2016/08/14

今週の為替相場を考える(8月15~19日)

今週の為替相場を考える(8月15~19日)

今週で夏休みのピークをむかえ、市場参加者が徐々に取引に戻ってくると思われますが、ビックプレーヤーの復帰はもう少し先になることでしょう。

それにしても思うことは、為替相場に大きな影響を及ぼす米国と他の主要国との金融政策の違いです。BOJはもちろんのこと、ECBとBOEは包括的緩和策を採用し、量的緩和を増額させている現状と、追加緩和を容認する動き。豪中銀とNZ中銀は世界的景気の低迷が背景ながら、自国通貨高を気にした利下げを実施、さらなる利下げの可能性を示唆しています。

問題は、米国サイドの問題で、FOMCの利上げの有無とその時期と、11月8日の米大統領選です、この二つでドル高相場が大きく変化するリスクもあり、この変化には注意が必要です。

最近の米経済指標から力強さはあまり感じられず、米雇用統計の改善で盛り上がった9月の利上げ観測はどうなったのでしょうか? 英国やユーロ圏などの世界情勢を意識しているとのことですが、8月25~27日開催のカンザスシティー連銀の経済シンポジューム(ジャクソンホール会議)でイエレンFRB議長の発言まで不透明感が残りそうです。

そして、米大統領選はどうなるのでしょうか? クリントン氏とトランプ氏のいずれかに決まることは間違いありませんが、市場参加者がドルを買いたくなるような状態になるとは、現時点で予想することはできません。

今週の注目材料(8月15~19日)でも記載していますが、今週のメインイベントはFOMC議事録ですが、それ以外でも、豪中銀とECBが共に議事要旨を公表します。また、米国、英国、カナダの消費者物価の発表や、NZ、英国の雇用統計、そして、日本のGDPの発表など、多くの重要な発表が控えており、それぞれで相場が動くことは間違いありません。

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【通貨ペア別のレンジ予想】

◎USDJPY 【予想レンジ 99.80←100.80~102.30】
『2段構え』

基本は円高相場を考えたいのですが、夏場のこの時期にどこまで積極的に継続的に円買いをするのか疑問が残ります。そのため、円高傾向は変わらずとの判断から、戻り売り方針は変わらずで、100.80円を割り込んだ場合の円高とで、100.80~102.30と、99.80~102.30円の二つの選択肢を考えます。

それにしても、7月29日の日銀の追加緩和、8月2日の政府の経済対策後の円高傾向をどのように考えたらいいのでしょうか? この2大イベントで円安を予測しながらも、日銀の追加緩和の限界説が問われ、経済対策後の円売りの弱さは、驚きに値します。USDJPYの100円の大台が壁となり下げ止まっていると考えるより、102円台の上値が重くなり、円高水準を再確認する動きのリスクがより高そうに感じられてなりません。


◎EURUSD【予想レンジ 1.1100~1.1250】 
『引き続きレンジ相場ながら底堅い』

レンジ相場は変わらず。今週はユーロ圏発の材料は乏しく、他の要因を除けばECB理事会議事要旨意外に市場の変動を期待できそうにありません。過去7週間続いている1.0950~1.1230のレンジを抜け出すことは難しそうですが、このレンジを抜け出した方向に動きが加速すると思われ、チャート上は買い先行で上値をためす動きを期待しています。

前提として、チャートを一切無視して考えれば、ドル高の流れに変化を見出すことはできないのが現状です。英国のEU離脱を選択して以降の、ユーロ圏の経済は最悪の事態から好転している現状を考えても、いざ離脱を決定した後の政治的・経済的な影響の不透明性は否定できない現状では、ユーロを中長期間に渡りロングにすることはできそうにありません。


◎GBPUSD【予想レンジ 1.2750~1.3100】

『ポンド安相場は変わらずながら、最安値の達成には疑問』

8日間続落し、7月6日の安値1.2790近くを意識した動きになりそうですが、この時期に積極的にポンドを売っていく要因も見当たらず、更に売りが続いた後に、1.2750~00でダブルボトムになる可能性も意識しています。

ただし、ユーロと同じく、英国のEU離脱を選択して以降の、英国の経済は最悪の事態から好転している現状を考えても、いざ離脱を決定した後の政治的・経済的な影響の不透明性は否定できない現状では、ポンドを中長期間に渡りロングにすることはできそうにありません。


◎AUDUSD【予想レンジ 0.7550~0.7800】

『センチメントは買いながら、下値リスクを警戒』

0.72、0.73、0.74、0.75、0.76と100ポイント刻みで底値を切り上げ、豪中銀の利下げや追加緩和の可能性にも、底堅い展開が続いています。ただ、7月27日以降3週間近く大きな調整局面もなく上昇しており、直近の資源価格の上昇+原油高にも0.77台を維持することができずにいることが気がかりです。とは言っても、0.7550を大幅に下回る下げも期待できそうにありません。

中期的には、豪州とNZは資源価格の回復もあり、金融政策で選択余地は十分ありそうで、ユーロとポンドより勝る現状で、世界情勢の影響を受けるだけでドルに対しても絶対的に不利とは考えにくいこともあります。


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