2019/09/01

今週の為替相場を考える(9月2~6日)

今週の為替相場を考える(9月2~6日)

はやくも9月に突入です。今週から米中は制裁・報復関税の一部を発動する予定に変更ないと言う。その中で継続する予定の米中ハイレベルの通商協議は一体何なんだろう。12月15日発動予定の制裁・報復を止めることはできるのだろうか?

また、トランプ氏がパウエルFRB議長に執拗なまで毎回主張している、ドル安誘導(結果としてそう思えるのだが)と大幅な利下げ要求は、次期米大統領選対策とした米経済の成長鈍化の責任転嫁なのか、それとも純粋にそう信じているのであろうか? 疑問だらけ!


今週も米中通商協議の進展度合いで、債券・株式・為替相場が動くことは間違いないが、どう転ぶのかはあまりにも駆け引きが多すぎ事前に判断することは難しいように思えてならないが、USDJPYはいつもながら、リスクオン・リスクオフを材料にして素直な動きとなることを期待している。もちろんその結果によって変わってくるが、現行通りで大きな変化がなければ多少のずれはあるも大枠で105(104.50)~107のレンジ相場をしばらく続ける可能性を意識したい。もちろん米中ハイレベル通商協議が失敗に終わり、12月15日に制裁措置が発動となれば100~105円の新たなレンジを見据える必要も出てくる。

ポンド
ジョンソン英首相は、9月第2週(9日)から5週間(10月14日)まで英議会を閉会する。その前の最後のチャンスとなる今週の英議会でどのような解決策を見出すことができるのだろうか? 非常に重要となっている。10月31日(木)期限の英国のEU離脱を前にして議会の動きを封じ込めることで、合意なきEU離脱のリスクを市場はすでに十分意識しながら、GBPUSDは1.2000をボトムに下げ止まっているが、首相のウルトラCがなければこの水準は「空前の灯」のように思えてならない。

ユーロ
欧州では、相変わらずドイツを含むユーロ圏の経済成長の鈍化から立ち直るデータも見られず。ついにドイツは財政拡大へと動く筋道を整えつつあり、イタリアは落ち着いてきた政局安定の期待もどうも若干の不信感が表れてきている。ECBは9月の緩和策を発表するとあり、市場は利下げを含めた緩和策をすでに十分織り込みながら、EURUSDは2017年5月以来となる1.100の大台を割り込み続落している。トランプ氏の度重なるEUR安けん制発言におびえながら、極端にEURショートにも動けず、IMMポジションもショートポジションは予想外に軽く、ボトムアウト感は見られず。

豪ドル
中国経済と結びつきが強い豪ドル、住宅価格の下落の問題を抱えながら、9月3日には豪中は政策金利1.0%の据え置きが予想されている。ただし、先週にデベル豪中銀副総裁は「政策金利の下限は0.0~0.5%付近である可能性が高い」とあり、その水準まで利下げする必要に迫られないことを望むとあった。モリソン首相は必要なインフラ投資や構造改革より、財政収支の黒字化の公約を果たすことを優先させている可能性もあり、金融市場では政策金利が来年2月までに0.5%まで低下すると予想している。

カナダドル
10月21日のカナダ総選挙で8月21日に実施した世論調査では「トルドー首相率いる与党自由党と主要野党保守党の支持率が互角」とあり、今日選挙が実施された場合の得票率は自由党33%、保守党35%と逆転していたことも気になる。9月4日にカナダ中銀は政策金利1.75%の据え置きが予想されており、主要国で利下げが相次ぐ中で昨年10月24日に1.5→1.75%へ利上げした後は、金利の据え置きが続く珍しい国でもある。また、カナダドルと相関関係が高い原油価格(WTI)は50~60ドルのレンジで安定している。そう考えれば、それなりにCADのインセンティブがありそうだが、7月に1.30割れを失敗してからは上昇し、1.3200~1.3350のレンジが続く。

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USDJPY 予想レンジ(105.50~107.20)
以前に「金と円は安全資産として資金が流入している」とのコメントがあったことも思い出す。それは間違いではなく正しいと思うも、為替相場はポジションがたまると逆に動くこともまた真理。105円のボトムを割り込んでから先週は106.70円近くまでの反発に、短期筋の円ロングは切らされてしまったと思うも、結果として105~107円のレンジ相場を世襲。

米債利回りの上昇も限定的で、円安相場に転換したとは考えられず、107.50~70の高値水準を上抜けするまでは、戻り売り方針で変わらず。ただし、米中通商協議の進展次第では多少の上振れリスクも意識した動きへ。


EURUSD 予想レンジ(1.0950~1.1050)
心理的に1.100を割り込んだ意義は大きい。弱い欧州経済、ブレグジットリスク、イタリアリスク、ECBの緩和リスクとあり、1.1050を高値と考え売り方針で変わらず。


GBPUSD 予想レンジ(1.2050~1.2200)
議会の動きは気になるも、EUが理解を示す離脱合意案を採択できるとは考えにくい。サプライズのウルトラCがあれば即買いに変化する必要があるが、リスクを考えれば1.2200を超えないとの判断で売り先行へ。


AUDUSD 予想レンジ (0.6650~0.6800)
相変わらず0.6800超えは重く上値は限定的。豪中銀は政策金利を据え置くことは間違いないと思うが、今後も見通しで相場が変動することは間違いなく、最近の中銀関係者の発言から考えると下値リスクは変わらず。


USDCAD 予想レンジ (1.3180~1.3350)
4週続けて1.3350を超えられず、期待はCADドル高なのだが、なかなか思うようにならず! 過去3週間は底値を切り上げながらも、1.3180~1.3350のレンジ、1.3220~1.3350のレンジ相場と思われる。

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