2017/03/26

今週の為替相場を考える(3月27日~3月31日)


今週の為替相場を考える(3月27日~3月31日)

「トランプ政権への政策実行に対する信任度合いは?」。ヘルスケア法案の採決は突然中止され頓挫、今後のトランプラリーはどうなるの? 修正後の新入国制限令も、ハワイ州やメリーランド連邦地裁判事が差し止め命令を出したままである。今週の材料でも記載しているが、たぶんどのFXコメントを見ても同じことを言っていることと推測され、これが今週の市場参加者の最大の注目点であることは間違いない。

ムニューシン米財務長官曰く「金融市場がトランプ大統領の経済政策による成長余地を完全に織り込めば、著しく改善する可能性がある」と期待感を残し、多くのFOMCメンバーからはトランプ政権の規制緩和と財政拡大政策を期待する声と、追加利上げの余地を示唆する発言は相変わらず多いがが、全てが予想通りになるとは限らない可能性が高い中、FF金利先物市場は6月の利上げ期待度がやや低下している。

今のところ、市場参加者(特に個人投資家)の米株に対する強気姿勢に大きな変化は見られないが、※別表の通り3月1日をピークにして米株の下げが続いていることも気になる。
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円相場と株式相場の連動制は高いものがあり、円高支持派の必要・十分条件は米株の続落であることは間違いない。その期待通りに事が運ぶのか? 今週のトランプ政権の動きを見守る以外になさそうで、結果としてテクニカルで売買を選択する市場参加者が多いことであろう!


※過去3週間の週終値ベースの変化を見ていただきたい。
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こちらのグラフでもわかる通り、先週一週間の変化を見ると、米金利の低下や株価の低下もあり、安全資産の円買いも作用し、USDJPYの下落率は−1.22%と大きく、AUDUSDも-1.04%と予想外に大きい。円はクロスでも円高となっているが、結果的にAUDJPYは-2.25%、CADJPY-1.49%、NZDJPY-1.02%と資源価格に敏感な通貨+リスク回避時に弱い通貨で円高傾向となっていることがわかる。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】
冒頭に記載している通り、「トランプ政権への政策実行に対する信任度合」で今週のドル相場の流れは大きく変わってくることは間違いなく、主要通貨でもテクニカルポイントを見ながら二通りの筋書きを描いておく必要がありそう。



◎USDJPY【予想レンジ 110.50~112.50】
米金利と米株への影響が大きい、トランプ政権への政策実行に対する評価で円相場が動くことは間違いないが、それ以外でも、籠池氏問題の日本国内問題や、北朝鮮政策で強気のマティス米国防長官もあり北朝鮮のICBMや核実験の可能性など、周りを見渡せば円独歩高になることだけを信じることのリスクも頭も片隅で気になってしょうがない。

長期のテクニカルでは110~125円の相場の中で推移し、目先は110~120円の下限にある円相場。予想外に110円台を達成したことで、中期的な円ショートの巻き戻しと、3月期末を前にしてリパトリの円買いが主導した円高相場となっているが、この要因からの円買いも徐々に解消してくると思われる。今回の円高局面を終えるには112.50円を超えてくることが必要となりそうもある。


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◎EURUSD【予想レンジ1.0650~1.0850、1.0700~1.0850→1.0950】

ノボトニー・オーストリア中銀総裁は「ECBとして利上げを債券買い入れプログラムの終了前にするか、後にするか今後決定すると」と発言。実現の可能性は英国のEU離脱開始後の市場の動きや、トランプ大統領の政策実行の有無とその結果次第であることは間違いないが、市場はECBの12月の利上げの織り込み度と高めながら現在に至っている。

EURUSDは、3月初旬までは1.05の壁をボトムに維持できるか注目されていたが、それが現在は1.08台までボトムアップし1.0850の大きな壁を超えられるかが現時点のテーマとなっている。また、フランス大統領選の世論調査委では、1回投票では引き続き極右もルペン氏の支持率は高いが、決戦投票ではマクロン氏の支持が圧倒的であることや、米独国債利回りの格差の縮小もユーロのプラス要因となっている。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2350~1.2550、1.2400~1.2550→1.2700】

Weeklyチャートでは1.200~1.2800のレンジで推移しており、過去2週では1.25台を上限に上値は重くなっているのが気になる。29日からメイ首相はリスボン条約50条を発動し、EUに対して正式な離脱通告を行う。ここまでの過程で十分市場は織り込み済みで新たなポンド売り要因になるとは考えにくいが、ユンケルEU委員長は「英国はEU離脱で約500億ポンドの支払いが必要」と繰り返すなど、費用の負担金額は今後のテーマの一つになりそうでもある。

BOEのブロードベントBOE副総裁は「EU離脱後の英国の先行きに関して投資家の間で強い懸念がある」と指摘するなどマイナス要因が払しょくできているわけではい、潜在的なポンドの売り材料にされそうである。一方、金利は上昇する可能性があると、予測はかなり緩やかな上昇に限られるが、それでも上昇するだろうと、将来のBOEの利上げ期待は残る。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7500~0.7750】


商品価格の下落も、CRBインデックスからは3月14日に181.55とボトムをつけた後は、183~185のレンジの底辺水準で推移している。WTIは47ドルをボトムに下げ止まっているも上昇力は乏しく、VIX指数は10.50~13.00のレンジを先週末に一時上抜けしたが、終値ベースではこのレンジを維持。

3月16日の予想外に弱かった豪雇用統計にも0.7550台をボトムに一時0.7750近くまで上昇、0.7700の大台を維持できるか見守っていたが、結局は0.7620台まで値を下げ市場の豪ドル高の期待感が削がれているが、今週も、0.7700~0.7750の上値水準が意識されやすく、この水準を超えるまでは再上昇も期待薄。


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