっても重要。

政治的な動きや発言で一機に変化する円相場はいつも通りで、現状の動きをどこまで信じていいのか疑いたくなるのもまた事実。先週後半の強い円売り相場は日米3連休前の調整だけなのか? それとも、米中通商協議の部分合意を受けた円売り相場への始まりなのか? それとも楽観的なブレグジット見通しによるGBPJPYでの円売りなのか?

米中通商協議の部分的合意の内容の評価は別として、結果を受けた米債と米株の動きと円売り圧力が続くのかが焦点に。ダウは10月1日に弱いISM非製造業に続き製造業も弱く出たことで急落した流れを回復し、米10年債利回りは1.5%で下げ止まり先の高値1.9%台までの距離は遠いが1.76%台まで反発しており、1.5%がダブルボトムとなるのか? 

USDJPYはDailyでは25日線107.68が75日線107.34を上抜けし、日々線は200日線の109.06を試す動きを期待したくなる。Weeklyの終値ベースでは108.437と7月22日の108.63に次ぐ水準で、108.50をクリアに上回ると短期投機筋の円売り圧力は強まることが予想されるが、問題は実需筋の動き。



EURUSD 英国の秩序あるEU離脱 予想レンジ (1.1000~1.1350)
EURUSD 合意なきEU離脱または延期 予想レンジ (1.0850~1.1100)

GBDUSD 英国の秩序あるEU離脱 予想レンジ (1.2550~1.3150)
GBDUSD 合意なきEU離脱または延期 予想レンジ(1.1950~1.2700)

17~18日のEUサミットの結果で相場は変化。EURUSD、GBPUSD共にブレグジットの動き次第で程度の差はありEURGBP相場は変動すると思うが方向性は同じ。今後数日間の協議がEURUSDとGBPUSD相場の雌雄を決することで間違いない。市場の期待は英国の秩序あるEU離脱でEURとGBPは続伸、合意なきEU離脱、離脱の3か月延期、またはそれ以外の解散総選挙にでもながれば共に急落へ。もちろん、それまでに発言や思惑による相場が上下変動するリスクは変わらず。

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