2016/05/29

2016年5月29日(日曜)今週の為替相場を考える

2016年5月29日(日曜)今週の為替相場を考える

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【ベースアイディア】

米国は年内の利上げ観測は変わらずで、6月15日のFOMCの利上げ確率がより高まる。問題は1度なのか2度なのか? リスク要因は次期米大統領のドル高政策の転換で、トランプ氏が次期大統領になればドルがどこまで下落するか予想できず! 過去の大統領選の歴史を調べると、選挙翌年は高い確率でドル高へと動いており、ドル売りが短期間で終わる可能性も、それを除けば潜在的なドル買いの流れは変わらず。円は、日銀の2%インフレ達成目標を達成することは難しく、追加緩和と財政出動の可能性も強まり、さらに消費増税の先送り期待が高まり、日本株にとってはプラスで円にとってはマイナス要因。リスク要因は中国経済の低迷と資源価格の続落で、安全資産の円買いが強まるが、現状ではそのリスクは低い。ユーロは、ECBは現状維持で、引き続き金融緩和パッケージの効果と英国民投票を見守る動きと、ポンド変動の影響次第。ポンドは、6月23日の国民投票が終わるまでは目先の霧は晴れず次の一手は考えられず。最近の世論調査では残留は有利にポンド買いが強まっているが、思惑やリスクヘッジによる上下変動が続くことに変わりない。

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今週の動きは、

今週は5月の月末に当たり、実需筋の動きによる変動も考える必要がります。また、30日は英米市場が休場となり、3連休を前にしながらも、先週末の動きからはドルロングの調整も見られず、米利上げ観測が強く、ドル買いの流れが継続する可能性が高まっています。

CFTCのIMM通貨先物ポジションでは、6月15日の米利上げを先取りしたのか、主要通貨のネット・ポジションは久しぶりに、ロングからショートへと変化し、4月以降続いた流れはドル先安→ドル先高へ変化していることもこの表れです。

FRB公定歩合議事録では利上を求めた地区連銀は2→4へと拡大、多くFRB理事や地区連銀総裁はもちろんのこと、5月27日にはイエレンFRB議長も「数か月中に利上げが適切」とのタカ派発言に、6月の米利上げが現実味を帯びていることが背景にあります。

もちろん、結果を見守る必要がありますが、週末3日の米雇用統計が強ければ、なおさらで、6月の米利上げ期待度がさらに高まり、ドル買いに拍車がかかる可能性があります。

ただ、一部の新興国市場では米利上げにおる悪影響が心配され、その動きによっては安全資産としての円買いに結びつく可能性もあり、通貨間により動きが異なることも考えられます。

ユーロ圏では、ECB理事会は政策金利の据え置きが間違いないと思われますが、スタッフ見通しでユーロ圏の成長率とインフレ率予測を引き上げる可能性があり、ユーロ相場の思わぬ変動に結びつく可能性に注意しています。

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◎USDJPY 【予想レンジ 109.50~111.00】

日本国内発では、安倍首相はいつ、どのようなタイミングで消費増税の再延期を発表するのでしょうか! それにより、株高=円安の流れがどこまで続くことができるのでしょうか? 

米利上げ期待が高まる反面、日本国内では安倍首相の3本の矢も影が薄くなり、日銀の緩和策も限界が見え隠れし、黒田マジックもやや色あせている現在、景気浮揚策に期待がもたれています。

このように、「米利上げ=日本追加緩和」の相反する動きは、当然ながらドル円の買い材料となり、CFTCのIMM通貨先物ポジションでは円ロングが大幅に減少しています。

ドル円相場は109.20~110.50のレンジで推移し、米利上げ期待=株高の流れにも、意外に上値が重いことも事実で、根強い円先高期待が残っていることの表れではないでしょうか?

Weeklyチャートでは、3週間連続で陽線引けから、先週は110.10オープン→110.19クローズとほぼ同水準で、やや下髭の長い線となっています。2週連続で110.50を超えられず終了し、今週110.50円超で終了すれば112円台が見えてくるのですが!


◎EURUSD 【予想レンジ 1.1000~1.1200】

ギリシャへの新規融資問題も何とか決着し、難民流入問題も為替相場のテーマから外れ、もっぱら英国民投票の結果予測と、独・ユーロ圏CPI、ECB理事会、米利上げの有無が問題となっています。

6月23日のEU離脱を問う国民投票は残留派が優勢となるなか、ポンドが買われ、EURGBPが売られドル売りの流れとなっており、米利上げ観測の高まりにEURUSDは続落傾向にあります。

ユーロ圏からの注目材料としては、2日のECB理事会で、金融政策の据え置きは間違いないと思われますが、インフレ見通しを討議し、スタッフ見通しでユーロ圏の成長率とインフレ見通しを引き上げる可能性です。これによりユーロ買いへと変化する可能性は残っていますが、目先はどこまで値を下げるのかが焦点になっています。

200日移動平均線となる1.1100をボトムにかろうじて下げ止まっており、この水準をボトムにして上昇することも考えられますが、相場の流れからは下値圧力が強まっています。1.1000の水準を割り込むまで続落するのか、ECB理事会と米雇用統計が大きなカギを握っています。


◎GBPUSD 【1.44~1.4800】

6月23日の英国民投票の決着がつくまでは、基本的に読み切れず。ただし、常識的に考えれば、先のスコットランド国民投票のように、残留に落ち着き、大幅なポンド買いが強まる可能性は否定できず。

現状は、残留支持の拡大に、英国のEU離脱の最悪を意識したポジションの巻き戻しがメインテーマで、残留が正式に決着するまでは1.44~1.48の400ポイント・レンジ相場を期待。


◎AUDUSD 「0.7150~0.7250、下値リスクがやや強い」

先の弱いCPI、サプライズの利下げによる下落もやや落ち着き、7日間連続で大枠1.7150~1.7250のレンジに収まっていますが、200日移動平均線は0.7250近辺で推移し、これを上限とした下落傾向が続き、この水準をどちらに抜け出すのか注目しています。

商品価格の上昇にも豪ドル買いの反応は鈍く、市場では豪中銀の追加緩和期待も完全に払しょくされていません。24日にスティーブンス豪中銀総裁は「インフレ目標政策にコミット。インフレ目標の枠組みは柔軟で、インフレ率が目標レンジを外れても中銀が即対応する必要はない」との発言も気になります。

豪州発の材料は特にありませんが、中国発のPMIや財新PMIの発表と、もちろん米雇用統計が最大の変動要因となっています。