2016/02/21

今週の相場見通し(2月22日~26日)

今週の相場見通し(2月22日~26日)

今週の相場見通しだけとは限らず、昨今の為替相場の変動には、必ずと言ってよいほど、原油価格と株価の変動を伴っている。リスク回避をお題目に、原油安=(ドル高+円高)=(CAD安+AUD安+NZD安)へと動き、GBPは時に原油、時にEU離脱を問う国民投票の世論調査や、EURGBPなど複雑な材料に左右される。

さて、今週を見ると、EU首脳会議で困難と思われた英国が求めたEU改革案4項目で合意、事態はポンドやユーロにとってポジティブでどこまで上昇することができるのか? 

キャメロン英首相はさっそく国民投票に向けた準備をスタート、司法長官は6月23日に国民投票が実施したいとの意向。暫くはこの世論調査の結果にポンド相場やユーロ相場が左右されることになる。ただ、これでポンド高へ大きく舵を切ることができるかは不明。

NY連銀のプライマリーディーラー調査では、次の動きは利上げだが、2年間は事実上のゼロ金利政策が再導入される可能性も存在という。米国の内側ではドル高による企業業績の伸び悩みの報道が目立ち、外側では景気減速や低インフレの影響が懸念され、FRBの早期の追加利上げのムードは大きく後退していることは間違いない。

2月26~27日のG20財務相・中央銀行総裁会議について、ラガルドIMF専務理事は「日米欧の中銀がそれぞれ異なる金融政策を同時に実施する状況の見直しでさらに協調する必要がある」と言う。G20の結果の有無にかかわらず、異なる経済成長やインフレ率に事の改善を期待すること事態が間違いではと思う。

つまり、米国が自分でドル高を止めようとしない限り、ドル高の流れが続くことになる。逆にいざドル高阻止を決定すれば、ドル売り相場は為替ディーラーの感覚では長期間続くことになるが、政治的な決定が必要で次期米大統領の登場を待たなければならないのでは?

原油価格は多くが期待し予想するように、20ドル~25ドル(WTI)をボトムに50~70ドルまで上昇することができれば、円高も終わり株安も終わることになる。これが仮に正しいとしても、目先は何処がボトムなのか? 試し切っていないように思えてならない。


※※※※※※※※※※※※


【EURUSD 予想1.1050~1.1250】
長期的な話で申し訳ないが、EURUSDのMonthlyチャートでは、2015年2月以降、1年間大枠1.05~1.15の1000ポイントレンジが続いている。終値ベースでは約1.12が高値(2月は2月19日のデータ)で、約1.06が安値の600ポイントの狭いレンジが続いている。

今月は一時1.1380近くまで上昇したが、3月のECB理事会では追加緩和を期待し、英国民投票の結果を気にしながら、このレンジを抜け出すことのむずかしさを感じる。

さて、今週は先週EU首脳会議で英国が求めたEU改革案を承認、EU結束では最悪の事態を免れたことで動きはポジティブ。1.1000以下をボトムに下げ止まることができれば、1.10~1.13のレンジに逆戻りすることになる。しかし、ECBの追加緩和(中銀金利のさらなる引き下げ)を市場は織り込み済み、英国の世論調査でネガティブな材料が提示される可能性も消えず、どうしても強気ムード一辺倒になれない。


【GBPUSD 予想1.4300~1.4600】
懸念材料の英国のEU離脱は、英国が求めたEU改革案が承認されたことでやや弱まり、ポンドにとってプラス思考の材料。今後は6月23日にでも国民投票が実施される可能性が強まる中で、世論調査の結果にポンド相場が左右されることになりそうである。

それ以外では、BOEの利上げムードが一気に冷え込んでいるとはいえ、次の方向性は利上げであることに変化はなく、英国がEU離脱を正式に「NO.」でも決めてくれれば方向性はポンド高。もっとも、その結果は相当先のことで、為替ディーラーの世界では中期的なできごと。

さて、今週はその他の材料も乏しく、23日のカーニーBOE総裁発言と25日のGDP改定値を注目。英国民がどこまでEU離脱を支持するのか? しばらくはポンドポジティブ。中期的には不安感は強い。


【AUDUSD 予想0.7000~0.7200】
サウジ、ロシアと原油大国は産出量維持で合意し、イラクも支持だけはするも確約は未知数で、WTIは30ドル台以上で安定することもかなわずいる。中国は人民元安につながる積極的な緩和策を避けMLF経由の緩和策へと裏ワザへと変化。

その中で、0.68台から5週連続し上昇傾向が続き、最近は0.700~0.7200で安定し、逆の意味では強さも感じられる。当面の目標は0.72台の売りを消化することができ、3週間前に抜けられず失敗した0.7250を超えることができるか?


【USDJPY 予想111.00~114.50】
官民挙げての円高阻止のご意向はそれとして、円相場は株と原油に連動しており、為替相場だけではどうしようもないことは周知の事実。どうしても上値の重さが感じられてならない。

今週は全国CPIの発表が控えている。予想では、前年比予想0.0%(前回0.2%)、除生鮮・前年比予想0.0%(前回0.1%)で、コアがマイナスに陥るかが焦点。いずれにしても、先行している東京都区部CPIはすでにマイナス域に陥っていることを考えればネガティブ。

2月15日の日本のGDPも前期比年率-1.4%と弱く出ており、今週のCPIの結果で、政府・日銀に追加緩和を望む声がさらい強まる可能性も。日本発の報道よりも海外発の報道がより深刻に考えているように思われてならない。2月11日の瞬間割れた111円がボトムなのか? それとも、112円台前半で下げ止まることができるのか? 試す動きも。


※※※※※※※※※※※