2018/05/06

今週の為替相場を考える(5月7日~11日)

今週の為替相場を考える(5月7日~11日)

弱さが目立った米雇用統計は何のその! 米利上げ期待は変わらず。 米中通商協議の結果を受けたトランプ大統領の判断と結果による株価変動と、米CPI次第で急変も可能性も意識!

今週の台風の目は「米中通商協議の結果を受けたトランプ大統領の判断(制裁を含む)」の有無と、「米CPIを受けた米金利の動き」が直接的に米株と米債利回りに反応し為替相場に波及することで特に注意が必要。それと、5月8日のパウエルFRB議長の発言も若干期待(スイス中銀イベントでの発言)。

欧州・英国の経済指標は弱さが目立ち、バイトマン独連銀総裁は「ユーロ圏の景気拡大が終焉との懸念を否定」するも弱さは隠しきれず。結局はこの違いがドル相場の支援材料でもあり今週どのように変化するのかを注目。10日のBOE金融政策委員会・カーニーBOE総裁会見・四半期インフレ報告からは目が離せない。ポンド相場の続落を食い止めることができるのか? 

円相場に影響を与えやすい米中通商協議の結果は、米中それぞれ成果を公表するも詳細の発表もなく、WSJ紙は「米中通商協議は物別れで互いに譲らず 巨額関税に現実味」と報道。次の段階についてトランプ大統領の判断を仰ぐ意向とホワイトハウスは伝えており、大統領はツィッター訪中団と面会し結果を判断すると語る。どうなることやら?!

市場がドル相場の判断材料としてみている(真贋は別として)米10年債利回りは先週末の米雇用統計直後の2.9086をボトムに、大枠2.9~3.0のレンジで推移。ただ、2年債は雇用統計後に2.5%台を回復し強く米利上げ期待は変わらずで、10日の米CPIが米金利と米株にとって米中通商問題に次ぎ最も重要なポイントとなっている。

ちなみに、CMEのFedWatchToolでは、6月13日のFOMCで追加利上げ期待度は100%で変わらず、9月26日のさらに再利上げ67.2→69.4%に上昇、12月19日再々利上げ35.7→37.7%と年内後3度の利上げ期待も残っている。この流れに変化がみれるのか注意。

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USDJPY (予想レンジ 108.20~109.50)米中通商協議の結果を受けたトランプ大統領の判断と米CPI次第で急変も覚悟!

4月24日から続く109円台をボトムとした動きは、5月2日に200日移動平均線110.20台直前の110.03を高値に反落、先週末には一時108.65まで下落するも結局は109円台で終了。109円割れの買い意欲は残る半面、110円の重さを再確認し、週足では相場変転の可能性を示す転換線が出ているのが気になる。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【円】前週583→-1,405(-1,988)
円は歴史的円ロングへの転換からわずか4週間で再びショートへ陥落。ショートは-1,405コントラクトと僅かながら、市場参加者の潜在的な円売り思考には脱帽。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.45→-0.65、 1M=-0.65→-0.7、 3M=-1.0→-1.0で、短いところは円コールオーバーが拡大し円高リスクをヘッジ。

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EURUSD(予想レンジ1.1900~1.2150)

4月17日の高値1.2414から続くEUR売りは5月1日にはついに200日移動平均線1.2010 を割り込む。先週は1.1950台割れを3度試し、先週末は一時1.1910台まで下落しながらも3日続けて終値ベースでは1.1950台を回復。オシレーター系では買い転換の可能性もありようやく下げ止まり感がみられるも、1.2000の大台を回復することができるかが今後の最大のポイントに。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週130,594→120,568(-10,026)
引き続きネットロングNO.1の座を維持しているが、2週連続で前週比から減少。ロングも1月30日の109,280に次ぐ水準に低下中。ロングポジションが多い割には為替市場では下げ幅は少なく底堅いとみるのか? これから続落するとみるのか? 意見が分かれるところ。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.6→-0.55、 1M=-0.30→-0.40、 3M=-0.15→-0.35と、先週EURコールからプットへと変化した流れは変わらず、引き続き下値リスクの警戒感が残る。

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GBPUSD(予想レンジ1.3500~1.3650)BOE金融政策に変化は期待しないが、カーニー総裁発言と四半期インフレ報告が台風の目で結果により動きに変化も? 

4月16日の1.4377から続落傾向が続き、先週末の米雇用統計後には200日移動平均線の1.3537を割り込み一時1.3486まで続落。なかなか反転の気かけをつかみきれず。オシレーター系はトレンドの強い下落なのか反転せず、売られすぎゾーンにとどまる。200日移動平均線を回復できるか注目。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【ポンド】前週37,365→26,372(-10,993)
ネットロングを維持しながらも2週連続で前週比から減少。ネットロングは3月20日の23,807に次ぎ水準へと低下中。弱い経済指標とメイ政権への不安が続き5月の利上げ期待度が急落する中で、引き続きロングを維持していることには驚き。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.20→-0.23、 1M=-0.25→-0.31、 3M=-0.35→-0.43と、GBPプットが続きさらに拡大傾向にあり、引き続き下値リスクの警戒感が残る。

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AUDUSD(予想レンジ0.7480~0.7610)中国との経済的な結びつきは強く、米中通商協議を受けたトランプ大統領の決断とによっては予想レンジを大幅に越脱する可能性も! 中国貿易収支+CPI+NZ中銀の金融政策の影響も気なる。

4月13日の高値0.7810、4月19日の高値0.7813と、共に200日移動平均線で上げ止まり反落へ。4月30日の0.7525をボトムに先週は底値固めなのか、米雇用統計後に0.7490台まで下落するも緩やかに上昇中。オシレーター系も買いへと変化しており、0.7600台を回復できるか注目。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【豪ドル】前週--3,396→-5,672(-2,276)
これで5週連続しネットショートを継続。ネットショートポジションは非常に僅かで、資源価格も強く新興国も安定し、米中通商問題が解決するとプラスに転換するか期待しているも、米ドルと比較すると強さは見られず。

AUDUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.61→-0.56、 1M=-0.60→-0.60、 3M=-0.80→-0.75と、AUDプットが続くも前週からは幾分弱まり、弱きムードに若干の変化も。

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USDCAD(1.2800~1.2900のレンジを目指し、1.2780~1.2920を抜け出した方向に動きやすい)資源価格と原油価格の上昇はCADの支援材料でCADショートになった時に買い材料に使われやすい。

3月19日の高値1.3125→4月17日の安値1.2527→先週は一時1.29台まで上昇するも、ある水準ではレンジ相場になりやすい傾向があり、大枠1.2800~1.2900のレンジ相場を継続中。オシレーター系は買われすぎ状態にとどまる。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【カナダドル】前週-25,144→-27,535(-2,391)
これで6週連続しネットショートを継続。NAFTA再交渉の期待や原油価格の上昇にも市場参加者のセンチメントが弱いのか、ショート幅はほぼ横ばいで安定しているがプラス転換の動きは見られず。

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