2017/01/15

今週の為替相場を考える・注目材料(1月16日~1月20日)

今週の為替相場を考える・注目材料(1月16日~1月20日)

トランプ次期米大統領の当選後初の会見は騒動の中、ドル売りの流れで終了しましたが、米株は底堅く推移し、米金利も下げ止まっており、強い米国のイメージは残ったままとなっています。

今週は、中国・英国・米国で、重要なイベントが控えており、相場変動が高まる可能性が高い週となっています。

ダボスの世界経済フォーラムが17日~20日に開催され、17日には習国家主席が初登場します。トランプ氏が非難する米中貿易不均衡や西沙諸島で中国軍事拡大の動きに、どのように反論するのでしょうか? 

世界第二位の経済大国として世界各国に何をアピールするのでしょうか? 今週は、トランプ氏の大統領就任と中国GDPの発表もあり中国発の材料に関して注目度は非常に高いものがあります。

同じく17日にはメイ英首相はEU離脱に関して重要な演説を行いいます。
英国のEU離脱が正式に開始となるリスボン条約50条発動で、ロンドン高等法院は昨年11月に議会の承認が必要と判断、政府は上告をしています。

最高裁は月内に判決を出す見込みですが、一部報道では議会承認が必要となり政府は対応策を協議ともあり、メイ首相の会見の内容は非常に重要です。ポンド相場の変動がユーロを動かし、ドル相場全体が動く可能性も過去の教訓から意識する必要がありそうです。

そして、今週の主役はもちろんトランプ氏。週末20日には、いよいよトランプ氏が第45代米大統領に就任します。先週の会見では具体的な経済政策の説明はなく、米国ファーストに執着した発言に驚きはしましたが、全ては今後の政策実施待ちとなっています。

先週の会見後はドル高が是正される相場が続いていますが(除くポンド)、再びドル買いへと変化することができるのでしょうか? それとも失望感が増しドル売りがさらに加速するのか? 

日本をはじめ貿易不均衡国対しては厳しい対応を続けることは間違いなく、貿易赤字の要因の一つと指摘される円安相場をどこまで容認することができるのか? 今後の政策担当者の発言を見守る必要がありそうです。

さて、今週は16日(月)がキング牧師生誕記念日で米金融市場は休場となり、20日(金)の米大統領就任の日で、米国が定める休日となりますが、金融市場は通常通り取引きされます。

上記の重要なイベント以外に、16日にはIMFが世界経済見通しを発表します。英国=CPIや雇用統計、米国=CPI、カナダ=CPI、金融政策、ポロズ中銀総裁発言、豪州=雇用統計、ユーロ圏=ECB理事会とドラギECB総裁の記者会見、中国=GDP、鉱工業生産と、注目材料が目白押しとなっています。


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【今週の注目材料】

1/16(月)NY市場休場(キング牧師生誕記念日)、IMF世界経済見通しを発表
03:30 英カーニーBOE総裁講演

1/17(火)ダボス・世界経済フォーラム(WEF)年次総裁(17日~20日)習中国国家主席演説予定、メイ英首相EU離脱に関して重要な演説       
18:30 英消費者物価指数
22:30 米NY連銀製造業景況指数
22:45 米ダドリーNY連銀総裁講演


1/18(水)ダボス・世界経済フォーラム(WEF)年次総会(17~20日)
18:30    英雇用統計
22:30    米消費者物価指数
00:00    カナダ中銀金融政策発表
01:15    ポロズ・カナダ中銀総裁・ウィルキンス副総裁講演
04:00    米地区連銀経済報告(ベージュブック)
05:00    イエレンFRB議長、パネル討論会出席


1/19(木)ダボス・世界経済フォーラム(WEF)年次総会(17~20日)       
09:30  豪雇用統計
21:45  ECB理事会 金融政策発表
22:30    ドラギECB総裁記者会見


1/20(金)第45代米大統領にトランプ氏が就任、ダボス・世界経済フォーラム(WEF)年次総会(17~20日)       
11:00    中国第3四半期GDP
22:30    カナダ消費者物価指数


≪詳しい予定は、添付ファイルの今週の予定をご覧ください≫



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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 113.50~116.00】


先週は、トランプ氏の会見から経済政策の具体策はなく、日本が貿易不均衡国として名指しで非難されたこともあり、FOMCの利上げでジャンプアットした水準の115.00~50円を割り込み、一時113円台まで続落する予想外の円高となりました。

今週は、米金利の高止まりと堅調な米株に、ドル先高期待感は変わらないものの、予想外のドル下落に年末・年始に抱いていた円安相場のシナリオに一時的な変化が表れていることも事実です。イベントを考えれば、相場変動を伴う材料が多く、先週の後半に見られは上下の変動幅が拡大する動きが継続と、コアで113.50~116.00の相場が予想されやすくなっています。

トランプ新政権が発足し、明確な期待通りの規制緩和、財政拡大、インフラ積極投資など、経済政策が提示されることも重要ながら、日本などの貿易不均衡国への具体的な政策と、円安(ドル高)をどこまで容認できるのか、具体的な水準を見極めなければ、積極的に上下のレンジを抜け出すことも難しそうです。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.0500~1.0700→1.0800】


1.0400台のボトム水準から、先週は1.0500をボトムに、トランプ氏の記者会見後にはドル売りの中で、1.0700を試す動きが一時続き、予想以上に上昇傾向を維持しています。

今週は、ECB理事会では金融政策の据え置きが予想されますが、ドイツなどの北部諸国からはよりタカ派の意見が多く、景況感の改善やインフレ上昇を示す経済指標が多く、その影響も気になります。トランプ新政権の発足で、ドル相場の流れが、上下ともに変化するリスクはありますが、1.0500をボトムにどこまで上昇傾向を続けることができるかがメインシナリオと考えます。



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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2050~1.2250 】


先週は、トランプ氏の会見後のドル安相場に対して、英国のEU離脱交渉を巡る不透明感に、GBPUSDは1.2300近辺を上限に弱く、クロスでも全面安の展開で、唯一強さが見られなかった通貨ペアとなっています。

今週は、17日にイ英首相はEU離脱に関して重要な演説を予定しポンド相場にとっては非常に重要なイベントになっています。市場に流れているうわさ通り、リスボン条約50条の実施で議会の承認が必要と判断されれば、予定通り3月末までの交渉実施は難しくなりそうで、さらにポンド売りの流れが強まることでしょう。また、今週は英CPIと雇用統計の発表もあり、短期変動が高くなりそうです。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7350~0.75500→0.7650】


先週は、原油価格の高止まりと資源価格の上昇もあり、トランプ氏の会見に関係なく豪ドル買いへと動き強さが目立っています。

今週は、中国経済指標、特に中国GDPの結果に左右されそうですが、0.7500は心理的な壁で、200日移動平均線も0.7500近辺にあり、12月14日の高値0.7520台を超えられるかが重要となっています。


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