2019/09/08

今週の為替相場を考える(9月9~13日) 懸案のリスク材料が今週も相場決定要因へ。

今週の為替相場を考える(9月9~13日)

懸案のリスク材料が今週も相場決定要因へ。

為替相場で最も注目され影響度が高い材料は、米中通商協議とFRBの金融政策であることは変わらず。それ以外でもブレグジット問題、ECBの緩和策の有無が焦点に。

その米中通商協議は、9月初めに予定されながらも開催の見通しが立たなかったが、10月初めに開催することが発表され。開始の延期よりも、市場は開催の合意自体を評価していることが気になる。

中国政府は中国の国慶節(10月1日~7日)まで大きな変化を望まず協議開催の合意だけをアピールしている可能性はあるが、株高+債券利回り上昇=リスク回避の巻き戻しに、JPY売り+AUD買いが選好されていることも事実だが、テクニカルによる変化を除けば、リスク回避通貨をショートにすることも難しい。

香港では逃亡犯条例の撤廃の動きにも大規模デモは収束できず相変わらず懸念材料。一方、中国発の景気対策と金融緩和策が功を奏したのか、中国国家当家局や財新PMIも底打ち感が見られる。直近でも預金準備率を0.5%と大幅に引き下げることを発表し16日には実施と、中国経済み結びつきの強いAUDやNZDの買い戻しの要因となっており、10月初めの米中通商協議の結果を見極めるまでは積極的に動けない。

一方の、9月18日のFOMCは9月3日の弱すぎる米ISM製造業景況指数の発表を受け、利下げ期待度はさらに強まるも、5日の強い非製造業景況指数を受け、期待度は弱まっているとは言え、18日のFOMCで0.25%の利下げを織り込み、12月11日のFOMCでも追加利下げの期待度も強まっている。

ブレグジットに関しては、英議会では、EU離脱延期法案(3か月間の延長)が議会で承認され9日にエリザベス女王が署名し正式に成立する。ジョンソン英首相が望む解散総選挙への可能性は弱く、合意の有無にかかわらない10月31日のEU離脱が実現する可能性は弱まっている。仮に英議会が3か月の延長望んでもEU各国が承認するかは不透明で、GBP+EURにとってはどのような結果になるか現時点で判断することは難しく、ショートポジションの巻き戻し以外に積極的なロングポジションを取りにくい。

ECB理事会は、主要政策金利の一つとなる下限金利(中銀預金金利=deposit rate)を今までの-0.4→-0.5%に引き下げる可能性が高く、市場はこれを織り込んでいる。一方、昨年末に終了した量的緩和(QE)の再開の有無で、これに対して熱い討議が繰り返されており、この結果によってEUR相場は大きく変動することは間違いない。

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USDJPY 予想レート(106.20~107.50)

先週は弱いISM製造業に反して、強いISM非製造業景気指数を受けた、債券利回りの上昇や株高や、米中通商協議が10月初めに再開されることが合意されたことで、過去4週間の高値水準となる106.70~00を超え一時107.20台まで上昇し、目先のJPYロングは撤退を余儀なくされている。引き続き高値圏での取引が続いており、テクニカルベースでは日足では買われすぎを継続的に示唆しながらも、USDJPY相場は底堅く推移している。75日MA=107.55が当面の上値のターゲットでこれを今週の高値水準と考えたい。仮にこの水準を上抜けすれば次に200日MA=109.60があるが、取り巻くリスクポジションの解消は一時的と思われここまで考えなくてもいいのでは? 

今週は、米CPIが重要なイベントとなるが、米中ハイレベル通商協議が10月初めに再開されるまで十分な時間がある。トランプ大統領が「中国の報復関税措置を受け、対中国への関税を2倍に引き上げることを主張するも、ムニューシン、ライトハイザーに説得され思いとどまる。」との9月4日のCNBCの報道を思い出すにつれ、今後どのような結果になるかは依然として不透明。ただし、現時点では目先のリスクが高まる要因は薄らいでいる。


EURUSD 予想レート(1.0900←1.1000~1.1100→1.1200)

12日(木)のECB理事会が最大の争点で、1.1000を再びボトムに1.1000~1.1100のレンジ相場入りとなるのか、それとも1.1000~1.1200のユーロ高水準のレンジとなるのか? 可能性は低いのであまり気には指定名が先週のボトム1.0926を割り込むと予想外の流れへ。

EURは現時点で予想できないブレグジットリスクを伴うも、12日のECB理事会で期待通り中銀預金金利-0.4→0.5%へ引き下げするのか? さらに、意見が分かれる量的緩和(QE)の再開の有無があるのか? 共に実施するようであればEURUSDは1.100が下限ではなく1.0926の安値に向け時間をかけ割り込む可能性も高くなり、QEがなければ上値を切り上げたレンジ相場に戻る可能性が高くなる。


USDCAD 予想レート (1.3050~1.3280)

4日にカナダ中銀は予想通り政策金利を1.75%に据え置き、「カナダの経済は潜在力に近づいており、インフレは目標を達成」とあり、「現在の金融政策刺激の程度は依然として適切」と、今後の利下げを示さず逆に利下げを期待してCADショートは撤退を迫れていた。翌5日にはシェンブリ・カナダ中銀総裁は、カナダ経済はマイナスの衝撃に対し「歓迎すべき度合いの復元力」を示しているとあり、カナダ経済は「ソフトパッチ(景気の一時的後退)を明らかに脱した」と指摘。他の中銀との相違が明らか。

テクニカルでもこの4日を境にして4時間200MA=1.3240を割り込んでからはこれを高値に続落傾向にある。過去の推移でも7月中旬から7週間続いた陽線が先週は大きな陰線へと変化し、先週は75週MA=1.3173近辺まで下落し、200週MA=1.3119が視野に入っており、戻り売りに変化しているように見えてならない。

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