2015/12/13

今週の為替相場を考える(12月14日~12月18日)

今週の為替相場を考える(12月14日~12月18日)

今週は、今年最大の注目材料となる米FOMCがあり、来週は、早くもクリスマス休暇の時期となり、その翌週で今年も終了となります。

市場では、VIX指数は14台→25台へと上昇しリスク回避へと動き、商品価格は続落、世界的な株価の低迷、新興市場国の混乱、人民元安が続いています。先週のECB理事会では追加緩和を決定しましが、逆に火に油を注ぐ結果となり、波乱の展開が続き、今週のFOMCへと引き継がれることになります。

過去3週間で、新興国株(MSCIEM)は8.29%低下、EUROSTOXX50も7.22%低下しています。過去3週間でUSDJPYは1.48%低下し円高へ、EURUSDは3.19%上昇しEUR高へ、USDCADは3.07%上昇しカナダドル安へ、AUDUSDは0.72%低下、過去1週間では2.09%低下しAUD安へと動いています。

そして、円クロスですが、先週一週間の下げ幅は大きく、AUDJPYは3.75%低下し、CADJPYはなんと4.53%、NZDJPYも2.18%の低下で、激しい円高傾向となり、これが、USDJPYの売りにつながり、上値を重くしている要因の一つと考えます。

さて、今週最大のイベントのFOMCですが、WSJ紙の調査では9割が利上げを予測しており、政策金利0.0~0.25%→0.25~0.5%へ引き上げることはほぼ間違いないと思われています。むしろ、市場参加者が注目しているのは、イエレンFRB議長の発言と今後の経済予測で、来年の利上げペースを読み、それが、ドル相場全体を動かすことが予想されます。

エコノミストの大半は、FRBが今月利上げした後、1月27日のFOMCで政策を現状維持し、3月16日のFOMCで2回目の利上げに動くとの予想が支配的です。ただ、2回目の利上げは、約65%は3月、14%が4月、16%が6月になると予想しばらつきもあります。

ちなにみ、9月17日のFOMCで発表した経済予測では、
FOMC参加者の経済予測(6月との比較)=16年末時点のFF金利(予想中央地)⇒1.6→1.4%に下方修正、17年末⇒2.9→2.6%に下方修正、長期⇒3.75→3.5%へ下方修正とありました。

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「米ドル相場=二極化の流れは変化するのか?」

最近の傾向ですが、「資源国通貨・新興国通貨安=ヘッジ通貨高」の流れに、「USDJPYは下落+EURUSDは上昇」、逆に、「AUDUSDは下落+USDCADは上昇」というドルに対しては2極の流れが続いています。

今週もこの流れが今週も継続するのでしょうか? それとも、FOMCで変化するのでしょうか? 
この鍵を握っているのは、イエレンFRB議長の今後の利上げペースに関しての発言と、FOMC参加者の経済予測です。これを抜きにして今週のドル相場を語ることはできませんが、年末・この時期に金融市場を崩すようなことはないでしょう。 市場へより緩やかな利上げに留まることを知らしめると思われます。

この結果、希望的に考えると、「予想外の緩慢は米利上げペース=株高」に、今までの流れが変化することを期待しています。最も肝心なのは株価で、過去数週間続いている、世界的な株安の流れを止めることができるのでしょうか? 株価が持ち直すことができれば、円売り+EUR売りへと変化することも考えられます。

もし、そのような内容の発言や予測にも関わらず、株価が続落するようなことにでもなれば、為替相場を含め金融市場は大混乱になることが予想され、先週の流れがさらに加速することが予想されますが、その可能性は低いのではと判断しています。

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【EURUSD 予想1.0800~1.1050】
最近の流れは、ECB理事会の追加緩和に対しての失望感というより、円と同じくリスク回避のヘッジとしてのEUR買いが強まっていることが感じられます。今週、商品価格の下落と株安の流れが変わるのか? これが大きな相場の決定要因です。年末・この時期に金融市場を崩すようなことはないと考え難く、FOMCの決定次第ではありますが、株価の下げ止まり期待感もあり上値は限定的と考えます。

【GBPUSD 予想1.5000~1.5250】
市場は弱気な時に、2017年のEU離脱を解く国民投票のリスクが前面に現れることが多々あります。今回もその傾向が強く、強さが感じられない英経済指標に、米国に次ぐ利上げ期待が弱まり、EURGBPの買いもポンド売りの材料にされています。

先週は1.5000の大台を割り込みながらも、EURUSDの上昇に助けられ上昇、過去3週間前とほぼ変わらずの水準を維持していることを考えれば、極端に弱気になることはないと考えます。今週は消費者物価指数、雇用統計、小売売上高の発表と重要な発表が続きますが、結果に素直に反応することが予想されます。

【AUDUSD 予想0.7150~0.7300】
人民元安、商品価格の下落に、経済見通しの改善期待も持てず、FOMCの結果待ち。特に先週一週間の下落幅は大きく、先の豪中銀のやや強気な材料や人民元のSDR採用決定の好材料はフイになってしまった。その反動に大きく値を下げるも、過去3週間の安値となる0.7150を維持できるか? これが今週の大きなポイントとなっています。

【USDJPY 予想120.50~122.00】
日銀の追加緩和期待の影が薄くなり、新興国市場の混乱というリスク回避の行動と、円ショートの巻き戻しの動きが年末を前に強く感じられます。

今週の円相場を見極めるには、株価の動きが最も重要で、新興国株の上昇期待が弱い中で、主要国の株価の上昇があるのか? その流れを作るのは、日銀ではなく、FOMCの金融政策の決定と、今後の金利見通しが非常に重要となります。株価が大幅下落にでもなれば話は別ですが、120円の大台は引き続き意識されてしかるべき水準と考え、120.50円のポイントが下限になることが予想されます。

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