2019/03/24

今週の為替相場を考える(3月25~29日)

今週の為替相場を考える(3月25~29日)

今週の主な材料でも示しているが、今週の為替相場を考える上で、「米中通商協議は?」、「ブレグジットは?」、「中国と欧州経済の鈍化は?」、「今後の日米自由貿易協定(?)の動きは?」、これらが今週を含め今後どのように変化していくのだろうか? 

また、先週利上げを実施したノルウェーを除き、主要国ではインフレと成長見通しに配慮し、利上げ停止や緩和姿勢の継続が見込まれ、債券利回りが続落し、昨年末をボトムに中銀の緩和姿勢に上昇している主要国の株価も、直近では伸び悩んでいるように見える(※添付のチャートをご覧ください)、これも今後どのように動くのだろうか? 

先週は独10年債利回りが2016年10月以来となるマイナス圏まで下落。米債利回りも続落する中で、米10年債・2年債の利回り格差は0.1224%まで下落し下げ止まる動きは見られず。先週末には3カ月TBと10年債の利回りが2007年以来約12年ぶりに逆転している。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は、「2年債と10年債の極めて平たんなイールドカーブは、中立に近づいている可能性が高いことを物語る、しかしこの点では不確実な部分も多く、私はそう望まないが引き締め的になっている可能性もある」との意見も!

USDJPY相場と最も相関関係(0.9)にある米2年債利回りも、昨年11月の2.97%とトップに暫く2.5%を中心に推移していたが先週は2.31%台まで下落し、円高の流れとなっている。2.5%超を継続的に回復できなければ市場参加者の円の先高センチメントが緩やかに強まってゆく可能性も高い。また、市場参加者の多くが材料として利用している株価とUSDJPYの相関関係はN225(0.4)、DJIA(0.45)とそれほど高くはないが、円相場に対するセンチメントとしては有効なのかもしれない。一方、GOLDとUSDJPYと金価格は逆相関関係(-0.8)にあり、「金価格が上昇=USDJPY相場は円高」の動きも強く、これも注目したい。

米中閣僚級の通商協議は北京で28~29日に再開される。ライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官が北京に再び出向き中国の劉鶴副首相と協議へ。その後、4月初めに劉鶴副首相がさらなる協議のため米国に向かう予定とのこと。このスケジュールでうまく合意できればフロリダのトランプ大統領の別荘ですると思われる米中首脳会談は4月初旬から中旬に開催できるのか? 

この動きの報道で株価が変動し、中国株と新興国株の連動性が高い通貨(EURUSD、GBPUSD、AUDUSD等0.9台)が動くことを期待したい。もちろん、トランプ大統領は「中国との貿易合意は近い」とする反面、「中国製品への関税をかなりの期間維持する」と発言、ディールの天才だけに何が起こるか不安ではあるが、最近の状況を考えると合意できないリスクは大きく、「米中通商協議で合意し米中首脳会談」が開催すると考えたい。

ブレグジットは、3月29日のリスボン条約第50条に基づくブレグジット期限はなんとか延期されとりあえず市場は安心している。ただ、今週と思われるが? 4月12日までに英議会は離脱協定案の3度目採決を行う必要がある。そもそも先日、英下院議長は同じ内容での採決を否定しており、どのようにして3度目の採決に持ち込むのか? 仮に採決ができ、否決されれば4月12日がEU離脱日となり、可決すれば欧州議会選挙の日程もあり5月22日が延期期限となる。

長くなるので、「中国と欧州経済の鈍化は?」、「今後の日米自由貿易協定(?)の動きは?」
は詳しくは割愛するが、これに関する報道は注意してほしい、「中国と欧州経済の鈍化=リスク回避の円高へのリスク」、3月19日(日本時間20日)にトランプ大統領が言い出した、「日本とは範囲の広い自由貿易協定を結ぶ」との発言、「日米FTA(TAGでななく!)=円高へのリスク」は強く存在する。

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USDJPY 円高圧力が続く可能性も、(予想レンジ 108.50~110.50、または、109.50~110.50)

1月3日のフラッシュクラッシュの円高104円台半ばから始まった、円売りの流れも112.00~20の壁を超えられず、大枠111.00~112.00のもみ合いから、欧州・中国・米国(含む日本)の景況感悪化による、主要国中銀の緩和的な政策へのシフト、金利の低下に、リスク回避と金利差縮小(?)による円高リスクも存在。直近ではGBPJPYの動きに円相場が左右されることも多く、ブレグジットの動きも注意が必要。

円高期待は、過去何度も裏切られていることを脳裏にとどめながらも、テクニカル面でも円高方向に動きやすいので、投機的ポジションがたまりやすいことも考慮せざるを得ず。全速力で走ることはできないが、戻りが限られてくればその円高への圧力が強まる可能性も。

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GBPUSD 3度目のEU離脱案の採決実施とその結果次第であることが前提! ボラティリティは高くワイルドな動きは止まらず。単独では1.1300の壁がクリアに割り込むまではGBP買いを支持、(予想レンジ 1.3050~1.3300)

EURUSD ブレグジットの影響次第だが(どのような結果になるか不明のため)、テクニカルではEUR売り圧力が続く (予想レンジ1.1220~1.1350)

AUDUSD 28~29日の米中通商協議の結果次第で急変も! ただ、テクニカルではAUD売り圧力が続きワイドながらレンジ相場を継続 (予想レンジ 0.7000~0.7150 )

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