2019/03/08

2019年3月8日(金)昨日7日、海外市場の動き(午前5時半ごろ)

2019年3月8日(金)昨日7日、海外市場の動き(午前5時半ごろ)

ECBショック! 「経済見通しを大幅下方修正」し「条件付き長期リファイナンスオペ再開」し「金利ガイダンスを変更」に年内の利上げ期待は遠のく、経済はそれほど弱いのか? 

欧米金利低下、欧米株価も弱く、為替相場はドル高でリスク回避の円買いも強い。EURUSDは1%超の下落。また、USDZARは2%近くの上昇。結果、EURJPY1.2%、ZARJPY2%近くの円高へ。

ECBの市場予想を上回るハト派に、独10年債利回りは前日0.128→0.067%(-47.66%)と大幅安。独DAXも一時の上昇から逆に0.6%下落。米10年債も前日2.693→2.636(-2.1%近く)下落へ。米株も弱くダウは一時320ドル安で現在は1%近い下げへ。

EURUSDは、狭いレンジが続いたアジア・欧州市場の序盤と様変わり、ECB理事会のハト派発言に、欧州市場の1.31320を高値に続落。ECBスタッフ予想は成長とインフレ見通しを大幅下方修正、ドラギECB総裁は記者会見で「経済見通しに対するリスクは依然として下向き」とも発言し、欧州債券利回りは低下し、株価も上昇から逆に下落し、米国市場の終盤には昨年11月12日の安値1.1216を割り込み、2017年6月に並ぶ1.1170台まで続落。

GBPUSDもアジア市場の1.3180台を高値に続落。欧州市場に入りブレグジット交渉で楽観的な材料もなく上下変動しながらも、EURUSDの下げの影響も受け1.3100を割り込み続落傾向が続いていた。7日もEU側は、英政府のコックス法務長官が今週提示したアイルランド国境問題のバックストップに関する提案を拒否、8日に再提出を求めた。一部報道でバックストップに関する新たな提案をしたとの報道もありGBPUSDは一時1.3152まで急伸する局面もあったが続かず。米国市場の終盤では1.3060台まで続落。今後は、レッドサム英下院院内総務は、メイ英首相の修正EU離脱案の採決を3月12日に行い、否決された場合は、合意なき離脱の是非を問う採決、および離脱延期の是非を問う採決へ、この流れを注目したい。

USDCADは、アジア市場の1.3440台を高値に欧州市場では1.3410台まで下落。パターソン・カナダ中銀副総裁は「経済的な滞りは2018年末の予想より長期化するかもしれない、カナダ経済は1月に予想していたより2019年上半期は弱いと予想」したこともあり、1.3410台をボトムに再上昇し米国市場の終盤では1.3460台へと高値圏で推移。ファーウェー問題をめぐり中国との関係悪化による制裁で経済的打撃、カナダのエンジニアリング・建設大手SNCラヴァランの汚職に対する司法介入疑惑をめぐり、閣僚の辞任が相次いでいることもネガティブ材料。

USDJPYは、株安+金利低下、世界的経済見通しの下方修正=リスク回避の円買いがテーマに、ただし、111.50円は引き続き壁。米国市場ではECBのハト派発言を受けたドル高の流れに一時111.86まで上昇するも続かず、逆に米株安と債券利回りの低下に111.48まで下落、結局はEURJPYやZARJPYを筆頭にクロスでの円高が目立ち、111.50~65の円高圏で推移。トランプ大統領(6日)産経新聞では、ワイトハウスでの会合で「日本との貿易赤字は大きすぎる」と対日赤字の規模に不満を表明。先日安倍晋三首相は日本が少なくとも7つの大きな工場を米国に移すと話した。もっとやるべきだと日本に一層の投資拡大を求めたとの報道も気になる。

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22:30    USD 週間新規失業保険申請件数=22.3万件(予想22.5万件 前回22.5→22.6万件) 失業保険継続受給者数=175.5万人(予想176.2万人 前回180.5万人)

22:30    USD 第4四半期 非農業部門労働生産性・改定値=前期比1.9% (予想1.7% 前回2.2%→2.3%)、単位労働コスト=2.0%(予想1.7% 前回0.9%)

22:30    CAD 1月 住宅建設許可件数=前月比-5.5%(予想-5.0% 前回6.0%)

5:00    USD 1月 消費者信用残高=前月比170.5億ドル(予想160.0億ドル 前回165.5億ドル)

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ECB理事会、主要政策金利を予想通り据え置き、世界的な貿易戦争やブレグジットを巡る不確実性でユーロ経済が急速に減速していることから、利上げの時期を来年に先延ばし、銀行向けの超長期の低利融資を再び実施すると発表。→ これを受けAUD売りが加速

①政策金利に関するフォワードガイダンスを修正し、「主要政策金利は少なくとも今年末まで、また必要な間、現行水準にとどまると予想する」。②期間2年の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾(TLTROーIII)を9 月から実施すると発表。③7200億ユーロの現行の借り入れのロールオーバーを支援し、景気が減速局面にある中で信用収縮が起こるのを防ぐ。

ドラギECB総裁記者会見、経済見通しに対するリスクは依然として下向き。2020年3月への金利ガイダンス変更も議論。新たな措置の決定は全会一致。2019年の成長見通しの下方修正はかなりの規模。ECBの決定はインフレを持ち上げることが目的。基調インフレは引き続き抑制されている。債券の再投資とガイダンスの延長が下支えする。労働コスト圧力は強まっている。リセッション入りの可能性は極めて低い。QE再開の討議はしなかった。預金金利の引き下げの議論はなかった。

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