2019/10/12

2019年10月12日(土)昨日11日、海外市場の動き

2019年10月12日(土)昨日11日、海外市場の動き

米中通商交渉は 「フェーズ1の貿易協定に合意」、ブレグジット交渉は「英EUは合意に向け集中協議へ」と、相場の2大重要イベントの楽観的な動きを受けた市場は「リスクオン!」状態。

これを受け、ECBとFRBの利下げ期待度はやや低下し、CMEのFedWachでは利下げ期待度が前日の82.3→75.4%に低下し、現状維持が17.7→24.6%に拡大。

為替相場は、連日のドル売り+円売り圧力が続き、当事国通貨のGBPは連日の急騰。GBPUSDは前日の+2.26%の上昇に続き1.7%近く上昇。GBPJPYはより激しく前日の+3.08%に続き2.14%近く上昇、EURGBPも-1.38%近くと変化。USDCADも-0.7%とカナダドル高へと動いている。

ダウは一時400ドル近く上昇(終値+319.92+1.21%)、欧州株も強く独DAXは2.86%と大幅高。米債利回りも上昇し、10年債は一時1.76%台で前日1.668→1.73%近くで終了。WTIは前日53.55→54.90台まで続伸。

米中通商交渉は、市場が期待した「何らかの合意、または、部分合意」に違わず、貿易問題で部分合意に達した。中国が米農産品の購入を増やし、為替を巡る協定や15日の関税発動を延期。年内の包括的な合意締結を目指し、11月のチリ・APEC首脳会議を目指して協議を継続。

ブレグジット交渉は、交渉団は法的文書の草案作成作業に入るための十分な進展があったとし、EU27カ国の代表に説明。英国は向こう数日間でEU側と集中的に協議を行うと発表。

これを受け、リスクオンの動きに米株は急伸し、米債は売られ利回りは上昇。当然ながらリスクヘッジ通貨のJPYは売られ、ドル売りの流れの中でも、JPYだけは別物。

USDJPYは、アジア市場の107.85をボトムに108.00近辺で推移から、欧州市場に入り欧州株高やブレグジット交渉への期待が強まりGBPJPYでの円売りも強く続伸し、108.50の壁に揉み合いながらも予想外に強いミシガン大学消費者信頼感指数を受けて一時108.62まで上昇。その後は週末、日本は3連休を前にして大枠108.30~60のレンジで推移。

ただ、イランタンカーへの攻撃や、米国が中東に米兵を増派し、イランからの「サウジアラビア防衛の確保と強化を図る」動き、ムニューシン米財務長官はトルコのシリア侵攻を受け、トランプ大統領がトルコに対する「非常に重大な」制裁を新たに科す権限を米当局に与えた。
などの不安定要因も残る。

GBPUSDはご存じの通りブレグジットリスクの後退にGBPUSDは全面高。アジア市場では1.2420~60台で推移するも、欧州市場に入り「英政府は向こう数日間でEU側と集中的に協議を行う」との報道や、バルニエ氏とバークレイ両主席交渉官との会談で、
「法的文書の草案作成作業に入るための十分な進展があったと、EU27カ国の代表に説明」との報道。ジョンソン英首相から「合意への道筋が見える打開策があるという共通の感覚がある。」との報道など、楽観的な発言が相次ぎ米国市場では一時1.2700台まで上昇し1.2640台で終了している。


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21:30    USD 9月輸入物価指数=前月比0.2%(予想-0.1% 前回-0.5→-0.2%)、前年比-1.6%(予想-2.1% 前回-2.0%)→ 予想外に弱さは見られず。

21:30    CAD 9月 雇用統計: 失業率=5.5%(予想5.7 前回5.7%)、雇用者数=5.37万人(予想0.79万人 前回8.11万人)、フルタイム=7万人(予想 前回2.38万人)、パートタイム=-1.63万人(前回-0.77万人予想 前回5.72万人→ 失業率は予想外の低下で雇用者数も拡大。

23:00    USD 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値=96.0(予想92.0 前回93.2)、景気現況指数=113.4(予想109.0 前回108.5))、消費者期待指数=84.8(予想82.5 前回83.4)、インフレ期待1年=2.5%(予想 前回2.8%)、5-10年 =2.2%(予想 前回2.4%)→ 予想と前回を大幅に上回る

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【米中通商交渉(フェーズ1の貿易協定に合意)】

貿易問題で部分合意に達し、中国が米農産品の購入を増やし、為替を巡る協定や15日の関税発動を延期し、年内の包括的な合意締結を目指す。→ 合意はまだ文書化されず、3~5週間要する見込み。部分合意は一部の短期的な問題を解決する可能性がある一方、難しい問題は残る。
◎中国が米農産品の輸入を400億~500億ドル拡大
◎知的財産権の保護を強める
◎通貨政策では透明性を高める。

トランプ大統領
◎劉鶴副首相との会談で、米中貿易戦争の休戦につながる「重大な第1段階の合意に達した」。
◎「第2段階はほぼすぐ始まる」→ 11月のAPEC首脳会議が焦点に。

ムニューシン米財務長官
◎中国人民銀行との協議は順調に進んでおり、為替の透明性で合意があった。来週の関税引き上げは見送るが、きょうの合意にはファーウェイは含まれいない。
◎第一段階の合意には金融サービス企業に対する市場開放が含まれる

米国防省
◎中東に米兵を増派し、イランからの「サウジアラビア防衛の確保と強化を図る」

ムニューシン米財務長官
◎トルコのシリア侵攻を受け、トランプ大統領がトルコに対する「非常に重大な」制裁を新たに科す権限を米当局に与えた。

FRB資産購入を再開
◎短期金融市場の資金不足を解消するため、短期国債を月600億ドルのペースで15日から購入すると発表。少なくとも2020年4~6月期まで続ける。
→ 量的緩和を縮小した副作用とみられ、バランスシートの再拡大に踏み切る。
◎FRBは金融危機後の量的緩和で、保有資産量が4.5兆ドルドルまで膨れあがった。その後の資産縮小でバランスシートは3.9兆ドルドル規模まで減ったものの、再び資産拡大に踏み切る。
◎「今回の操作は適切な銀行システムを維持する純粋に技術的な施策だ」と強調し、量的緩和の再開といった見方を強く否定。
◎FRBは10月29~30日の次回FOMCで資産購入の再拡大を決定する見込みだったが、短期市場を早期に安定させるため、11日に具体策を決定した。

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【ブレグジット(英政府は向こう数日間でEU側と集中的に協議を行うと発表交渉の進展にGBP急伸)】

EUのバルニエ主席交渉官
◎EU加盟国に合意案作成の作業入りの承認を求めた。
◎アイルランド首脳との会談では離脱合意条件の合意に筋道が見えるとの点で両者が一致。

関係者(バルニエ氏と英国のバークレイ主席交渉官との会談で)
◎法的文書の草案作成作業に入るための十分な進展があったと、EU27カ国の代表に説明。

ジョンソン英首相
◎合意への道筋が見える打開策があるという共通の感覚がある。
◎これは合意が決まったと言うことではなく、まだやるべき作業がある。

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