2016/05/22

2016年5月22日(日曜)今週の為替相場を考える

2016年5月22日(日曜)今週の為替相場を考える


【ベースアイディア】

米ドルは、年内の利上げ観測は変わらずで、6月15日のFOMCの利上げ確率がやや高まる。問題は1度なのか2度なのか? リスク要因は次期米大統領のドル高政策の転換で、トランプ氏が次期大統領になればドルがどこまで下落するか予想できず! それを除けば潜在的なドル買いの流れは変わらず。円は、日銀の2%インフレ達成目標を達成することは難しく、追加緩和と財政出動の可能性も強まり、日本株にとってはプラスで円にとってはマイナス要因。リスク要因は中国経済の低迷と資源価格の続落で、安全資産の円買いが強まるが、現状ではそのリスクは低い。ユーロは、ECBは現状維持で、引き続き金融緩和パッケージの効果と英国民投票を見守る動きと、ポンド変動の影響次第。ポンドは、6月23日の国民投票が終わるまでは目先の霧は晴れず次の一手は考えられず。思惑やリスクヘッジによる上下変動が強まり続く。


【今週を含めた変動要因】

注意! 株価+原油価格+米金利。伊勢志摩サミット。仙台G7では大きな決定はなく、日米財務相は為替認識で平行線、米通貨安競争の回避を米国は主張、サミットでは?

5月23日の日本通関ベース貿易収支は、一時の円高の影響も薄れどこまで拡大するのか? 伊勢志摩サミット前の数字だけにより気になる。

5月24日のスティーブンス豪中銀総裁講演は、豪中銀議事録(17日)で薄らいだ追加緩和の可能性がどう判断されるのか? 豪ドル相場にとって重要!

5月25日のカナダ中銀金融政策は、政策金利0.5%の据え置きは固いと思われる。声明を注目!
5月26日の英GDP改定値は、予想値は速報値変わらずとなっているが、英国民投票を約1か月後に控え、弱含む可能性も!

5月26~27日の伊勢志摩サミットで、安倍首相(議長国・日本)はどのような声明を織り込むことができるのか?サミット後後に消費増税の延期を発表するのか? 円相場が動くことに間違いなさそう!

5月27日の日本全国CPIは、コア予想が-0.4%と前回の-0.3%から悪化が予想され、サミット期間中でもあり、弱い数字=追加緩和=株高=円安? と動けるか!

5月27日の米GDP改定値は、速報値から上方修正が予想され、期待通りの強い数字となるのか? 18日のFOMC議事録から続くドル高傾向の行方を左右!

5月27日のイエレンFRB議長の会見、6月15日のFOMCに関して何らかのヒントを得ることができるのか?(添付ファイルの今週の予定表を参照)

6月15日のFOMCで利上げの可能性は?

6月16日に日銀は追加緩和ができるのか?

6月23日の英国民投票でEU残留ができるのか?

11月米大統領選の行方! トランプ氏が次期大統領になればドル安政策への転換の可能性が高まり、円と人民元高へのプレッシャーがより強まる可能性が高い。また、クリントン氏が次期大統領になっても、ドル高=輸出減少、貿易面でのプレッシャーから円高への圧力が加わる可能性も!

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最近の傾向ですが、目の前に見える米利上げ観測によるドル相場の上昇期待は、5月18日のFOMC議事録(4月27日分)からにわかに増幅され、6月15日の次回FOMCで追加利上げを期待する動きとなっています。

今後の経済指標次第で「6月に政策金利を引き上げるのが妥当と、参加者の大半が判断」し、「利上げの可能性が少ないとの市場の見方に変化を持たせた」との議事録の内容、今週の米GDP改定値で、どこまで上方修正されるのか注目しています。

ある意味では、為替相場を含めた金融市場は、FRBの再利上げの可能性、時期、頻度をめぐり、右往左往しながらも、主要国で唯一量的緩和を解除し、利上げへ舵を切った国であることに間違いなく、潜在的なドル高要因となっています。

しかしながら、非常に混迷している米大統領選挙の行方で、次期大統領によってはドル安政策へと変化する可能性も否定できず、11月以降もドル高であると自信を持って言いきれないことも事実ではないでしょうか?

今週は、伊勢志摩サミットから日本の追加緩和や財政出動の話がでてくるのでしょうか? 日米は為替政策で市場を納得させるような決定ができるのでしょうか? そして、サミット後に日本は消費増税の先送りをするのか? いずれにしても、 投機筋は積極的に円相場を動かそうとすることが予想できます。

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◎ USDJPY【USDJPY 予想108.50~111.00】

弱い成長率、弱いCPI、インフレ目標2%の達成は難しい中、追加緩和と財政出動の期待が高まりや、原油価格は50ドルを目指す動きの回復が、円ベア派の材料となっています。一方、自国通貨安を容認しない米財務省の姿勢は厳しく、米株高に反して、中国・新興国株は弱く、ましてや米利上げ観測の高まりに、リスク回避の円買いも消えてはいません。

USDJPYは、5月初旬の105.50円でボトム感が強まり、大きくは105.50~112円のレンジが予想しやすく、円ブル派・ベア派はある意味では拮抗し続けています。110円の大台乗せでは実需や投機ポジションの利食い売りは強く、今週は日本のCPIとサミットを前にして、108.50円~111.00円のレンジに入りやすくなっています。

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◎【EURUSD 予想1.1100~1.1350】

ECBは当面、現行の金融政策を維持する姿勢を示し、今週の相場変動要因はユーロ圏以外の外圧による可能性が高くなっています。6月のFOMC利上げの有無や、英国民投票の2大イベントは極めて重要で他の要因も影が薄く、それらの思惑により相場が動くように思われます。

テクニカルでも1.1100は200日MAがあり重要で、1.1100~1.1350、1.1200~1.1400のレンジ内での取引が予想されますが、潜在的なリスクは、英国のEU離脱の可能性が払しょくできないうちは、ユーロ安方向の可能性が高く、1.0500のポイントは重要。

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◎【GBPUSD 予想1.4300~1.4650】

相変わらず官民挙げて、EU離脱のリスクを誇張するキャンペーンが続き、世論調査では残留派が盛り返しています。今後も世論調査の結果で、残留派支持率拡大=ポンド買い、離脱派支持率拡大=ポンド売りと、一時的な変動が強まる傾向にありますが、離脱のリスクがゼロにならない限りは、ポンド買いを維持することは難しいように思われます。

一方、IMM通貨先物のデータでは、ポンドのショートポジションは高水準のままで、残留派の支持率が圧倒的に拡大した際の値動きはポンド買いで、その場合には1.48台が最初のターゲットになりそうです。

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◎【AUDUSD 予想0.7150~0.7400、または、0.7100~0.7250】

4月27日のCPIは予想外のマイナス、5月5日の豪中銀の予想外の利下げと、原油や資源価格が値を戻す中、豪ドルの買い予想外に弱くなっています。17日の豪中銀議事録で追加緩和期待がやや弱まったことで一時的な豪ドル買いも見られましたが、直近では6月の米利上げ観測と、新興国や中国の株価低迷が影響していると思われます。

テクニカルではDailyチャート200日MA0.7256を割り込み、Weeklyでも中期線を割り込み、Monthlyでも0.7500の大台を割り込み続落傾向が続き、豪ドル高を期待している反面、現実を見ると予想外に弱さが目立つ通貨ペアとなっています。

今週は、0.7200で下げ止まり、200日MA0.7250台を超えて買いの流れに戻ることができるのか? そうでなければ、0.7100まで続落する可能性が高くなりそうです。

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