2017/01/22

今週の為替相場を考える・注目材料(1月23日~1月27日)

今週の為替相場を考える・注目材料(1月23日~1月27日)

トランプ新大統領の、アニマルスピリット(野心的意欲)を見守る動きへ。

先週はトランプ氏の米大統就任と、英国のEU離脱プロセスの説明が行われた。今週は24日に英最高裁がEU離脱の議会承認で判断を発表するも、メイ首相はすでに「議会にも採決を求めることを約束」しており、重要性は減少気味。また、週末27日(金)から中国は春節で休場となり多少なりともその影響を受けることになる。

為替相場は、先週のトランプ氏の就任演説の検証と実効を確認する確認する週になりそうだが、リトマス試験紙のように白黒を直ぐに判断できることは難しく方向性は定まらず、経済指標では米第4四半期GDPの速報値が主テーマに。

先週の振り返りとなるが、トランプ氏の米大統領就任演説では、「アメリカ・ファースト、バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」を唱え、米国産業を犠牲にして他国の産業を豊かにしてきたと批判。当然、貿易不均衡の是正を目指すことになり、いずれの時に為替問題もテーマになることは考えやすい。

メイ英首相は、EU離脱に関して明確に説明をした。EU単一市場から離脱し、独自の道を歩む覚悟を示し、議会にも採決を求めることを約束」とし、「欧州市場への最大限のアクセス確保を目指し、欧州以外の国々と独自の自由貿易協定の締結を目指す」と建設的な発言に、ポンドは急騰していた。

さて、本題の為替相場は、トランポノミクス「インフラ投資など財政拡大、大型減税、規制緩和」を唱える新大統領がどこまで「アニマルスピリット(野心的意欲)」を示すことができるのか? これがスムーズに実現できれば「米金利の上昇+株高」で、市場センチメントもそれなりにドル高方向を意識しているが、ハードルが高いことを誰もが認識している。ピンポイントで雇用拡大を押し進め、貿易不均衡を是正する、保護主義的な行動が、ドルにとってどの程度マイナス要因になるのか、相変わらず不透明で、今週を含め暫くは決め打ちできる状況になってはいない。

となれば、レンジ相場に陥る可能性が高くなり、単発的な材料に相場は上下変動を繰り返しながらも、方向性を示すことは難しい。米国発の経済指標も単発的な変動要因にされやすいが、27日(金)の米第4四半期GDPの速報値は重要。前期比年率の予想は2.1%(前回1.4%)から上昇が見込まれており、当然成長の加速度合いがドルに対しての評価につながる。また、同日の米耐久財受注も注意が必要。

それ以外では、主要国の消費者物価指数の発表が多い。豪州=25日(水曜)第4四半期CPI、NZ=26日第4四半期CPI、日本=27日12月CPI。それ以外では英国=26日(木)の第4四半期GDP・速報値が重要で、相場変動が高くなりやすい。


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【今週の注目材料】


1/23(月) 
00:00    ユーロ圏消費者信頼感指数・速報値
   
1/24(火)英最高裁判所、EU離脱の議会承認めぐる判決発表、 米議会予算局、財政・経済見通し発表        
18:00    ユーロ圏総合・製造業・サービス業PMI速報値
23:45    米製造業PMI速報値
00:00    米NAR中古住宅販売件数

1/25(水)        
08:50    日本通関ベース貿易収支
09:30    豪州第4四半期 消費者物価指数
18:00    独IFO業況(総合)指数
23:00    米FHFA住宅価格指数
01:00    カーニーBOE総裁発言

1/26(木) シドニー市場休場(オーストラリア・デー)       
06:45    NZ第4四半期 消費者物価指数
08:00    ウィーラーNY中銀総裁発言
18:30    英第4四半期GDP・速報値
22:30    米卸売在庫・速報値
22:30    米新規失業保険申請件数
23:45    米総合PMI・サービス業PMI速報値
00:00    米新築住宅販売件数

1/27(金) 上海市場、春節で休場(2月2日まで)       
08:30    日本消費者物価指数
16:45    仏第4四半期 GDP・速報値
22:30    米第4四半期GDP・速報値
22:30    米耐久財受注
00:00    米ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値


≪詳しい予定は、添付ファイルの今週の予定をご覧ください≫




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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 113.50~116.00】


先週は、トランプ新大統領の就任を前にして、貿易不均衡の是正がクローズアップし、貿易不均衡が主テーマでドル安是正のプレッシャーもあり一時112円台まで予想外に円高が加速し、115.50の上値が重くなっている。

今週は、米金利の高止まりと堅調な米株に、ドル先高期待感は相変わらず変わらないが、新政権の通商政策で、貿易不均衡の是正を目指すことになり、どこまで円安を容認できるのか? 今後の関係者の発言に翻弄されながら変動することになりそうで、明確な指針がなければレンジ相場になりやすい。


USDJPY
月足チャート、安値は12月112.80台、今月112.50台と低下、終値でも12月117円近辺、今月114.50台へ低下、高値はともに118.60台で、上昇継続には118円超えの終値が必要。
週足チャート、下げ止まり114円以下は買いへ変化が期待できるが、市場は気迷い状態で今週の終値を注視。
日足チャート、112円台で底打するも115円台を維持できず、114~116のレンジへ。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.060~1.0800】


先週は、ECBが予想通り金融政策の据え置きを決定、ドラギECB総裁は記者会見で「刺激策の縮小について議論せず」と、ハト派発言にも底堅く推移。

今週は、英国発の悪材料も一応消化しながら、トランプ新大統領の就任後のEUR上昇もあり、底堅さが感じられる。終値ベースでは5連騰で底堅く推移。1.08を超えることができるかカギへで、失敗すれば先週の1.06~1.07のコアのレンジに逆戻りへ。


EURUSD
月足チャート、1.05以下を何度も試すも、終値ベースでは1.05~1.15の長期レンジを抜け出せず。
週足チャート、下値を何度も試しながらも、終値ベースでは5連騰で底堅く推移。1.08を超えることができるかカギへ。
日足チャート、上昇傾向を維持するも、先週は1.06~1.0750のレンジ入り。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2200~1.2400 】


先週は、メイ英首相がEU離脱に関して明確に説明を、ポンドは予想外に急騰し、英国のEU離脱に伴う急落相場も落着きを取り戻している。

今週は、メイ英首相の建設的な英国のEU離脱プロセスを評価した流れの継続と、英国の主要産業である金融業で、金融機関が英国からEU国内へ拠点を移動する動きもあり、強弱が混在する可能性も気になる。評価の分かれ目は1.2500を超えることに思えるが、今週は英GDPが注目されるも、1.2500を超えての上昇も難しそうで、逆に予想の前年比2.1%(前回2.2%)を大幅に下回れば、ネガティブなインパクトも。

GBPUSD
月足チャート、1.24を中心に1.20~1.27のレンジで上下共にリスクが残る。
週足チャート、1.20→1.24台まで反発、方向転換の確認には終値ベースで1.25台超えが必要。
日足チャート、1.20→1.24台まで反発するも、1.2250~1.2400のレンジに終始。




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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7450~0.7600→0.7700】

先週は、0.7500の大台を超えてから買いが強まり、欧州のリスクや米国の保護主義的のリスク影響が少ない通貨の選択なのか、上昇傾向を維持するも0.7600でキャップされ、伸び悩む。

今週は、25日のCPIが波乱材料で、前年比予想1.6%(前回1.3%)と上昇予想の中、相場変動要因となっている。また、CFTCのIMM通貨先物市場では、主要通貨で唯一、4週間ぶりにネットショートからロングへと変化、AUDUSDの先高期待が強まっていが、今週も0.7600の大台を達成できるかが大きなポイントになっている。

AUDUSD、
月足チャート、12月の高値を超え、0.75の大台を超え上昇傾向が続くも、2015年7月以降で0.76台超えでの終値は2度しかない。
週足チャート、0.71台をボトムに0.75を超え4連騰で、上昇傾向が続く。
日足チャート、0.7450台→0.7580台まで急伸後は、0.75~0.76のレンジに終始。


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