2018/05/27

今週の為替相場を考える(5月28日~6月1日)

今週の為替相場を考える(5月28日~6月1日)

先週は米朝首脳会談の「突然の中止劇」に米債利回りは下落し株も軟調に推移していたが、週末に2度目の南北首脳会談が突然開かれ、米朝首脳会談の開催は二転三転し、結局は6月12日にシンガポールで開催される可能性が復活している。

この動きだけを見ても英米が3連休の休日となる月曜日の為替相場への影響が少なからずあり、リスク回避の巻き戻しによる相場の変化が予測できる。JPY+CHF売り+USD買い。

しかしながら、世界情勢の変化に相場は上下いずれの方向にも動きや安く注意が必要なことに変わりなく、イタリア・ポピュリズミ連立政権の影響は? イラン問題は? 米中貿易問題? 米国のイラン核合意から撤退とのイラン情勢は? トルコ・アルゼンチンは通貨防衛の利上げ実施、新興国通貨の動きなど、材料は豊富過ぎる。

イタリアでポピュリズミ連立政権が樹立し首相に政治経験の無いコンテ氏が選ばれ経済相候補にEU・ユーロ懐疑派の「サボナ氏」が有力とみられ現状ではEUR売り材料に使われやすい。スペインでもラホイ首相の元側近が与党国民党内の汚職事件で有罪判決を受け不信任動議準備へと動きの動きへを注目する必要があり、共にEUR相場にとって重要な材料となっている。(その分、ショートが溜まりやすいことになるが)

米中通商協議はムニューシン米財務長官が「中国との通商協議はとても大きな進展が見られた」とあり、中国外務省報道官も「中国は米国との貿易摩擦を望んでいない。米中は関税措置を保留する一方、広範な貿易協定に取り組むことで合意」とあり、中国財務省は自動車の輸入関税を25→15%へ引き下げることを決定しているが、いまだに核心部分が見えてこない。

先週初めにムニューシン財務長官の「長期的には強いドルは米国にとって有益」と発言、クドローNEC委員長の「強いドルは投資を呼び込む」と発言するなど、特に意味がないのかもしれないが気になって仕方がない。

ポンペオ米国務長官はイランに対する厳しい対応を表明し「イランが核プログラムの放棄やシリア内戦からの撤退を含む米国の要求を受け入れなければ、米国は同国に対し「史上最強」の制裁措置を導入する可能性」を指摘。

今週は、主な材料でも触れているが、金融政策・経済指標でも重要案件が多く、相場変動の材料には事欠かない。米雇用統計は? 米GDPは? 米個人消費は? カナダGDPは? カナダ中銀の金融政策は? と、材料は豊富なだけに相場の上下変動のリスクは高い。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


USDJPY (予想レンジ 109.20~110.20)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、3月30日の週から転換した円安相場は8週続伸後、先週は大陰線で相場転換の可能性も示唆。下値のポイントは108.50、109.00、上値のポイント200SMA=110.18と110.50となっている。

先週は突然の米朝首脳会台中止報道によるリスク回避の流れにも109.00を大きく割り込む事もなく、その後は109.50台を高値とするややビットアップした動きから、終了間際109.50台→109.30台への下落。週末リスクを意図した円買いの動きと思われ、米朝首脳会談の復活劇の可能性にどこまで円売りが進むことができるかをまず注目したい。

ただし、米朝首脳会談開催までのプロセスや、他のリスク材料も多く存在することでテクニカル要因だけで判断することもできず、ドル円の買い戻しも限定的となる可能性も。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週+3,680→-2,767(-6,447)
4月3日に2016年11月29日から70週続いた円安(ネットショート)から歴史的な変化をするも、ロング→ショートと短期間で入れ替わり、リスクヘッジ通貨として選好され、ドル高の流れの中でもネットショートは少ない。また、市場参加者のセンチメントは円ブル派と円ベア派に相変わらず分かれている

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.25→-0.75、 1M=-0.35→1.02、 3M、6M、9M、12Mも総じてドルプット・円コールが急拡大し前週までの動きから急変し、円先高期待感が強まっている。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※


EURUSD(予想レンジ1.1550~1.1700)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、約13週続いた1.2150~1.2550のレンジ相場は4月20日週から6週続落中。今後は、昨年11月中旬から続伸したスタート地点の1.1550~00が大きなポイントに。下値の1.1500はマジの線。それと、上昇・下降時の急変動を伴ったポイントとなる1.2100の上値は遠くにあり気にする必要性はないが重要に。

イタリアのポピュリズム連立政権の樹立とスペイン与党の汚職事件も加わり底値を割り込む動きとなり、EURブル派は失望感を強めているが、直近の経済指標はやや持ち直し感も、昨年11月の上昇スタート地点の1.15台後半に手が届く水準まで続落したこともあり、この水準から一方的な下落も考えにくいのでは。ただし、下抜けしたらギブアップ。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週+115,114→109,744(-5,370)
2017年5月9日から54週間ユーロのロングを維持し、相変わらずNO.1のロングポジションを維持してはいるが、4月17日をピークに5週連続の減少し、ネット・ロングは今年に入り最低水準。ECBの早期緩和縮小期待も消え、イタリアの政局不安に加え直近ではスペインもやや不安材料で、EURの弱さが目立つ。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.70→-0.50、 1M=-0.55→0.60、 3M=-0.40→-0.60、6M-0.15→-0.55、、9M、12MもEURコールからプットへと変化、EUR売りを意識した動きとなっている。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※


GBPUSD(予想レンジ1.3180~1.3500)

Weeklyベースで相場の変動を見ると、4月20日の週からの続落傾向が続き。昨年12月下旬から続伸したスタート地点の1.3300で下げ止まっている。この水準で下げ止まる可能性を意識しながらも、先週末のNY市場の終盤にかけてこれを割り込んで終了しており今週の動きを見極めたい。下値の1.3000はマジの線で、一方5月11日週、18日週と2度も1.3600を高値に上値を抑えられており、この水準を上抜けして反発するまでは相場の変化に自信は持てず。

メイ政権内での対立は変わりないが、ソフト・ブレグジットの可能性はより高い。最近の英国発の経済指標も強弱が混在し弱い数字ばかりではなくなっており、そろそろボトムアウトの期待を持ちたいが、米国側の材料に振り回せれる状況で、引き続き投資家の一部や投機筋でもGPBロングを維持している動きもあり、下値リスクに関して予断を許さず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週+5,621→5,701(80)
2017年11月28日から25週間ポンドのロングをなんとか維持。先週は前週比で4週減少の後、ドル高センチメントの中で僅かながらロングへ変化。特にポンドの買い材料は見当たらないがGBPUSDの下落は止められず。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.23→-0.28、 1M=-0.34→-0.39、3M=-0.43→-0.48とGBPプットが拡大し、、長いところも変化ポンドプットが拡大気味で弱さが目立っている。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※