2019/09/22

今週の為替相場を考える(9月23~27日)

今週の為替相場を考える(9月23~27日)

今週は「今週の主の材料」で示している政治的リスクと、テクニカルを含めて考える必要がある。

以前ある記事で、ファンドの多くはAIを駆使した取引システムで運用しているとあった。市場参加者の総意がチャートに組み込まれていると考えれば、それもまた信なりで、テクニカルのとらえ方には人により差はあることは当然ながら、システム的に答えを出すのであればどれを見ても金太郎飴で当然ながらみな同じ方向に動く。

私はテクニカルの専門家ではないが多数のチャートを長年見ていることで感覚的にわかることも多く、最近はシステムで自動的に売りや買い、ターゲットゾーンを設定することもでき、自動やマニュアルに切り替えることもできる。便利な世の中ではあるが誰かがババを引くことにならないか、疑念が残る。

あるシステムでは、USDJPYは4時間では売り確率65%、日足では買い確率67%とあり、どのような期間を想定しているかで方向性も違うらしい。ただ、個人的には日足は売りに変化しており、週足でも108.50を上回り越週するまでは売りに見えて仕方がないが?

それはさておき、先週のFOMCは期待通り0.25%の利下げを実施したが、ドットプロットチャートから今年、来年末のFFレートの中央値は変わらずとなった。債券利回りは急伸しドル高へと動いたが、その価値も米中通商協議の動きの前には主役になれず。

直近の相場変動を振り返ると、米中通商協議はお互い譲り合いの精神で相手にプレゼントを贈り制裁を弱めたことで相場は株高とドル高値と動いていた。先週は次官級協議が終わり、10月初めに予定されている閣僚級会議へと移ることになり、市場の期待感は続いていた。

ところが、20日の次官級協議が終わった後、クドロー氏は協議の雰囲気は和らいでおり、ペンス副大統領も同調していたが、クドロー氏も「米国は知的財産と安全保保障問題を切り離すことはできない」と主張、ペンス副大統領は「中国は米国との合意を直ぐに望んでいるか定かでない」との発言もあり、米中合意の早期期待感が剥がれ落ちる結果となっている。

先週末にトランプ大統領は中国に「完全合意」を求めて譲らず。モリソン豪首相との共同記者会見でも米中通商交渉で「来年11月お大統領選まで妥協は必要ない」と、農産物の大量購入だけでは不十分だと強調している。中国の農場視察団は予定を急遽取りやめ帰国し、株価は下落し債券利回りは低下し、リスク回避の円が選考される動きとなっており、この流れを覆すような材料は今のところ見当たらない。

今週は、国連総会に出席するため、多くの首脳や要人がNYに集まり、どのような演説をするのか? 表と裏でどのような話し合いがされるのだろうか? 金融政策の変化が、主要国間の通商協議等の政治的な動きに引っ張られる現状を考えると、結果に反応できる体制を残しておくことも必要では。

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USDJPY 予想レンジ(106.50~108.50)
米中通商協議の楽観的な期待感が削がれている状態が続くのか、それとも再び楽観的な見通しへと変化し10月初旬の閣僚級会議へとつなぐことができるのか? 主要国の金融政策にも影響を及ぼすことから、まさに、円相場を含め金融市場の最大の関心事。それと、25日と思われる日米通商協議でどのような合意となるのか? その結果で上下どちらでも動きそうであるが、手元の駒を見れば円高圧力を示唆。


EURUSD 予想レンジ (1.0950~1.1080)
IMMシカゴのポジションはユーロのショートが拡大。テクニカルだけ見れば短期売り、中期売り、長期売りで売り圧力は変わらず。16日以降では1.0990~1.1075のレンジに収束し、Dailyは1.1100をトップに下げ圧力が続き、Weeklyは1.0925~1.1100のレンジでダウントレンドを続けているがオシレータ系では売られすぎ感が強い。

どうしても、ブレグジットリスクが気になり、英議会休会をめぐる英最高裁の判断は? EU首脳とジョンソン首相とのネゴシエーションは? 政治的な動きに左右される可能性も。


GBPUSD 予想レンジ (1.2390~1.2600)
テクニカルだけ見れば短期買い、中期買い、長期売りで、目先の強い買い戻しにも売り圧力は変わらず。Dailyは75MAを割抜けてからの上昇傾向を維持するも、1.2390を割り込むと流れに変化も。Weeklyは1.2950を超えられるか? この水準を超えられなければダウントレンド変わらず。

英国と同じで、ブレグジットリスクが気になり、英議会休会をめぐる英最高裁の判断は? EU首脳とジョンソン首相とのネゴシエーションは? 政治的な動きに左右される可能性も。


USDCAD (1.3200~1.3300)
テクニカルだけ見れば短期売り、中期買い、長期買いと買い圧力は変わらず。ただ個人的にはサウジ石油施設の回復はあまりにも早すぎやや疑念を抱いている。いずれにしても原油価格が上昇している現実を見ればカナダドルにとって有利であることは間違いないと考えてしまう。

最近では1.3100~1.3380のレンジながら、相場感は1.3300台を売っていれば時間の経過は別として利食いのチャンスは十分あった。昨年10月以降で見れば1.3000台をボトムに高値は1.3660台から切り下がっているように思われてならない。いずれにしてもWeekly200MA=1.3110を割りこむことができるか?また、Daily200MA=1.3304が重要なポイントに。


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