2017/03/12

今週の為替相場を考える(3月13日~3月17日)



今週の為替相場を考える(3月13日~317日)

今週はFOMCの利上げと更なる追加利上げの可能性の有無、オランダ議会選挙で極右政権の台頭の有無、英国のEU離脱の申請とスコットランドの国民投票の再開の可能性。G20での貿易不均衡是正や保護主義的な動きの主張の有無と、為替相場を予想することは難しいと言わざるを得ません。また、NZGDP、豪州の雇用統計、BOEMPC(金融政策委員会)など、重要は発表も控えています。


【本命のFOMC
FOMCでは、米利上げを十二分に織り込んで迎えており、ドル強気派は経済見通し(ドットチャート)で15日を含めて今年計4回の利上げ期待に米金利上昇とドル高を予測。そのため、ドルロングの巻き戻しは限定的で、ネガティブな結果になるまでは一時的な調整にとどまり強気なムードがそれまで続くことになりそうです。


【独バーデンバーデンG2017日~18日)】
報道ではG20の草案では、トランプ大統領に配慮したのか、保護主義的に反対する立場の文言が消え、通貨安の抑制に向けた強い気な文言も消え、従来型のコミットメントに逆戻るとありました。

ナバロ米国家通商会議委員長は「赤字を抱えている貿易相手国に対し、米国製の商用・軍事製品の購入拡大を求める圧力をかける計画」で、雇用の増加と5000億ドルに上る貿易赤字の削減を目指すとありました。

ライスIMF報道官は、G20では為替が議題に上がると発言し、 ムニューシン米財務長官も「自国通貨安を誘導しようとする国を米国は容認しない立場を打ち出す」とありましが、長官には立場を明確できる政治スタッフがほとんどいないとのことで、どこまで具体的に行動することができるのかは不明です。


【円安措置なのか2国間協議なのか?】
日米金利差拡大+株高の流れに円安相場が続き、この傾向に変化がみられるまでは、円高は一時的な動きにとどまる可能性が高いと判断しています。ナバロ米国家通商会議委員長の発言から為替政策でドル高を回避するよりも、2国間交渉で実利を強要する可能性もあり、ドル高傾向の阻止を計る動きは限定的になる可能性も最近の円安を助長しているのでは? と考えたくなります。もちろん、G20で円安措置の強いメッセージが出れば話は別ですが!逆に何もでず、115円をボトムにした流れになれば円安相場が続くことになりそうです。


ECBの動きと政治的な動き】
ドイツ(政府・中銀)がQEの解除や利上げを求め、ECB内で「債券購入プログラム終了前の利上げがあり得るかどうかを検討した」との報道に、先週金曜日にEURUSDが一時急伸しましたが、正式な決定もなく支持も広がらなかったとあります。昨年12月にすでに決まっていることでもありますが、4月以降にQE800→600億ユーロに減額(QEの縮小)と、今年12月でまでQEを延長していることの変化が起きるのでしょうか?

今週は15日にはオランダ総選挙、423日、57日にはフランス大統領選挙、611日、18日にはフランス国民会議選挙、924日のドイツ連邦議会選挙が控えています。

すべての国でナショナリズムとポピュリズムが高まる中、結果を見ずにQEの縮小前に利上げをすることは考えにくく、主張もドイツや一部北部地域の国に特化しているようです。遅かれ早かれ利上げは避けられずユーロ高相場への反転の材料は残っていますが、遠く先のことで、目先ではユーロ相場の本格的な反転は引き続き期待薄ではないでしょうか?


【英国のEU離脱とスコットランドの国民投票】
英国は、英議会下院は13日にメイ首相の離脱通知の権限を認める法案を審議する予定で、早ければ14日には英国がEUに離脱交渉を開始し、原則期限の2年をめどに終了することになっています。一方、英FT紙によればスコットランド独立の是非を問う2度目の住民投票は今や避けられない情勢で、EU離脱前の実施だけは避けたいメイ首相の意向もあり、投票を離脱後に先送りするようにしているとのことです。


【商品価格と原油価格の続落】
CRBインデックスは1月中旬の196→182台まで一時続落、WTIOPEC・非オペックの減産合意の実行や延長も在庫増で疑問がもたれ、2月下旬の高値55ドル近く→48ドル台まで一時下落するなど、資源価格の弱さが目立ち、豪ドルやカナダドル安の材料になっています。さらに、乳製品価格の下落もありNZの貿易赤字が拡大し、NZドルの弱さが際立っています。( 過去3週間の週終値の変化率のグラフをご覧ください)

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


USDJPY【予想レンジ 112.00115.00OR 115.00117.00

今週はFOMC、オランダ議会選挙、英国のEU離脱の申請、G20での通貨政策と、レンジを予想することは難しく、予想レンジとは言い難いのですが、二つの選択肢を考えてみたいと思います。その一つは15日の利上げと利上げサイクルの拡大で、日米金利差の拡大による円安の動きにも拘わらず、米政府は貿易赤字の縮小を為替相場の調整ではなく、2国間協議による具体的な赤字削減目標を厳守させる動きへと変化。  USDJPYのレンジは115117円へと上方修正。

一方は、オランダの総選挙で極右政党のウィルダース党首が勝利し、オランダがEUから離脱する可能性がたまり、米国がG20で貿易赤字解消にドル高是正に動き、JPYEURCNYの通貨安が非難されることで、1月中旬から続く111.50115.50のレンジに逆戻りし下値を試す動きへと変化。 112115円のレンジへ下方修正。


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EURUSD【予想レンジ 1.04501.0700 OR 1.06501.0850


先週9日のドラギECB総裁発言は更なる利下げの可能性の余地は残すも、「デフレリスクの一段の措置の緊急性は存在しない」ともあり、前向きの評価との判断が多くありました。そして、10日のブルムバーグ報道で「債券購入プログラム終了前の利上げがあり得るかどうかを検討した」と、支持は広まらなかったことも示唆されてはいましたが、EURUSD1.0700を失敗したもののユーロ高を維持しています。

値動だけを見るとEURにとっては強気の動きに見えますが、今週はオランダの総選挙と、FOMCの結果次第では、1.0700±50pips幅を上下のポイントにして、両サイドに振れる可能性を意識したいと考えています。


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GBPUSD【予想レンジ 1.20501.2300→1.2400

他の通貨ペアと同じで、FOMCの利上げの有無が相場変動にとっては重要ですが、今後の利上げ観測の有無も重要と考えており、BOEは金融政策の発表も今週の注目材料です。

GBPUSD117日の2014年半ば以来の強いCPI1.20割れから1.27まで上昇していましたが、現時点では1.21台で推移し1.2300を回復できず下落リスクを残したままです。ところが、過去2日間の動きは1.2160近辺で、OPENCLOSEが同じで上限変動が少ない転換サインにも見えますが、上下の変動があまりにも少なく、次の一手で方向性を見極めたいと考えています。

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