2016/11/27

今週の為替相場を考える(11月28日~12月2日)

今週の為替相場を考える(11月28日~12月2日)

今週の為替相場を考えるとき、トランプ相場の基となる「減税と歳出拡大」=金利上昇+株価上昇→ドル高の相場がどこまで、いつまで続くのでしょうか? その中で今週のドル相場はどの位置にいるのでしょうか?

トランプ相場がスタートしてからは、注目度の高かった、黒田日銀総裁はもちろんのこと、ドラギECB総裁やイエレンFRB議長の発言や、今週の米雇用統計を含め重要な米国発の経済指標の影が薄くなりつつあります。

これは、現在の金融政策や、景況感、住宅販売、成長や雇用に大きく反応するのではなく、トランプ次期米大統領が就任した後の米国への期待感を先取りしていると考えられます。そういう意味ではトランプ氏や次期政権担当者の発言がより重要となることでしょう。

さて、米大統領選の結果が判明した11月9日以降では、USDJPYの一日の値幅(安値ー高値)は平均で1.64円(1.51%)、最大4.7円、最低0.90円と大きく、他の主要通貨のEURUSD=1.08%、GBPUSD=1.09%、AUDUSD=1.23%より大きいものがありました。

また、USDJPYは計13営業日の内、円高に動いたのは計4日間あります。一日の中では下落幅は1円前後ありますが、前日終値比の平均はわずか0.14円と限られており、押し目で買えなかった相場が続いていることがわかります。

短期間で急騰し買われすぎ過ぎたと思われるドル相場。先週も感謝祭前にしてポジション調整のドル売りが優勢では思いながらも、米金利の続伸に結果的に失敗に終わり、調整もGBPUSDやAUDUSDを除き、ドルの強さが目立っています。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 弱い調整局面へ←112.40~115.50→116円台超え続伸】

米金利上昇+米株高に円売り圧力は変わらず、短期的な上昇懸念が残るだけ。
続伸するUSDJPY相場は先週の感謝祭でも大きな調整は見られず、方向性と程度は、米株と米金利の上昇如何にかかっています。円安相場を止めるような政治的な動きも現時点ではその兆候も見られません。

日足200日MAを超えて上昇が加速、週足では3週連続で大きな陽線た立ち、先週の高値は114円直前まで上昇しました。今後は、サイコロジカルな大台の115円、2月下旬の上海G20で自国通貨安誘導が実質的に禁止され円高がスタートした115円台が上値の大きな壁となることでしょう。


◎EURUSD【予想レンジ 1.0300←1.0450~1.0800】

トランプ相場+欧州リスクの台頭に弱さが目立つも、選挙の事前予想と結果次第
来週12月4日のオーストリア大統領選とイタリアでは12月4日に憲法改正の是非を問う国民投票をどうしても意識せざるを得ません。この結果によっては来年に予定されている主要国の選挙結果に影響を与えることになり、事前予想と結果に今週・来週の相場変動が高まることも予想されます。

事前予想ではややネガティブな面もあり、EURUSDの戻り売り圧力は変わりそうにありませんが、全てが選挙の結果次第で上下へ大きく変化することになりそうです。3度目の正直ではありませんが、2015年3月、2015年11月、そして、今回と、EURUSD=1.0000のパリティを目指す動きの復活を望む投機筋も多くなっています。ただし、ポジション的に見ればリスクヘッジにユーロショートにポジションが傾いているように思えます。


◎GBPUSD【予想レンジ 1.2350~1.2600】

強い経済指標+ポンド安によるインフレ懸念が台頭。
ドル高の中でも比較的堅調に推移しており、1.2000の大台を死守しEURGBPの売り戻しも続き1.2300→1.2400をボトムに切り上げ1.2400~1.2500のレンジに入っています。しかしながら、本格的にポンド高を望むことも難しく、上値の重い動きの中で、クロスでのポンド買いに底値も限定的な動きとなりそうです。


◎AUDUSD【予想レンジ 0.7350~0.7550】

トランプ相場に新興国通貨安、リスク許容度の低下懸念に弱さが目立つも、原油価格の動きで流れの変化の可能性も。
トランプ相場が始まる前の、比較的堅調な経済指標+金利の有利性+資源価格の上昇に、優位性は一掃されて、200日MA=0.7500近辺を割り込んでから0.7300をボトムに下げ止まるまで大きく値を崩している。新興国通貨では通貨防衛の介入や金利引き下げを余儀なくされているが、OPEC総会に向け原油価格が安定→上昇すると豪ドル買いに流れが変化する可能性も残ります。



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