2017/05/07

今週の為替相場を考える(5月8日~12日)


今週の為替相場を考える(5月8日~12日)

今週の為替相場は、本日5月7日の仏大統領選の決選投票を確認し、明日月曜日のオセアニア市場で変動し始まることになりそうである。

市場はマクロン氏の勝利を織り込みながら、EURUSDが先週末に一時1.100まで上昇していたこともあり仮に、ルペン氏が勝利する想定外の事態にでもなれば、ユーロが全面安となり、EURGBPやEURJPYの急落し、その影響がGBPUSDやUSDJPYに及んでくることは避けられそうにない。

最も、マクロン氏が勝利となれば織り込み済み感は免れないが、引き続きユーロ圏の政局安定の継続が期待され、押し目ではユーロ買いが強まり、ユーロ買いとポンド買いがリードする相場がしばらく続くことになりそうでもある。関心はルペン氏にどのくらいの差をつけて勝利するか? 投票率はどこまで低下するのか?

さて、先週の相場変動を振り返ると、米下院では「オバマケア代替法案を可決」、FOMC声明では「米第1四半期の成長減速は一時的、インフレ鈍化は懸念せず」と6月の米利上げをほぼ織り込む。ムニューシン米財務長官は「長期債入の札規模拡大」と発言、米雇用統計では「失業率は低下し、非農業部門雇用者数は改善」、ドルに対してはプラス材料が多数見られた。しかし、結果は、米金利の上昇は鈍く、為替相場もドルはGBPとEURに対して弱く、全体的にドルの強さは感じられず。

S&P500種指数を対象とするオプション取引から算出される、VIX指数は歴史的な低水準となる10を一時割り込んではいるが、投資家の動向は慎重で、最近の米経済指標も一時ほどの強さは見られず、FOMC声明で第1四半期の成長減速は一時的との判断が正しいのか、トランプ政権のオバマケア代替法案や税制改革案の実行で見極めが必要との結果を示しているように思われてならない。

最近の特徴なのだが、為替相場は通貨間で動きが異なることが増えており、EURAUD、EURNZD、GBPAUD、GBPNZD、EURJPY、GBPJPYの変動が目立っている。GBPUSDは、メイ英首相が政治力を高めるために総選挙の実施を決めてから上昇が続き、EURUSDは仏大統領選の第一次選挙でマクロン氏とルペン氏が決戦投票に臨み、マクロン氏勝利の可能性が高まった時から上昇を続けており、米国発の材料とは別な次元で相場が変動しているように思われる。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 110.50~112.30→続伸】


USDJPYは、重要なポイントの112.20~30を超えられず、ロス米商務長官の米貿易赤字を危惧する発言も飛び出し、上値は抑えられている。しかし、強い米雇用統計を受け6月の米利上げ期待もあり、結局は3日間連続で112~113円のレンジに収束。強い米雇用統計を受け6月の米再利上げ期待度が高まり、週足では三連騰で110~115円の円安レンジに入ったのか、110.50~113円のレンジに留まっているのかを判断する週になりそうである。

IMM通貨先物の円ポジションのショートは昨年末のピークから1/3まで減少しているが、前週比でネット・ショートは若干拡大し-30,483となり、引き続き円のショートを続けている。逆に、USDJPYオプションのリスクリバーサルでは、ドルプットオーバーで変わらず、過去2週間程度は0.5~1.0%の水準を維持し、円高へ備えた動きとなっている。

以上から、USDJPY相場は、目先の円売り傾向に反して、突然市場のセンチメントが変化するか分かり難い相場であると思いながらポジションを持つ必要があり、仏大統領選の結果を見極め、よりトレンドが明確化している、円クロスでのポジションを考えたい。予想レンジは前週と変わらず。


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◎EURUSD【予想レンジ1.0850~1.1050→1.1200】


EURUSDは、仏大統領選の決戦投票次第! 現時点では、マクロン氏が期待通り勝利し、ユーロ圏の政治的安定が期待できることを前提にした相場を考えたい。

EURUSDは、仏大統領選、第一次選挙の結果を受け、週末・週初めに空を開け上昇してから1.0800台をボトムに、1.0800~1.0950のレンジ上限を超え、先週後半にはその上限を上抜けしサイコロジカル・ポイントの1.1000まで達成している。今週は1.0800をボトムにしどこまで上昇することができるかを考えたい。

IMM通貨先物のユーロポジションは、前週の-20,895→-1,653と19,242コントラクトショートが減少し、ほぼニュートラルな水準へと変化した。このできごとは2014年5月13日以来、長期間にわたり続いたユーロのショートに変化が生じる可能性があり、歴史的な変化の予兆が感じられる。EURUSDのリスクリバーサルは、ユーロプットオーバーで変わらず、4月後半かの4%台から0.5~1.0%近くまで大幅に低下し、過去2週間は大きな変化は見られない。

週足では11月の米大統領選トランプ氏が次期米大統領に決定した水準まで値を戻しており、1.1200が見えてくるが、1.1050~1.1100の間では利食いの売りが強まる可能性が高く、1.0800で撤退の押し目買いを考えたい。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2750~1.3050→上昇】


GBPUSDは、4月8日にメイ英首相がEU離脱交渉で政治的安定を目的に6月8日総選挙の予定を発表してから、上昇の流れは変わらず、相場の大きな変化が感じられる。1.2800割れを買い水準にして底値を切り上げ、1.2750~1.3000のレンジに入っている。先週末は過去5日間の高値を上抜けし、もちろん仏大統領選の結果次第ではあるが、1.3000のサイコロジカルな大台を試す絶好の位置にある。

IMM通貨先物のポンドポジションは、前週の-91,182→-81,364コントラクトへ減少するも、主要通貨の中では最もショートポジションが多い。スポット市場ではGBPUSDが上昇していることを考えれば仏大統領選の決選投票を前にしてショートを維持している可能性はあるが、どうも違和感を感じる。オプションでは、GBPUSDのリスクリバーサルは、ポンドプットオーバーで変わらず、直近では0.35近辺で安定している。

Weeklyチャートでは、10月上旬のポンドのフラッシュ・クラッシュ時の直前の水準まで戻し、1.3000のサイコロジカルな水準に達成したことで、上昇傾向を維持しながらも、相場の流れに一区切りがついている可能性も否定できず。ロングならトレールのストップを出しながら上昇を狙うか、1.28台でGBPUSDのコールの買いを考えたい。


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◎AUDUSD【予想レンジ0.7350~0.7550】


なんと表現したらいいのであろうか? もちろん商品価格の続落、原油価格の続落、中国経済指標の伸び悩み、豪中銀の緩和姿勢の維持、米豪金利差縮小など、豪ドル安の理由を挙げれば多い。

慰めは、先週末の二日間では、下髭がある0.7400の大台で下げ止まっていること。NZDUSDが乳製品価格の上昇もあり0.6850近辺をボトムに反発していること。そして何より、USDCADが1.3800の大台直前で、11目にしてようやく陰線引けとなったことが挙げられる。また、週足では一時的なのかもしれないが、反発を感じさせる終わり方をしていることもあり、0.7500近辺までの戻りを期待したくなる。

IMM通貨先物の豪ドルポジションは、前週の+42,702→+42,675コントラクトと主要通貨では、唯一ロングで、今年1月17日以来、16週間連続でロングを維持している。スポット市場ではAUDUSDは0.73台まで下落するなど、弱さが目立っており、長期的なロングポジションなのか? 今後のスポット市場への影響が気になる。オプションではAUDUSDのリスクリバーサルはAUDプットオーバーで、先週末は1.12まで上昇し、豪ドルの続落を意識した動きとなっている。


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