2019/06/09

今週の為替相場を考える (6月10~14日)

今週の為替相場を考える (6月10~14日)

【取り巻く環境】
◎米大統領選の共和党大会まで後1年2月強、投票まで後1年5か月弱。市場はトランプ大統領の再選を予想。
◎6月28、29日の大阪G20サミットまで3週間弱。
◎弱い米経済指標とトランプ大統領の圧力もありFRBの利下げ期待が高まり、年内2度の利下げ予想も。
◎米中貿易摩擦は小康状態、G20で米中首脳会談の動きを見守るが、楽観的にもなり切れず。
◎米国のメキシコ不法移民阻止を巡る策関税引き上げはなんとか無期延期に持ち込む。
◎米国・イランの対立は止まらず。
◎ECBは低金利維持期間を半年延長、市場では利下げ期待も広まる。
◎BOEはブレグジットリスクを懸念しながらも、インフレ期待は高まり、インフレを懸念した利上げも選択肢に。穏やかな限定的な引き締めの要請を示唆。
◎ドイツ連銀は2019年成長見通しを1.6→0.6%に大幅に下方修正し、経済は著しい冷え込みに直面と指摘。イタリア中銀も今年の成長見通しを0.6→0.3%に下方修正。
◎IMFは、イタリア税制問題、世界的貿易摩擦、合意なき英国のEU離脱がユーロ圏経済に対する主要リスクと。
◎EUは景気鈍化、リセッションリスクはないが鈍化の可能性は高い。

【金融市場の直近の動き】
◎中国株安を除き、株価反発し上昇へと変化。
◎債券利回りは、主要国でも利下げ期待が強く続落傾向へ。
◎原油価格は続落傾向が続くも、先週は50ドル手前をボトムに何とか下げ止まる。
◎金価格は続伸傾向が続くも、先週は2月の高値水準となる1350ドル近くをトップに上げ止まる。

【為替市場】
◎リスク回避の動きは弱まり、総じてドル買いからドル売りへと変化
◎リスク回避通貨のJPY買いに変化も。USDJPYは108円割れとボトムに円買いも弱まり、108~~112円のレンンジなのか、それとも、年初の安値を試す動きとなるのか? 一方のCHF買の流れは変わらず。
◎EURUSDは1.1300の壁を超え10週ぶりの水準となる1.1350近くまで値を戻す。1.1100~1.1300のレンジ、1.1300~1.1500のレンジへとどちらに進むのか?
◎GBPUSDは大枠1.2700を中心に1.2600~1.2800のレンジを継続中で、ブレグジットを巡る政治的、経済的な不透明感は変わらず。今後の動きを見守るだけ。
◎USDCADは米・メキシコ問題がカナダに波及するリスクは消え、中銀は「景気減速は一時的で下期は回復」することを示唆。これで原油価格が上昇するか否かがカギ。
◎AUDUSDは5月の0.6860台がボトムか? 米中貿易戦争が続く中、これを境に上昇傾向は続き先週は期待通り0.25%の利下げを実施しながらも、織り込み済みで0.7000の大台を一時達成。週終値ベースで0.700を超えることができるかがポイント。

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USDJPY  (予想レンンジ 107.85~108.65)

4月下旬の112円台から続いた円高相場も、先週はブル転換を期待し107円台がボトムだったように底堅く、クロスでもGBPJPYを除き前々週の陰線から陽線へと切り返している。USDJPYはFRBの利下げ期待に「米金利の下げ=円高」、「株高=円安」と、相反する動きに困惑しながらも、「108割れ=ドル買い」、「108.50超=ドル売り」から、溜まった円ロングの切り返しに底堅くなる可能性はあるが、新たな材料が現れない限り、G20での米中首脳会談のリスクを考えると円売りも限定的では。


EURUSD (予想レンジ 1.1250~1.1370 )

あるレポートで長期的なEUR買を推奨するものがあった。欧州経済の悪化と不透明なブレグジットリスクを市場が織り込んだ後は、欧州経済の回復と共に大幅なEUR高を予想していた。長期の相場予想は日々や週単位の相場見通しに有効であることは少ない。むしろポジショントークに利用されることもありあまり考えないことにしている。目先のEUR売り材料に変化も見られないが、現象として、1.1100をボトムに1.1300台まで反発している事実を受け止めると(単に、EURGBPの買いだと思っているが)、1.1100~1.1300のレンジに逆戻りするのか? それと、EURGBPが1.1300~1.1500のレンジへと進むのか? これらを見極める必要があり、今週はテクニカルベースだけで考えてみたい。


GBPUSD (予想レンジ 1.2650~1.2800)

1.2700を中心に多少のオーバーダンはあるも大枠で1.2600~1.2800のレンジを継続中で、主要通貨でドル売りの流れもあり、EURGBPの買いに上昇力は鈍い中、やや上向き圧力となっている。ブレグジットを巡る政治的、経済的な不透明感は変わらず。今後の動きを見守るだけ。


USDCAD (予想レンジ 1.3100~1.3350)

1.3300を割り込み前週比では約2.5%のCAD高で強さが際立っており、ちなみに1月初めの2.67%に次ぐCAD高になっている。米・メキシコ問題がカナダに波及するリスクはひとまず消え、中銀は景気の減速は一時的で下期は回復を示唆。原油価格66ドル台から50ドル台まで続落する中での動きで、これで原油価格が上昇すれば鬼に金棒なのだか!? 

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