2016/11/20

今週の為替相場を考える(11月21日~25日)

今週の為替相場を考える(11月21日~25日)

先週はトランプ氏が次期大統領に決まり、米金利が上昇、米株も高値を維持し、ドルは予想範囲を大幅に超えて全面高の展開となりました。

ドル高となったトランプ相場ですが、金利の上昇も一因で、選挙前の公約を実施すれば、財政出動+減税=景気拡大+財政赤字拡大に金利は上昇。移民規制に労働力不足=賃金上昇=インフレリスク強まることを見込み、米10年債利回りは11月9日の安値1.71%台→先週末は2.35%台まで上昇しています。

今週のFOMC議事録やイエレン議長や理事・連銀総裁らの発言にかかわらず、金利先物は12月14日のFOMCでは利上げが間違いないと思われる水準まで織り込み、さらに、継続的な利上げを期待する相場となっていることです。

問題は、トランプ次期政権に期待する相場がいつまで、どこまで続くのかが市場参加者が最も知りたい部分でもあり、答えは簡単に出せないということです。つまり、現時点では実行を伴わない次期政権への期待相場だけで、市場参加者はこの流れをどこま引っ張ることができるかとの疑問を抱きながら取引をしていると考えていいでしょう。

今週は、日本が23日、米国が24日と週半ばから祭日が連なり、重要度は低下しているがFOMC議事録も控えている。25日も米国市場は株と債券の取引きは短縮となり、そのまま週末にずれ込み、機動的に動きにくいことは避けられそうにありません。

そうなると、ドル買いポジション維持している弱き派は調整の売りに走り、強気派と買えていないリスクを意識せざるを得ない派は、押し目買いに走り、強弱が混在すると考えたほうがいいでしょう。 

しかしながら、蔓延しているサプライズ相場を考えれば、どちらに動いても変動幅大きくなる思われ、今週の相場の鍵をに握るのはやや伸び悩んでいるNYダウなどの米株ではないでしょうか? そして期待感はドルの上昇。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 108.50←109.50~112.00→115.00】

前提として、感謝祭からクリスマスへと相場が大きく動きやすい時期であることを考える必要があります。トランプ氏が次期米大統領に決まり、「日本株高+米金利上昇+ドル高]に大幅な円安相場がスタートしていますが、今後の政策に関してはなにも決まっていないことも意識せざるを得ません。

USDJPY相場の値動きからは、101円台(11月9日の安値)→111円近くまで約10円も上昇する過程での調整は、約1.0~1.5円程度と以外にも限定的です。

今年2月26・27 日の上海G7で自国通貨安政策を非難されてからは、115円が上限で、2月中旬~4月まで110.50~111.00円がボトムにあり、4月~5月までは111.50~112.00円がトップであったことを、やや意識しながら考える必要があります。

そうなると、大きな調整があったとしても、108.50~109.50円はボトムとなり、これを割り込むと円高への大相場となりますが、可能性は低いと思います。一方、112円は上限として大きなポインとなり、これを上抜けすると最大115円まで目指す可能性を考えます。


◎EURUSD【予想レンジ 1.0300←1.0450~1.0800】

英国民は英国のEU離脱を選択+米国民はトランプ氏を次期大統領に選択。ポピュリズムの台頭がユーロ圏各国に蔓延するリスクに、景況感はやや回復の兆しが見えるも、今後は安心して通貨ユーロを買いにくい時期にあり、その影響にEUR売りがすでに米大統領選後から続いています。

先週は昨年12月の安値1.0523を目指す勢いで、これを割り込むと昨年3月の安値1.0462が視野に入ってきます。

ECBは金融政策の限界を示唆しながらもQEを継続すると思われますが、一方では財政支出の必要性を強調しています。政治的に不安定な時期が続きそうでそれに応えることができるのでしょうか?、

12月にはイタリア憲法改正の是非を問う国民投票があり、解散・総選挙の可能性があり、来年3月にはオランダ総選挙で、現政権が議席を失う可能性が、4月の仏大統領選ではオランド現大統領にとっては最大の危機と言えるでしょう。9月のドイツ総選挙ではメルケル首相の進退問題に発展する可能性もあります。


◎GBPUSD【予想レンジ 1.2000~1.2300→1.2500】

先週と同じですが、ドル全面高の中で、先週も孤軍奮闘とでもいうのかGBP買いが目立っています。英裁判所がリスボン条約50条発動には議会の承認が必要との判決を下し不安定要因となっており、ポンド高のトレンドは考えにくいものがあります。

ポンド安により英国の成長とインフレ見通しが強まり、経済面の弱気ムードを相殺しており、特に、ドル高に疑問を挟む参加者は、EURGBPの売り、GBPAUDの買い、GBPJPYの買いを選好しており、結果的にポンドをサポートしていることも見逃せません。


◎AUDUSD【予想レンジ 0.7100←0.7200~0.7500】

米大統領選後から予想外に継続しAUD売りが目立っています。米金利の上昇に金利差選好で積み上げたポジションの解消や、米国の政策変化の可能性はありますが、テクニカルでは大枠0.75~0.77のレンジを割り込んだことでストップの売りが強まったこと思われます。

中期的には、0.7100~0.7800のレンジの中で推移しており、0.7100~0.7200の水準は重要と考えますが、潜在的なAUD売りが残っているのかは疑問でなりません。


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