2018/05/20

今週の為替相場を考える(5月21日~25日)

今週の為替相場を考える(5月21日~25日)

相場にへの影響の度合いを考えると、一時7年ぶりの3.1%台まで上昇した米10年債利回りの影響が最も強いと思われる。FOMCの更なる利上げ(2~3回)、BOEの追加利上げの時期の後退、ECBの緩和縮小の時期後退、BOJの超緩和策の維持と、それぞれの金融政策の違いはそう簡単に片づけられそうにない反面、米利上げによる新興国通貨安が目立ち一部の国では通貨防衛のために為替介入も見られるなど、新興国市場がどこまで耐えられるか注目。

今週の主な材料でも記載しているが、来週5月28日は米国市場がメモリアルデーで休場、英国市場はスプリング・バンク・ホリデー休場となる。世界の主要市場のロンドン・NY市場が休場となることで、今週末にはポジション調整が強まることが予想される。一方、前述の多数の変動要因でリスクが高まるようであれば週末リスクを意識した行動に動きになりやすい。

特に、5月24日(木)にはBOEマーケットフォーラムでカーニーBOE総裁、ダドリーNY連銀総裁らの発言が予定。週末5/25(金)はリスクバンク主催のカンフェランスでパウエルFRB議長、カーニーBOE総裁ら多数の中銀関係者の発言が予定されており、発言の内容如何によっては相場変動が高まるリスクを意識したい。

米中通商協議、米朝首脳会談へのプロセス、イタリア政局不安、中東の地政学的リスク(イランとイスラエルの対立)、米国のイラク核合意からの脱退と制裁の動きと+EUとの対立など、それぞれが相場に与える影響は大きく、今後の推移を見守り何時でも対応できる準備が必要となってくる。

米中通商協議は、17日、18日の開催から声明の発表が翌日19日と異例の動きとなった。「米国の対中貿易赤字を減らすため、中国が米国のモノとサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した」と表明したが、米国が検討する対中制裁の撤回には触れず、対中貿易赤字を2000億ドル分減らすよう中国に求めにも触れていない。

中国共産党機関紙、人民日報系のネットメディアは、両国の貿易摩擦を「激烈な対決」と表現した上で「一度や二度の協議で全ての問題を解決することは不可能とあり、このあたりが真実ではと思われてならない。

為替相場への影響を考えると、5/23(水)FOMC議事録(5月2日分)と5/24(木)のECB理事会議事要旨(4月26日分)も注目したい。


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USDJPY (予想レンジ 110.20~111.80)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、USDJPYは3月23日の週104.641をボトムに、先週の111.08まで66.4円(約5.8%)と8週連続して上昇中。日米金融政策の違いと金利差拡大をテーマとしているが、日本株は予想外に底堅い動きで、米国側からは現在のところ円安の動きをけん制する発言も見られず。ただし、新興国市場の更なる下落や、中東の地政学的リスクや、米中間や米朝間の対立と可能性は低いものの、表面化した場合の円高リスクは絶えず警戒が必要な中での上昇だけに、大きな円ショートが作りにくい分、円安を継続させやすい要因ともなりかねず厄介のことでるある。

テクニカルでは、長く続いた108.50~110.00のレンジから、200日SMAの110.10近辺を超えてからは上昇力が加速し、200日SMAの高値水準の110.55をボトムとした動きが続いている。ローソク足は上髭の長い転換線とも思われる動きもあり、相場転換の可能性も気にしながら、円高方向への材料が出ることになれば反応しやすくなることも意識せざるを得ないが、200日SMA=110.168を終値ベースで割り込むまではドルブル(円ベア)方向で変わらず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週-5,462→+3,680(+9,142)
4月3日に2016年11月29日から70週続いた円安(ネットショート)から歴史的な変化をするも、ロング→ショート→そして再びロングと入れ替わり、市場参加者のセンチメントが円ブル派と円ベア派に分かれていることを裏付けている。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.25→-0.25と変わらず、 1M=-0.55→-0.35、 3M、、6M、9M、12Mも総じてドルプット・円コールが低下し、短期を除き円の先安を期待する動きを継続中。


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EURUSD(予想レンジ1.1600~1.1880)

EURUSDは2月16日の週1.2555をトップに、直近では5週連続して下落、先週のボトム1.1750まで805ポイント(約6.4%)下落中。米国のイラク核合意からの脱退と制裁の動きはEUとの対立を生みかねず、EURUSDの相場への影響も気になる。また、タリアのポピュリズム政権の誕生はEUR売の懸念を生みやすい。ECBの緩和縮小の時期が後ずれする可能性のも強く、どこまでEUR売りが続くのかを確認する動きの可能性も。

テクニカルでは、200日SMA=1.2020を、22日SMA=1.2002を割り込み、EUR売りの流れを継続中。EURUSDが低下する中で、EURロングのポジションは引き続き高水準にとどまり、市場参加者はEUR高を信じているのか、それとも更なるEUR売りへと要因となるのか、注意深く見極める必要がある。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週+120,505→+115,114(-5,391)
2017年5月9日から54週間ユーロのロングを維持し、相変わらずNO.1のロングポジションを維持してはいるが、4月17日をピークに4週連続の減少で、ユーロ高センチメントが強いと思われる反面、ECBの早期緩和縮小期待も消え、ユーロロングが切り切れていないともとれる不安定な状況とも言えそう。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.30→-0.70、 1M=-0.35→-0.55、 3M=-0.25→0.40へ低下、6M、9M、12MもEURプット・ドルコールが拡大気味で、先週は一時持ち直していたが再び長いところを含めてEUR売りを意識した動きとなっている。



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GBPUSD(予想レンジ1.3300~1.3600)

GBPUSDは4月20日の週1.4377をトップに、5月11日の週12ポイントの上昇を除き4週値を下げ、先週のボトム1.3451まで926ポイント(約6.4%)下落中。カーニーBOE総裁のややタカ派発言にも早期追加利上げ期待は消え、市場のGBPロングポジションの影響なのか実需筋の買いが続きながらも上値は重く続落傾向は止まらず。悪材料の出尽くし感に下げ止まるとの期待感も残るが、EU離脱後のEU関税同盟を脱退するのか存続するのか、政権内での意見対立が続き不透明感も。

200日SMAを中心として上下変動しながらも、安値SMAと高値SMAの間でレンジ相場を継続していたが、先週と先々週と2週間に渡り1.3600を高値に上値が重くなり、終値ベースは過去2週間の安値引けとなってる。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週+8,988→+5,621(-3,367)
2017年11月28日から25週ポンドのロングを維持するも、4週連続の減少で水準を見ると2017年11月28日の水準に次ぐ低水準で、さらにショートへと変化する可能性も強まっている。弱い経済指標が続きBOEの早期利上げ期待も遠のき、ブレグジットによる英国内リスクも材料にされやすい。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.23→-0.23、 1M=-0.31→-0.34、3M=-0.43→-0.43と変わらず。長いところも変化は見られず。過度なポンド先安警戒感は見られないが、相場は緩やかに低下気味。

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