2016/05/15

今週の為替相場を考える(5月16~20日)

2016年5月15日(日曜) 今週の為替相場を考える(5月16~20日)

今週の為替相場に影響を与えると思われる注目ポイントは多くあります。

為替相場との連動性だけを考えれば、原油価格(WTI)は50ドル台を超え上昇することができるのか? また、世界的な株価の低迷と金利低下は続くのか? この2点が重要となっています。

共に米国の金融政策の行方に大きく左右されることから、5月18日のFOMC議事録で、年内の利上げ見通しの変化が重要なカギを握ることでしょう! ただ、FOMCメンバーでも意見相違がみられるように、英国民投票の結果や新興国市場の推移を見守ることになりそうです。

このようなことから、6月の利上げ期待は弱く、逆に強まるようならば、ドル全面高になる可能性が強まり、素直にドル買いで攻めることになるでしょう。

最近の米経済指標は斑模様ながら、他の主要国よりは強めの傾向にあります。特に、中国経済を筆頭に、豪州、NZ、カナダの弱さが目立つ国が、資源価格の上昇でどこまで弱さを相殺することができるのでしょうか?

【現状で考えられる相場変動要因】
5月18日の日本第1四半期GDP・速報値は?
5月17日の豪中銀議事録は追加緩和の可能性を残すのか?
5月19日の豪雇用統計で追加緩和の有無を判断できるのか?
5月20日のカナダCPIと小売売上高で、追加緩和の期待感が
どう変化するのか? サンドオイル地域の山林火災の影響は?
5月17日のCPIと18日の英雇用統計は、英国民投票前の悪影響をうけるのか? 
結果をみるまでは不透明感が続く。

5月26~27日の伊勢志摩サミット後に消費増税の延期を発表するのか?
6月15日のFOMCで利上げの可能性は?
6月16日に日銀は追加緩和ができるのか?
6月23日の英国民投票でEU残留ができるのか?

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◎【USDJPY 予想107.50~111.00】

ドル円相場は、ルー米財務長官の自国通貨安政策のけん制に対して、麻生財務相中心の当局の口先介入は何処まで有効なのでしょうか? 本来ならば「蛇が出るか蛇が出るか」、素直に円高水準を試すことを期待したいのですが、公的資金の株買いや円売りサポート要因が相場を歪にしているように思えてなりません。

今週は、伊勢志摩サミット後に消費増税が延期されるとの観測で相場が動く可能性や、18日のGDP速報値の発表がマイナスからプラスへの転換が期待すると思われますが、うるう年調整を加減すればマイナス成長との観測もあり、円に対しての見通しは複雑なままです。

大手市場参加者の中でも、円相場の見通しではブル・ベア混在のように感じられます。円ベア派は105円台割れ、円ブル派は112円台へ上昇を、期待するなど、今後のドル円相場は105~112円のレンジで売り買いが拮抗する状態がしばらく続きそうです。

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◎【USDCAD 予想1.2700~1.3200】

堅調な原油価格の上昇に対して、サンドオイル地域の山林火災の悪影響を為替相場にどこまで織り込んでいいのか、難しいところもあります。

初期の過剰なカナダドル売りの反応は弱まりつつありますが、4日の貿易赤字の予想外の拡大や、5日の弱いカナダの雇用もあり、5月20日のカナダCPIと小売売上高で、追加緩和の期待感が再燃するのか? 慎重な判断をせざるを得ません。

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◎【EURUSD 予想1.1200~1.1400】

ギリシャ問題も6月の理事会でギリシャの銀行への特例復活を協議するなど、何とか小康状態に入り、反ドラギ派の筆頭でもある、バイトマン独連銀総裁も「緩和的な政策スタンスは正当化される」と評価しています。

ECB月報では「正当化されるなら責務内ですべての措置を取る。ユーロ圏の経済回復は継続しているがリスクは依然下向き」と緩和継続の姿勢は変わらずで、その点ではユーロ売りの要因となっていますが、現状では新たな変動要因を見つけることは難しい状況です。

ユーロ圏発による大きな相場変動要因は、なんといっても英国のEU離脱の有無で、方向性を期待することは難しいように思えてなりません。

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◎【GBPUSD 予想1.4100~1.4550】

最近は官民挙げて、EU離脱のリスクを誇張する動きが強くなっています。国立経済研究所はEU離脱で「ポンドは20%下落、インフレが加速」と脅かし、BOEも四半期レポートで「ポンドは更に下落し、成長は著しく鈍化、インフレは大幅上昇」と公表。ラガルドIMF専務理事も「リセッションの可能性」を指摘しています。

今週は、5月17日のCPIと18日の英雇用統計で相場が動くことになりそうですが、それらの影響を事前に受けている可能性もあり、ベアになりやすい環境にあります。また、現状ではEU離脱の可能性は弱まっていると思われますが、「もしも」のリスクを考えれば、よほど大差で残留の予想にでもならない限り、ポンドをロングして発表をむかえることもできにくいように思えてなりません。

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◎【AUDUSD 予想0.7000~0.7450】

豪ドル相場の変動は、4月20日の高値0.7835からスタートし、スティーブンス豪中銀総裁の「必用なら追加緩和の用意がある、豪ドルが一段と下げなければやや驚き」との発言が発端となっています。

5月3日には予想外の利下げを実施し、6日の地半期金融政策報告では「インフレと成長見通しを引き下げ」、自国通貨安の誘導をしているようにも思えてなりません。

その効果は絶大で、AUDUSDは先週末に0.7260台まで下落、実に600ポイント近い下げとなっている。問題はこれが今週も継続するか否か?

17日の豪中銀議事録は追加緩和の可能性の有無で短期的に相場が変動することなりそうで、19日の豪雇用統計では追加緩和の期待感を判断する材料にもなりそうです。

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