2017/03/05

今週の為替相場を考える(3月6日~3月10日)

今週の為替相場を考える(3月6日~3月10日)

15日のFOMCを前にして、米雇用統計・貿易収支の数字が重要。中国全人代の結果と、トランプ政権の具体策の動きはいつもながら重要。15日のオランダ総選挙の事前予測もユーロ相場の変動要因。

注目のトランプ大統領により米上下両院合同本会議の演説も終わり、結果は具体策に欠ける内容ながら今後の期待を込めた実行待ちへ。トランプ大統領の側近でロシア関与の疑惑に辞任したフリン補佐官に次いで、セッションズ米司法長官も疑惑の渦に巻き込まれ、発足一月半のトランプ新政権の門出は人事を含め不安が続出。

そのような状況にもかかわらず、ドル高傾向を維持しているのは、米景気拡大(株高)と15日のFOMCを含めて今後の継続的な利上げ期待が続いていること。もし、もしも仮に米雇用統計や貿易収支が極めて悪く、利上げの可能性を削ぐことにでもなれば、ある水準までドルロングの調整が入る可能性も意識せざるを得ない。ただし、15日のFOMCの結果を見るまでは、調整幅は限定的で極端なドル売りも予測しにくいのが現状。

最新のIMM通貨先物のポジションでは、主要7通貨で8週連続し通貨のショートが減少、特に、カナダドルと豪ドルのロングが増加し、ポンドとスイスフランを除き、ドルへの信頼感が弱まっている。反面、実態ではドル高傾向が続きどうも違和感をおぼえる。

先週の値動きを振り返ると、EURUSDを除きドルは主要国で全面高。特に、前週比ではUSDJPY+1.67%(円安)、USDCAD+2.13%(カナダドル安)、NZDUSD−2.06%(NZドル安)、GBPUSD−1.29%(ポンド安)、AUDUSD−0.95%(豪ドル安)と大幅なドル高傾向が続いた。

一方、EURUSD+0.58%の上昇(EUR高)が目立ち、EURJPYが+2.30%上昇するなど、EURGBP+EURAUDなどのクロスでもユーロ高へ。円クロスでは、AUDJPY+0.71%、GBPJPY+0.33%となっているが、逆にNZDJPY−0.45%、CADJPY−0.40%と大きく二分されている(別表を参照)。 EURだけがなぜに主要通貨で全面高なのか、オランダ総選挙から始まる主要国の選挙結果を前にして、この流れを継続できるのか疑問が残る。



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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 112.50~115.50】


USDJPYは米金利の上昇に反し日本の金利は低下、金利差が拡大していることに加え、株価の安定と上昇もドル円の買い要因で、トランプ米大統領の議会証言が事無く終わったことで、リスク回避の巻き戻し=円ロング期待の反動も加わったと思われる。

今週は、15日の米利上げ期待に円のショートポジションを維持すると思われ、さらにIMMシカゴの円ポジションは年初から続く円ショートの減少も、先週はその傾向が収まり投機筋の円先安感が復活していた。115円の大台を前にして米雇用統計と貿易収支が悪いと、円ショートの調整が入りやすい状況になっているが、潜在的なドル買い(円売り)の流れは変わらず。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.0500~1.0700】


EURUSDは1.0620台(2/16日来の高水準)で引け、EURはクロスでも全面高でドル高の流れにもかかわらず独自の動きをしている。フランス大統領選の世論調査最新盤では、第1回投票でもマクロン氏がルペン氏を抑え首位に上がり、EU離脱リスクが減少していることも考えられるが、相場の変転につながるかは、15日のFOMCとオランダ総選挙の結果待ち。

今週は9日に重要なECB理事会があり、ドラギECB総裁が記者会見を行う。市場予想は全てが据え置かれると予想。前回ではユーロ圏の下振れリスクのやや後退と、主要国の選挙結果を危惧した緩和策の継続を織り込みながらの決定となった。さて、今回はどうなるのか? 前回よりやや強気な内容を期待したくなるが、可能性は薄い。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2100←1.2200~1.2500】


GBPUSDは弱さが目立つ。GBPUSDは1.2300を割り込み1月18日来の安値を更新、一時盛り上がったGBPの買い戻しも1.2400を割り込んでからは売りに変化。

米利上げ期待にドル買いムードの急変は難しく、今月は英国がEUへ離脱申請の手続きを開始する月になっていることや、スコットランドの独立への住民投票の火種が残り不安定。ホッグBOE中銀副総裁が「必要ならカーニー総裁に立ち向かう用意がある」とBOEの今後の政策運営も気になる。

先週は1.22をボトムに下げ止まっているが、1.2400を完全に超えてくるまでは下値リスクは消えず。Weeklyチャートはダブルトップの可能性もあり、弱きムードは払しょくできずにいる。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7500~0.7650】

AUDUSDは先週、GDPが強く貿易収支が弱いと強弱混在ながら、IMMシカゴの豪ドルポジションのロングが増加しながらも、資源・原油価格の伸び悩や0.7700の大台を維持できず、0.7600~0.7700レンジの底割れに予想外に下落した。

今週は豪中銀の金融政策が発表され、政策金利1.5%の据え置きが予想されている。前回の声明では、消費の伸びが加速、貿易条件の改善、国内経済に若干の上振れリスクと、GDPは年内3.0%に上昇と強気な内容ながらAUD買いは限定的で逆に下落したことを思い出す。

豪中銀の金融政策や声明文でAUD相場が変動することは間違いなく、AUDUSDが上昇へ転換するには0.7650を超える必要があり、目先は中銀声明を注目。

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