2016/02/28

今週の相場見通し(2月29日~3月4日)

2016年2月28日(日曜)

今週の相場見通し(2月29日~3月4日)

上海G20では、世界の成長への一連のリスクとして、不安定な資本フロー、コモディティー価格の急激な下落、英国がEUを離脱した場合に起こる可能性のあるショックなどを指摘。英国のEU離脱の問題は、英国の強い主張を受け声明に入る。

為替相場の下落につながる政策決定を行う際には事前に通知することで合意。暗に日本や中国の通貨切り下げを懸念した動きとでは? 予想外の決定で市場変動が高まることを危惧したG20の追加的なコミットメントになっている。

G20の決定が週明けの為替相場にどのような影響を与えるかは不明ながら、過去大きな変化をもたらしたことは少なく、今回も新たな相場を作るような決定的な変化をもたらす可能性は低いと思われる。

ただ、WTIも25~35ドルのレンジでやや下げ止まり感も見られる中、原油価格+株式相場の変動が、為替市場に大きな影響を与えることに変わりない。また、米金利の低下が続き2年債利回りは0.8%の水準で、年末年始の1.0%台から低下し安定した動きとなっている。

最近の為替相場の動きを考えるに、①英国のEU離脱の問題、②中国経済の成長と経済政策の問題、③それに伴う新興国経済への影響、④OPECなど産油国の減産合意の有無、⑤米FRBの追加緩和の有無とドル高の影響などがメインテーマとなっている。

円相場を考えると、日銀は3月に追加緩和ができるのか? 日本の成長率鈍化と低インフレの中で、現政権は本当に予定通りに追加増税ができるのか? 疑問符が付く。 基本は円安相場を維持し輸出主導の景気回復を願っているのであろうが、外圧のプレッシャーがどこまで強まるのか? 今週の米雇用統計と米貿易収支の結果も気になってしかたがない。

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【EURUSD 予想1.0700~1.1050】
最近のユーロ圏発の経済指標は弱さが目立ち、英国のEU離脱を問う国民投票で有力政治家の中から離脱支持者が現れ、また3月のECB理事会で追加緩和の可能性が高まる中、通貨ユーロを取り巻く要因はネガティブとしかいいような無い。

G20ではリスク要因としてEU離脱リスクがあげられたが、6月23日の英国民投票に向けた世論調査で圧倒的に離脱反対の割合が拡大しない限り、売り材料にされやすい。また、ドラギECB総裁やECB理事からはハト派の発言が多く弱気な材料となっている。テクニカルでは、1.1000を超えられず継続的に1.0900を割り込むと1.0700台までの下落余地が強まるのではと危惧される。

【GBPUSD 予想1.3500~1.41500】
ワイドな予想レンジで恐縮だが、英国のEU離脱を問う国民投票の行方では、離脱のリスクが高まりに売られやすい環境は変わらず。ただ、本当に英国民がユーロ離脱を望んでいるのかは疑問符! とは言うものの世論調査で証明できない限り、BOEの利上げ観測は先送りされる状況が強い中で、売り圧力は変わらず。

テクニカルでは下落基調は続き、1.4100~1.4200をトップにどこまで値を下げるのか試す展開を予想。
ただ蛇足で先の話で恐縮だが、この歪みの反動は6月以降の将来、ユーロ残留にでもなれば大幅なポンド高として跳ね返ってくるのではと危惧。

【AUDUSD 予想0.7000~0.7300】
ドル高の中でも健闘している通貨に思えるが、0.7300を超えられない限り引き続き下値リスクは強いが、ポジティブの材料もある。中国経済の超悲観論も影を潜め、原油価格(WTI)は30ドル割れで何とか下げ止まる状況が再確認できるのか? そして、0.7000をボトムにし0.7300を超えることができるのか? これが上昇に変化する必要条件。

【USDJPY 予想111.00~116.00】
世界的な自国通貨安政策に対して厳しい視線でみられている。今回のG20でも中国が議長国であることで非難の度合いは弱く、逆に日本に対して矛先が向けられているようにも思えてならない。そういう意味では円安傾向が弱まり円高への動きの可能性も否定できない中、相場感はやや異なる。

年末・年始の金太郎飴のような円安一辺倒の市場参加者は減少し、CFTCのポジションも円ロングへと変化が続く中、今後110円を割り込むような円高も考えにくい。潜在的な弱さが、日銀の3月追加緩和の思惑も背景にある。

USDJPYは111円をボトムに2度下げ止まり、終値ベースでは112円をボトムに直近では5回トライして失敗している。今週も111円を割り込み終値ベースで112円を割り込むと、この考えは間違いとなるが、相場感では116円の先のボトムラインを試す動きを期待したい。