2017/05/14

今週の為替相場を考える(5月15日~19日)

今週の為替相場を考える(5月15日~19日)

今週は経済指標や発言を除けば、やや漠然となるが週内の相場変動を含めて、今後へと継続する重要なテーマが多い。①コミーFRB長官の解任劇に伴うトランプ政権への信認度と政策実行への疑問、②FRBの利上げ確率と米金利の行方(6月14日のFOMC)、③仏国民議会選挙(6月11日、18日)、④英国の総選挙(6月8日)、⑤北朝鮮問題と米国の対応。

① コミーFRB長官の突然の解任劇の詳細は割愛するもトランプ政権へ信認度の低下の有無と、それによりトランプ大統領の政策実行に何らかの支障があるのか? 16日に米上院情報委員会の非公式公聴会でコミー前FBI長官の証言が予定されており内容によってはドル相場の動きも変わってくる。

先立つこと11日に上院情報委員会の公聴会で証言したマッケイプFBI長官代行は、コミー前FBI長官を擁護し、「今後も米大統領選でロシアの関与を巡りFBIは操作を継続する」とし、「捜査に干渉するような政治的圧力を受けた場合は議会に報告する」発言をしている。

② 米国6月14日の米利上げ確率と米金利の動きも、為替相場に大きな影響を与えるので注視したい。先週末に発表された米小売売上高と消費者物価指数の結果を受けて、6月の利上げ確率はやや低下したものの引き続き高い確率で利上げを織り込み、年内残り計2度の利上げを変えるような材料は今のところ見当たらない。ただ、①の政局次第では、米株と米金利への影響は避けられず。

③ 5月7日の仏大統領選の決選投票で中道・独立系のマクロン氏が勝利し直前の重要なイベントはひとまず決着した。仏国民議会選挙が6月11日、18日に予定され自身が率いる新興政党の「前進」がどこまで議席を伸ばすことができるか? 政局の安定と政策実行への動きに影響するだけに注目される。

④ 英国では5月4日の英地方選で保守党が圧勝し、6月8日の総選挙で保守党が勝利する可能性が高いと思われている。蛇足ながら、ドイツではメルケル独首相の支持率も盛り返し、9月24日のドイツ連邦議会選挙
も期待できる。

今週の為替相場を考えると、上記の動きを、今週の主な材料で示している、今週の重要な予定を合わせて考える必要がある。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 112.60←113.00~114.00→114.40】

トランプ政権の安定と米利上げ期待度が引き続き相場をリードすることが前提となるので忘れてはならない。

USDJPYの週足は4連騰で円安相場が続いているが、先週は115円を目標としながら失敗し、3日間続いた114円台では高値が114.30円台でそれも維持できず113.20台まで一時下落。米株と米金利の低下に、週足ベースでは上昇率は弱まり、円クロスでも前週比の上昇も見られず。

テクニカルでは、引き続き1時間足では200時間SMA=113.14円を維持し、この水準がボトムとして重要で、113.00の大台を割り込むと、仏大統領決選投票明けのギャップを埋め112.60台がターゲットになってくる。上値は、先週末の急落後の戻り高値113.50~55、そのスタート地点113.90円、先週までの高値114.30台。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは-36,307まで大幅に減少しながらも、引き続きショートで円先安期待を維持している。

USDJPYのオプションでリスクリバーサル-0.45へやや低下気味ながら、ドルプットオーバーで変わらず、オプションの世界で円先高を意識している。



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◎EURUSD【予想レンジ1.0800~1.100】


トランプ政権の安定と米利上げ期待度が引き続き相場をリードし、仏国民選挙の動きやECBの政策の変化の有無と、ユーロ圏発の第1四半期GDPの速報値が相場変動の前提となる。

EURUSDは、4月24日に仏大統領選の第1次投票の結果を受け、窓を空けて始まったユーロ高の流れは、決選投票の結果を受けて引き継がれ、1.10台を高値に1.0850近辺をボトムに引き続き維持されている。

テクニカルでは、200時間SMA=1.0910が分水量となり、売りから買いへと再び変化し、この水準が重要となっている。200日SMA=1.0831にありこれを割り込むまでは本格的な売りへの変化も期待できない。上昇トレンドの上限からは1.1040近辺が上値のターゲットになっている。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ユーロが2014年5月6日以来、実に157週間ぶりにネットポジションがショートからロングへと変化。市場のセンチメントが大きく変化している可能性を意識したい。 EURUSDのオプションのリスクリバーサルでは、ユーロコールオーバーへと先週変化が始まっており、ユーロの先高期待を意識している。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2800~1.2950】

英国のEU離脱交渉はそう簡単に決着がつくものではなく、長期間にわたりそれぞれの局面で投機的な動きに変化が生じることは避けられず。目先はメイ首相が選択した6月8日の総選挙の動きと、英国発の経済指標が今週の相場変動の前提となる。

GBPUSDは、EURUSDと同じで、仏大統領選の第1次投票の結果を受け急伸したポンド高の流れは、決選投票の結果を受けて引き継がれている。1.300の大台を達成できずに伸び悩みながらも、調整による売りの少なく1.2800台をボトムにして、底堅い動きが続いている。

テクニカルでは、200日EMA=1.2800をボトムにした流れは継続し、先週は200日EMAの高値水準のデータとなる1.2855近辺で下げ止まりながらも、EURGBPの影響なのか上昇力は鈍い。短期的には200時間SMAを割り込んでから売りが強まり、現在は1.2922に位置している。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ネットショートの常連ながらシートは34,566減少し-46,798コントラクトになっている。逆にネットショートが急拡大したカナダドルに一位の座を譲り渡しており、ショートが4万6千台となった過去を調べると、2016年7月5日以来のことで、市場のセンチメントは変化している可能性は高い。GBPUSDのオプションのリスクリバーサルでは、-0.2%のポンドプットオーバーで変わらずあだが、傾向としては低下を続けている。


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◎AUDUSD【予想レンジ0.7300~0.7550】

トランプ政権の安定と米利上げ期待度が引き続き相場をリードし、中国の経済成長と原油価格・商品価格の影響を受けやすい。

いつもながら期待を裏切る動きに、あまり手を付けたくない通貨ペアであるが、どうしても安い=買いやすい誘惑に駆られてしまい、失敗することが多い。先週後半には0.7330台をボトムに一時0.7420台へと、200時間SMAを上抜けして上昇期待が強まったが結局は再度割り込み0.7380台で終わっている。

Weeklyチャートでは0.7300~0.7500のレンジに入っているように思えるが、0.7550を上抜けすれば再上昇の可能性を残している。200日SMA=0.7550近辺に位置し、この水準が上値のポイントになりやすい。

IMM通貨先物の豪ドルポジションでは、スポット相場に反して、ネットではロングを維持しており、市場の豪ドル先高センチメントを示している。逆に、AUDUSDのオプションのリスクリバーサルでは、-0.75と豪ドルプットオーバーで引き続きこの水準で推移している。