2017/05/21

今週の為替相場を考える(5月22日~26日)

今週の為替相場を考える(5月22日~26日)

今後の多くの市場参加者が思っている通りで、「トランプ政権の混乱」がどこまで米金融市場や為替相場に影響をあたえるのか? 今週の先週に続きこれに尽きると思われる。

コミー前FBI長官の証言が30日以降に設定されており、これを前にして今週も思惑や新たな材料により相場が動くことは間違いなさそう。(※今週の主な材料を参照)

相対的にユーロとポンドへの支持者が多くなる傾向にある。ユーロは、フランス大統領選でマクロン氏が当選してから政治的なリスクが弱まり、ECBの金融政策の変化を期待する声も消えずEURUSDは1.1200台まで上昇し強さを維持。

ポンドも英国のEU離脱で先行的なリスク回避から、今のところ経済的な悪影響は限定的で強さが目立ち、大規模な巻き戻しにGBPUSDは1.30台の大台を達成し、新たな領域へと変化。

一方、資源価格と連動性の高い通貨は原油高にもかかわらず、リスク回避の流れや金利据え置き環境は変わらず、豪ドル、NZドル、カナダドルは弱く、ポンドやユーロに対しても弱さが目立つ。

円はと言えば、米金利と米株(含む日本株)の動きに影響されながらも、110円割れでは買い、一方115円を達成できずに終わっており、一言でいえば主体性が見られない。現水準で新たなポジションをとるかは別として、引き続きEURとGBPに対しては弱く、AUDとNZDに対しては強い流れが大きく変化する材料も乏しい。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 109.60~112.50】


「ロシアゲート」による米株と米金利の低下、リスク回避の円買いに先週は予想外に円高へと振れた。半面、110.20台をボトムに下げ止まり、110円割れからは幅広い実需筋の買い意欲も感じられるが、ロシアゲートの問題が増幅する可能性や、コミー前FRB長官の証言の結果を見るまでは、USDJPYの上値を追って積極的に売り(円を買う)投資家も考えにくい。

テクニカルでは、1時間チャートではRSIやMAでもニュートラルに近く傾きは見られない。Dailyチャートでは200EMAのビット・オファーのチャートは110.60~111.67でこれがコアになっており、200SMAはクローズベースで109.60にありここまでの円高の可能性は消えず。

IMM通貨先物の円ポジションでは、円のネットショートは3週連続で増加し、引き続き円の先安期待は変わっていない。USDJPYのオプションでリスクリバーサルではドルプットオーバーで-2.0%台へと拡大、オプションの世界で円先高を意識と、ベアとブルが混在している。


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◎EURUSD【予想レンジ1.1050~1.1350】

フランス大統領選でマクロン氏が当選してから政治的なリスクが弱まり、ECBの金融政策の変化を期待する声も消えず。「ロシアゲート」によるリスク回避のユーロ買いが加わり、予想外の上昇となった。

テクニカルでは、200日SMA=1.0831にありこれを割り込むまでは本格的な売りへの変化も期待できない。EURUSDは終値ベースでは11月4日の1.1140を超え上昇傾向にあるが、昨年8月~10月まで続いたレンジ相場(大枠で1.11~1.13)の水準へと突入したことで、今週はこのレンジでの取引を意識せざるを得ない。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ユーロが2014年5月6日以来、実に157週間ぶりにネットポジションがショートからロングへと変化してから2週目。市場のセンチメントが大きく変化へ。EURUSDのオプションのリスクリバーサルでは、ユーロコールオーバー+0.32%と緩やかに拡大、ユーロの先高期待を継続中。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2950~1.3150】


先週課題とした、英国発の経済指標は強く(CPI+小売売上高+雇用統計)1.30の大台をついに達成。6月8日の英総選挙の結果というリスクは消えないが、「ロシアゲート」によるリスク回避の買いと両面を持ち、緩やかな上昇傾向の維持が予想される。

テクニカルでは、200日EMA=1.2800をボトムにポンド買いの流れを継続中。直近でも1.28~1.30のレンジの上値を抜け新たなステージに入っているが、①1.30を中心にしばらく時間的な経過が必要か? ②1.3~1.35の新たなレンジ入りか? いずれを選択するか迷っているが、急速な上昇の可能性はやや弱い。

IMM通貨先物の円ポジションでは、ネットショートの常連ながらシートは大幅に減少し、ユーロに続き2015年11月10日以来続いた長期の流れが変化する兆しもみられる。GBPUSDのオプションのリスクリバーサルは、ポンドプットオーバーで変わらないが、-0.155まで低下し1週間は+0.10%へ変化している。


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