2019/08/25

今週の為替相場を考える(8月26~30日)

今週の為替相場を考える(8月26~30日)

中国は米国の制裁関税に対応し報復関税を発動、米国は報復関税に対して報復の報復関税を発表し、共にその一部は9月1日から発動される。トランプ氏は米企業に中国から撤退を求める発言のおまけまでついてしまった。

トランプ氏の本音は来年の米大統領選を前にして、自らの対中制裁関税の強化で減速リスクがある米経済の責任を、パウエル氏やFRBの政策ミスによることにすり替えているとの考え方も否定できず。また、ドル安政策を考えているのではと報道も頻繁に聞こえてくる。

パウエルFRB議長はジャクソンホールの年次経済シンポジウムで、追加利下げに関しては明確な発言はなかったが、「米経済が望ましい状況にあるが、貿易を巡る不確実性の中で国外経済が減速しており、著しいリスクに直面」とあった。

その直前・直後に実施された米中間の制裁行動に、FRBは9月と12月に追加利下げが避けられないとの思惑が広まり、CMEのFedWatchを見ても9月の利下げは95.0%、12月は52.8%の確率予想となっている。

為替市場は、主要通貨で目先レンジ内での動きが続いていたが、米10年、2年債利回りも1.53%台へと低下し、今週に入り上昇傾向を示していたが米中間の制裁発動により逆戻りして、米株(ダウ平均株価)も4週連続し前週比で下落し計-1,563.55ドルの下げとなっていることも覚えておく必要がある。

この間米10年債利回りは2.07→1.53%台へ低下し、日米10年債利回りの差は2.2%→1.76%台と2016年9月ごろの水準まで低下し、相関関係の程度は別として、その当時のUSDJPY相場が100~104円程度で推移していることを考えると、市場参加者の心理として円高を期待したくなることを否定できず。

特に、IMMデータでは集計日の8月20日では円のロングポジションは31,154コントラクトで約37億ドル(当日のドル円終値のドル換算)、やや円ロングに傾いているが、2016年9月27日の円高直面で約70億ドル近く拡大していたことから比較しても、極端にポジションが傾いているとも考えにくいのでは。

トランプ氏は短期間で大きな成果を求める行動が目に付き、来年の米大統領選を有利に導くために、貿易赤字を大幅に改善させるために、為替相場では米金利の低下=ドル安を狙って、サプライズな動きを強める可能性も否定できず。最近の発言から、主に対EURと思われるが、対円もその余波を受ける可能性も。

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USDJPY 予想レンジ(104.20~60←105~106.50)

承知の通り、105円は過去の動きやサイコロジカルに重要なポイントで下げ止まっており、過去3週間で大枠105~107のレンジ相場を維持。その前に長期間続いた107~109のレンジから下値ブレークし結果的に円高の流れを維持していることは間違いない。

今週はリスク回避時に選択される円相場がどこまでその流れを維持することができるか、それを試す週になっている。円高が加速する必要条件は105円の壁をクリアに割り込むことができるのか、それとも、再び失敗するのか? 期待は円高の継続を意識したい。


EURUSD 予想レンジ(1.1050~1.1250)

ブレグジットリスク、イタリアリスク、独経済低迷リスク、ECBの利下げリスクを全ての見込み何とか下げ止まり、先週末はリスク回避に選好されている動きとなっている。過去5週間は大枠1.1000~1.1250のレンジ相場が続き、1.1の大台を割り込むことを期待していたが失敗。

特に先週末の急伸で、200時間MAを上抜け短期的なレンジ上限の1.1130を上抜けしたことで、短期的にはブルに変化しているが、1.1250の壁は生きているようでこの水準を上値のターゲットになっていることに変わりない。4時間×200MAは1.1168にあり、Daily×75MAは1.1200もポイントに。


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